2009年 04月 01日
巨大な無駄使い! |
昨日3/31、甲府地方裁判所で明野廃棄物処分場をめぐって争われている裁判の結審がありました。
明野住民が多数傍聴する中、原告住民から小松原俊一さんと入戸野仁師さんの二人の最終的な意見陳述が行われました。
いかにもずさんな山梨県の公共工事のすすめか方が二人の陳述で、明らかにされています。
入戸野さんが「バカヤロー」と叫ばずにはいれらない、住民の気持ちをストレートに爆発させて、裁判長を慌てささせました。しかし傍聴の住民の共感はぐっと高まったのではないでしょうか。
判決は正直、裁判長の気のない態度をみていても、あまり期待はできませんが。
そして次の新聞記事からもこの施設が巨大な無駄になるのでは、という予感がただよってきます。
山梨日日新聞 - 2009/02/20
山梨県が北杜市明野町に建設を進めている明野廃棄物最終処分場(県環境整備センター)で、廃棄物の受け入れ量が開業を3カ月後に控えた現在も見通しが立っていない。県側の調査では、許容量の約7割を占める予定のがれきや廃プラスチックなど安定5品目について、主な搬入者となる中間処理業者約70社が目標の9割近い年間2万9000トンを排出することが分かったが、「どのくらい明野処分場に持ち込むかは不明」(森林環境部)。県議からは「単価が高く、県外施設などに相当量が流れるだろう。採算は取れるのか」と指摘する声が上がっている。
明野処分場は5月20日に開業予定。2009年から5・5年で、18品目の廃棄物約23万トンを受け入れる計画。建設費など総事業費は73億円余りに上る。県議会などからはリサイクルの広がりなどから「廃棄物の量自体も減っている。採算が取れない」と指摘する声が以前からあるが、県側は一貫して「計画通りに埋め立てれば最終的に1800万円の利益が出る」と説明してきた。
ただ、受け入れ量の見通しは県の産業廃棄物実態調査で判明した県内の総排出量などからの推計。県や県環境整備事業団は現在、排出事業者に開業後の搬入を呼び掛けているが、開業が迫った今も具体的な搬入見通しについて明らかにしていない。

2009.3.31甲府地裁 意見陳述
陳述者:小松原俊一
はじめに
本件処分場の設置許可・変更許可が違法であるのは、被告山梨県が「一度決まってしまったことは変えられない」という山梨県行政の悪弊にのみ従い、必要性のない危険な処分場の建設を許可してしまった点にある。
1.知事との話し合いから分かった県の無責任
私たち明野廃棄物処分場問題対策協議会(以下、対策協)は横内知事就任後、数回対話の機会を得た。対策協はその場で繰り返し、本件処分場の客観的危険性の最大はその立地条件にあること、及び、山梨県の現状においてはもはや本件のような処分場は必要のないことを訴えてきた。その度に、知事は同じ答えしかしなかった。即ち、県内には公共関与の管理型処分場がなく、山梨県の経済発展のためにはぜひとも本件処分場が必要である、と。これは事実に反する。本件処分場はもともと産業廃棄物のために計画され、住民を説得するための方便として一般廃棄物も計画に加えた。実際、一般廃棄物は溶融固化したものに限られるため、本件処分場に入れることの出来るものは皆無と言ってよい。従って、県内の一般廃棄物の処理を根拠とする「自県内処理」の発想は本件処分場には当てはまらない。一方、県内の企業はどうかと言えば、山梨県自体のアンケート調査によると、管理型処分場の必要を感じている業者はほとんどいない。既に久しい以前から、本件処分場に入れられる廃棄物がなく、赤字経営になるのではないかと懸念されてきたが、最近では与党県会議員ですらその懸念を公にするようになっている。
仮に、事実に反して、知事の主張を飲み込んだとしても、だからと言って危険な処分場の建設を許可していいことの理由にはならない。地下水、放流水、土壌、大気の汚染を客観的に考慮するのならば、本件処分場は最悪の立地である。人工物である遮水工はどれほど精緻に作り上げたとしてもやがては破損する。ところで、本件処分場に埋め立てられる有害物質はいつ安定化するのか誰にも分からない。一時的に安定化したかに見えても、そこに有害物質が存在し続けている以上、予測不可能な化学的・生物学的反応によって再び有害物質の漏出する例などいくらでもある。これを回避するためには、その立地を最大限に配慮し、地下水、放流水、土壌、大気の汚染が生じたときに、その被害の最小限ですむ場所を選択するしかない。本件処分場の立地はその意味で最悪なのだ。
県はこの事実に触れられたくないため、処分場問題に詳しくない学者ばかりで専門委員会を作り、「問題なし」のお墨付きを得てきた。対策協は許可処分における住民からの意見聴取の機会に、当該専門委員会のメンバーを処分場問題に詳しい学者から構成するように再三要請したが、県はこれを無視した。こうしたことが生じてしまうのは、監督するものと監督されるものが事実上同じだからである。一般にチェック機構を十全に機能させるためには、利害の対立するものに監督させる以外にないのだが、本件の場合、監督するもの(県)と監督されるもの(事業団)が実際には一致しているのだから、機能しないのも当然である。対話の際、処分場の客観的危険性を指摘すると、知事はそれに答えずに言ったものである。安全性については裁判で争っているのだからいいじゃありませんか、と。ここに山梨県行政の根本的な欠陥が浮き彫りにされている。県は自らのなすことに責任をとろうとしない。法に従っていても安全性を確保できないことは法自体が認めているところである。安全性は当為の問題ではなく、事実の問題だからだ。それ故、行政の裁量権が認められている。ところが、山梨県はそれを悪用し、自らの無責任の隠れ蓑にしている。そうしておいて、自らの責任を司法に転嫁しているのだ。
2.民間処分場に対する県の監督能力の欠如
県は公共関与の処分場が必要であることの理由としてしばしば民間処分場の脱法行為を述べたててきた。しかし、この脱法行為の原因の一つは県自身の監督能力の欠如にある。他者を十分に監督できない者にどうして自らを監督できるのだろうか。
本件処分場の直下、広域農道を挟んで湯沢川下流側に多摩金属民間処分場跡がある。この処分場は所謂「自社処分」の安定型処分場であり、平成6年12月から掘削を開始し、平成8年11月に埋め立てを終了した。しかし、その後、不法投棄のあったことが発覚し、平成9年12月から一部撤去作業が開始され、平成11年4月に最終覆土が終了したことになっている。それにも関わらず、以来、この処分場跡からは硫化水素などの有毒ガスが噴出し始め、それは今も続いている。
地元住民はこの処分場のことを当初から心配して県に訴えていた。それにも関わらず、県はこれを十分に監督出来なかった。不法投棄があったことも、八王子の業者が産業廃棄物の一部を明野村や千葉県内に不法投棄した疑いで警視庁に逮捕されたという報道によって発覚しただけで、県はそれまで何もしていなかった。この処分場の埋立地の面積は「2900㎡」として報告された。しかし、どう見てもそれより大きかったはずである。市民団体「多摩金属調査グループ」(以下、市民団体)の見積もりによると、上面部だけでも7000㎡以上ある。埋め立て後、有毒ガスの噴出がひどかったため、県は平成11年12月から発生源その他、四箇所で硫化水素、アンモニア、メチルメルカプタン、硫化メチルの測定を年二回行っている。ところで、その発生源は多摩金属の借りていた土地ではなく、その下流側に位置する別の地権者のものである。県がこのことに気がつかないはずはない。また、県は平成11年4月に最終覆土を確認したとしているが、この年の航空写真を見ると埋立地の地形が明らかに3000㎡を越え、多摩金属借地の下流側ばかりでなく、上流側の地権者の土地にまで広がっている。施工の杜撰さも明らかで、湯沢川の谷にはたくさんの廃棄物が転がり落ち、上面部には無数のクラックが走り、崩落の危険性すらある。
平成19年8月に市民団体が県担当課を訪れ、崩落の危険性を指摘した際、県担当は当時業者に指示してH杭を施工してあるから崩落の心配はないと答えた。その後、市民団体が現地に探しに行くと、そのH杭の施工なるものもあまりにも杜撰なものであり、これを県が確認して許可していたのならば、意図的に多摩金属の違法行為を見逃していたとしか思えない。多摩金属だけではない。同じくひどいことが須玉町の日向処分場や岩下処分場でも繰り返されてきた。
3.事業団に対する県の監督能力の欠如
監督するものと監督されるものが同じであることの弊害は既に現れている。県・事業団は自分に都合の悪いことは隠蔽する体質を持っている。
平成19年12月の第二回安全管理委員会で突然アスベストの話が持ち上がり、その後、十分な審議も説明もないままに受入が決定されてしまった。平成20年3月の第三回安全管理委員会でアスベストの受入基準について説明するときも、二人いる専門委員の一方、中村文雄山梨大学名誉教授はこれについて一言も発言せず、もう一方の毒物が専門家である金子栄広山梨大学工学部教授に至っては出席すらしていなかった。県は「処分場について住民に十分に説明してきた」とよく言うが、現建設地に再決定してからは住民説明会を一切行わず、ただ新聞折込で「廃プラスチック」「がれき類」等の13品目しか入らないことを吹聴し、アスベストのことには一切触れて来なかった。
更に、これに対して抗議するために昨年6月、対策協が事業団を訪れた際、「平成19年10月に工事車両の通過で農作物に被害が出、業者が数百万円の賠償を支払っていたことに関して事業団は把握していたのか」と質問したところ、担当者は「知らない」と答えた。「そんなはずない」と何度尋ねても、「知らない」と答える。そこでこちらが「管轄下で起こっているこうした重大問題について把握していないということでいいのか」と更に詰め寄ると、今度は「実は知っていました」と答える始末である。このように、事業団は住民に対して平気で嘘を述べて憚らない。
昨年9月の証人尋問の際、証人の一人である関口鉄夫さんが工事の不備のついて指摘した。事業団は慌てて指摘の箇所を修復したことになっているが、同9月の北杜市議会における篠原眞清議員の質問に対する市の答弁によると、この修復は業者だけで行い、そこには安全管理委員会がまったくタッチしていなかった。安全管理委員会の要綱には、その任務の最初に処分場の建設時における施工条件に関することが明記されているにも関わらず、事業団はこの安全管理委員会を無視していたことになる。
こうした事業団に対して、県はこれを改めさせようとはしない。
おわりに
許可を出すものが間違っているとき、許可を出された者の行為がたとえ間違っている場合でも、その許可が正しいことになってしまう。知事の下した許可が正当であると主張する山梨県の論理はそうしたものである。しかし、現実には許可を出すものが間違っている場合、それによって許可された処分場は周辺住民の生命と健康を脅かすことになる。それでは、この場合、山梨県の間違いとは何か。それは許可を出す際に「一度決まってしまったことは変えられない」という行政の悪弊にのみ従い、処分場の現実の安全性を確保しようとしなかったことである。立地の決め方、専門委員の選び方、裁判所や民間業者への責任転嫁、隠蔽体質、事業団に対する内輪意識など、今回指摘したところにそれがよく表れている。法律が行政を正義に導くためのものであるのならば、このような許可は違法でなければならない。
(写真は小松原さん。裁判終了後の撮影です)
明野住民が多数傍聴する中、原告住民から小松原俊一さんと入戸野仁師さんの二人の最終的な意見陳述が行われました。
いかにもずさんな山梨県の公共工事のすすめか方が二人の陳述で、明らかにされています。
入戸野さんが「バカヤロー」と叫ばずにはいれらない、住民の気持ちをストレートに爆発させて、裁判長を慌てささせました。しかし傍聴の住民の共感はぐっと高まったのではないでしょうか。
判決は正直、裁判長の気のない態度をみていても、あまり期待はできませんが。
そして次の新聞記事からもこの施設が巨大な無駄になるのでは、という予感がただよってきます。
山梨日日新聞 - 2009/02/20
山梨県が北杜市明野町に建設を進めている明野廃棄物最終処分場(県環境整備センター)で、廃棄物の受け入れ量が開業を3カ月後に控えた現在も見通しが立っていない。県側の調査では、許容量の約7割を占める予定のがれきや廃プラスチックなど安定5品目について、主な搬入者となる中間処理業者約70社が目標の9割近い年間2万9000トンを排出することが分かったが、「どのくらい明野処分場に持ち込むかは不明」(森林環境部)。県議からは「単価が高く、県外施設などに相当量が流れるだろう。採算は取れるのか」と指摘する声が上がっている。
明野処分場は5月20日に開業予定。2009年から5・5年で、18品目の廃棄物約23万トンを受け入れる計画。建設費など総事業費は73億円余りに上る。県議会などからはリサイクルの広がりなどから「廃棄物の量自体も減っている。採算が取れない」と指摘する声が以前からあるが、県側は一貫して「計画通りに埋め立てれば最終的に1800万円の利益が出る」と説明してきた。
ただ、受け入れ量の見通しは県の産業廃棄物実態調査で判明した県内の総排出量などからの推計。県や県環境整備事業団は現在、排出事業者に開業後の搬入を呼び掛けているが、開業が迫った今も具体的な搬入見通しについて明らかにしていない。

2009.3.31甲府地裁 意見陳述
陳述者:小松原俊一
はじめに
本件処分場の設置許可・変更許可が違法であるのは、被告山梨県が「一度決まってしまったことは変えられない」という山梨県行政の悪弊にのみ従い、必要性のない危険な処分場の建設を許可してしまった点にある。
1.知事との話し合いから分かった県の無責任
私たち明野廃棄物処分場問題対策協議会(以下、対策協)は横内知事就任後、数回対話の機会を得た。対策協はその場で繰り返し、本件処分場の客観的危険性の最大はその立地条件にあること、及び、山梨県の現状においてはもはや本件のような処分場は必要のないことを訴えてきた。その度に、知事は同じ答えしかしなかった。即ち、県内には公共関与の管理型処分場がなく、山梨県の経済発展のためにはぜひとも本件処分場が必要である、と。これは事実に反する。本件処分場はもともと産業廃棄物のために計画され、住民を説得するための方便として一般廃棄物も計画に加えた。実際、一般廃棄物は溶融固化したものに限られるため、本件処分場に入れることの出来るものは皆無と言ってよい。従って、県内の一般廃棄物の処理を根拠とする「自県内処理」の発想は本件処分場には当てはまらない。一方、県内の企業はどうかと言えば、山梨県自体のアンケート調査によると、管理型処分場の必要を感じている業者はほとんどいない。既に久しい以前から、本件処分場に入れられる廃棄物がなく、赤字経営になるのではないかと懸念されてきたが、最近では与党県会議員ですらその懸念を公にするようになっている。
仮に、事実に反して、知事の主張を飲み込んだとしても、だからと言って危険な処分場の建設を許可していいことの理由にはならない。地下水、放流水、土壌、大気の汚染を客観的に考慮するのならば、本件処分場は最悪の立地である。人工物である遮水工はどれほど精緻に作り上げたとしてもやがては破損する。ところで、本件処分場に埋め立てられる有害物質はいつ安定化するのか誰にも分からない。一時的に安定化したかに見えても、そこに有害物質が存在し続けている以上、予測不可能な化学的・生物学的反応によって再び有害物質の漏出する例などいくらでもある。これを回避するためには、その立地を最大限に配慮し、地下水、放流水、土壌、大気の汚染が生じたときに、その被害の最小限ですむ場所を選択するしかない。本件処分場の立地はその意味で最悪なのだ。
県はこの事実に触れられたくないため、処分場問題に詳しくない学者ばかりで専門委員会を作り、「問題なし」のお墨付きを得てきた。対策協は許可処分における住民からの意見聴取の機会に、当該専門委員会のメンバーを処分場問題に詳しい学者から構成するように再三要請したが、県はこれを無視した。こうしたことが生じてしまうのは、監督するものと監督されるものが事実上同じだからである。一般にチェック機構を十全に機能させるためには、利害の対立するものに監督させる以外にないのだが、本件の場合、監督するもの(県)と監督されるもの(事業団)が実際には一致しているのだから、機能しないのも当然である。対話の際、処分場の客観的危険性を指摘すると、知事はそれに答えずに言ったものである。安全性については裁判で争っているのだからいいじゃありませんか、と。ここに山梨県行政の根本的な欠陥が浮き彫りにされている。県は自らのなすことに責任をとろうとしない。法に従っていても安全性を確保できないことは法自体が認めているところである。安全性は当為の問題ではなく、事実の問題だからだ。それ故、行政の裁量権が認められている。ところが、山梨県はそれを悪用し、自らの無責任の隠れ蓑にしている。そうしておいて、自らの責任を司法に転嫁しているのだ。
2.民間処分場に対する県の監督能力の欠如
県は公共関与の処分場が必要であることの理由としてしばしば民間処分場の脱法行為を述べたててきた。しかし、この脱法行為の原因の一つは県自身の監督能力の欠如にある。他者を十分に監督できない者にどうして自らを監督できるのだろうか。
本件処分場の直下、広域農道を挟んで湯沢川下流側に多摩金属民間処分場跡がある。この処分場は所謂「自社処分」の安定型処分場であり、平成6年12月から掘削を開始し、平成8年11月に埋め立てを終了した。しかし、その後、不法投棄のあったことが発覚し、平成9年12月から一部撤去作業が開始され、平成11年4月に最終覆土が終了したことになっている。それにも関わらず、以来、この処分場跡からは硫化水素などの有毒ガスが噴出し始め、それは今も続いている。
地元住民はこの処分場のことを当初から心配して県に訴えていた。それにも関わらず、県はこれを十分に監督出来なかった。不法投棄があったことも、八王子の業者が産業廃棄物の一部を明野村や千葉県内に不法投棄した疑いで警視庁に逮捕されたという報道によって発覚しただけで、県はそれまで何もしていなかった。この処分場の埋立地の面積は「2900㎡」として報告された。しかし、どう見てもそれより大きかったはずである。市民団体「多摩金属調査グループ」(以下、市民団体)の見積もりによると、上面部だけでも7000㎡以上ある。埋め立て後、有毒ガスの噴出がひどかったため、県は平成11年12月から発生源その他、四箇所で硫化水素、アンモニア、メチルメルカプタン、硫化メチルの測定を年二回行っている。ところで、その発生源は多摩金属の借りていた土地ではなく、その下流側に位置する別の地権者のものである。県がこのことに気がつかないはずはない。また、県は平成11年4月に最終覆土を確認したとしているが、この年の航空写真を見ると埋立地の地形が明らかに3000㎡を越え、多摩金属借地の下流側ばかりでなく、上流側の地権者の土地にまで広がっている。施工の杜撰さも明らかで、湯沢川の谷にはたくさんの廃棄物が転がり落ち、上面部には無数のクラックが走り、崩落の危険性すらある。
平成19年8月に市民団体が県担当課を訪れ、崩落の危険性を指摘した際、県担当は当時業者に指示してH杭を施工してあるから崩落の心配はないと答えた。その後、市民団体が現地に探しに行くと、そのH杭の施工なるものもあまりにも杜撰なものであり、これを県が確認して許可していたのならば、意図的に多摩金属の違法行為を見逃していたとしか思えない。多摩金属だけではない。同じくひどいことが須玉町の日向処分場や岩下処分場でも繰り返されてきた。
3.事業団に対する県の監督能力の欠如
監督するものと監督されるものが同じであることの弊害は既に現れている。県・事業団は自分に都合の悪いことは隠蔽する体質を持っている。
平成19年12月の第二回安全管理委員会で突然アスベストの話が持ち上がり、その後、十分な審議も説明もないままに受入が決定されてしまった。平成20年3月の第三回安全管理委員会でアスベストの受入基準について説明するときも、二人いる専門委員の一方、中村文雄山梨大学名誉教授はこれについて一言も発言せず、もう一方の毒物が専門家である金子栄広山梨大学工学部教授に至っては出席すらしていなかった。県は「処分場について住民に十分に説明してきた」とよく言うが、現建設地に再決定してからは住民説明会を一切行わず、ただ新聞折込で「廃プラスチック」「がれき類」等の13品目しか入らないことを吹聴し、アスベストのことには一切触れて来なかった。
更に、これに対して抗議するために昨年6月、対策協が事業団を訪れた際、「平成19年10月に工事車両の通過で農作物に被害が出、業者が数百万円の賠償を支払っていたことに関して事業団は把握していたのか」と質問したところ、担当者は「知らない」と答えた。「そんなはずない」と何度尋ねても、「知らない」と答える。そこでこちらが「管轄下で起こっているこうした重大問題について把握していないということでいいのか」と更に詰め寄ると、今度は「実は知っていました」と答える始末である。このように、事業団は住民に対して平気で嘘を述べて憚らない。
昨年9月の証人尋問の際、証人の一人である関口鉄夫さんが工事の不備のついて指摘した。事業団は慌てて指摘の箇所を修復したことになっているが、同9月の北杜市議会における篠原眞清議員の質問に対する市の答弁によると、この修復は業者だけで行い、そこには安全管理委員会がまったくタッチしていなかった。安全管理委員会の要綱には、その任務の最初に処分場の建設時における施工条件に関することが明記されているにも関わらず、事業団はこの安全管理委員会を無視していたことになる。
こうした事業団に対して、県はこれを改めさせようとはしない。
おわりに
許可を出すものが間違っているとき、許可を出された者の行為がたとえ間違っている場合でも、その許可が正しいことになってしまう。知事の下した許可が正当であると主張する山梨県の論理はそうしたものである。しかし、現実には許可を出すものが間違っている場合、それによって許可された処分場は周辺住民の生命と健康を脅かすことになる。それでは、この場合、山梨県の間違いとは何か。それは許可を出す際に「一度決まってしまったことは変えられない」という行政の悪弊にのみ従い、処分場の現実の安全性を確保しようとしなかったことである。立地の決め方、専門委員の選び方、裁判所や民間業者への責任転嫁、隠蔽体質、事業団に対する内輪意識など、今回指摘したところにそれがよく表れている。法律が行政を正義に導くためのものであるのならば、このような許可は違法でなければならない。
(写真は小松原さん。裁判終了後の撮影です)
by halunet
| 2009-04-01 19:01
| 廃棄物処分場問題
























