2007年 02月 18日
タイマグラとキューバ |
今日の「タイマグラばあちゃん」の上映会はなかなかの盛況でした。まずはよかったですね。
早池峰山の麓に2人で暮らすじいちゃんとばあちゃんの日常をタンタンと記録したものです。二時間近い映画ですが、退屈しないのは何故でしょうか。ちょっと前まではそれほど珍しくなかった日本人の田舎の生活。ボクには多少、子どものころの記憶と重なる部分があるせいでしょうか。日本人のDNAをゆさぶるものがあるのでしょうか。
だから、日本人のもともとの行き方の見本がここにある、と監督はだまってそれを提示してみせる、それで十分だとも言えるかも知れません。失われたものがなんであったかのか、言葉ではいいつくせないものでしょうし、もっと時間がたてばその事の大きさにもっとみんなが気づくに違いないでしょうから。
しかし監督が意図したかどうかわかりませんが、より今的なメッセージの糸口があるような気がした場面が一つありました。それがやはり気になりました。
後半、ばあちゃんが倒れて町の病院に入ることになりますが、お盆になって、死んだじいちゃんのために久しぶりに家に戻って来ます。ばあちゃんの娘が押す一輪車に乗せられて。その時初めて娘がいることが分かる、というのも少し唐突でしたが、驚いたのはばあちゃんの表情です。すっかり普通の、老人ホームとか病院で見かけるお年寄りになっていたことです。
この後、ばあちゃんもこの場所には二度と戻って来られなかった。調和のとれた自給自足の生活はもう戻ってこない。その後を継ぐようにみそ作りに励む若い家族の姿ではかばいきれない、現実の冷酷さを感じるシーンでした。
話は変わります。同じ自給自足でも、国が丸ごと自給自足に挑戦する、キューバの話題です。ちょっと前にキューバの現状を農業中心にレポートした分厚い本を知人から勧められて読んだ事がありました。初めはキューバなんて古めかしい社会主義を棄てきれない、過去の国のような印象を勝手にもっていたんですが、まさに大きな鱗が目から何枚も落ちるような体験でした。まさに痛快なエコロジック革命が、大して世界の注目を集めないで行われていたんだということです。それも冷戦の終結、ソ連の崩壊。アメリカによる経済封鎖という大ピンチの中で。同じ立場の北朝鮮がああなって、キューバはこうなった。一体何が違っていたのでしょうか?
分厚い本というのは吉田太郎さんという方の書いた「200万都市が有機野菜で自給できるわけ—都市農業大国キューバ・リポート」ですが、北杜市の図書館にも何冊かありますので、お薦めです。元気が出ます。
しかし、読んでいて、本当かな?とかこの目で確かめたいな、という気にもなります。それで、じっさいにキューバにいって確かめて来た方が割と近くにいらっしゃることが分かりました。お願いしてお話を聞く会を持つことになりました。大月市の猿橋に在住の知見邦彦さんという方です。中央大学経済学研究科博士課程で農業経済を研究して6年目という方ですが、お年は不明(?)です。山梨地方自治研究所理事でもあり、「地球の緑と環境を守る会」(HPはリンク欄からどうぞ)でも活動する、山歩きやジャズの大好きなカッコいい国際的な教養人という印象の方です。キューバといえばサルサですが、ジャズも素晴らしいんだそうです。
緑のネットワーク21の向井さんにお話ししたら、毎年行っているシネマ&トークの企画でやろうということになりました。
当日は第1部でキューバの農業の現状を簡単に紹介したビデオを上映して、キューバの都市農業のおよそのイメージをつかんでもらい、第2部で、「キューバとネパール農業から持続的な農業政策を考える」というテーマで知見さんの撮られたスライドと一緒にキューバの先進的な実験の実像をお話していただきます。知見さんは昨年の秋にはネパールの農業視察にも行かれています。そのお話も是非うかがいたいですね。
今、存亡の危機にあるといわれる農を考えることは、即、人間の未来を考える事だろうと思います。タイマグラばあちゃんの自給自足の畑から、遥か遠くに立つボクらの希望は何処にあるのか、を考える集まりにしたいと思っています。
早池峰山の麓に2人で暮らすじいちゃんとばあちゃんの日常をタンタンと記録したものです。二時間近い映画ですが、退屈しないのは何故でしょうか。ちょっと前まではそれほど珍しくなかった日本人の田舎の生活。ボクには多少、子どものころの記憶と重なる部分があるせいでしょうか。日本人のDNAをゆさぶるものがあるのでしょうか。
だから、日本人のもともとの行き方の見本がここにある、と監督はだまってそれを提示してみせる、それで十分だとも言えるかも知れません。失われたものがなんであったかのか、言葉ではいいつくせないものでしょうし、もっと時間がたてばその事の大きさにもっとみんなが気づくに違いないでしょうから。
しかし監督が意図したかどうかわかりませんが、より今的なメッセージの糸口があるような気がした場面が一つありました。それがやはり気になりました。
後半、ばあちゃんが倒れて町の病院に入ることになりますが、お盆になって、死んだじいちゃんのために久しぶりに家に戻って来ます。ばあちゃんの娘が押す一輪車に乗せられて。その時初めて娘がいることが分かる、というのも少し唐突でしたが、驚いたのはばあちゃんの表情です。すっかり普通の、老人ホームとか病院で見かけるお年寄りになっていたことです。
この後、ばあちゃんもこの場所には二度と戻って来られなかった。調和のとれた自給自足の生活はもう戻ってこない。その後を継ぐようにみそ作りに励む若い家族の姿ではかばいきれない、現実の冷酷さを感じるシーンでした。
話は変わります。同じ自給自足でも、国が丸ごと自給自足に挑戦する、キューバの話題です。ちょっと前にキューバの現状を農業中心にレポートした分厚い本を知人から勧められて読んだ事がありました。初めはキューバなんて古めかしい社会主義を棄てきれない、過去の国のような印象を勝手にもっていたんですが、まさに大きな鱗が目から何枚も落ちるような体験でした。まさに痛快なエコロジック革命が、大して世界の注目を集めないで行われていたんだということです。それも冷戦の終結、ソ連の崩壊。アメリカによる経済封鎖という大ピンチの中で。同じ立場の北朝鮮がああなって、キューバはこうなった。一体何が違っていたのでしょうか?
分厚い本というのは吉田太郎さんという方の書いた「200万都市が有機野菜で自給できるわけ—都市農業大国キューバ・リポート」ですが、北杜市の図書館にも何冊かありますので、お薦めです。元気が出ます。
しかし、読んでいて、本当かな?とかこの目で確かめたいな、という気にもなります。それで、じっさいにキューバにいって確かめて来た方が割と近くにいらっしゃることが分かりました。お願いしてお話を聞く会を持つことになりました。大月市の猿橋に在住の知見邦彦さんという方です。中央大学経済学研究科博士課程で農業経済を研究して6年目という方ですが、お年は不明(?)です。山梨地方自治研究所理事でもあり、「地球の緑と環境を守る会」(HPはリンク欄からどうぞ)でも活動する、山歩きやジャズの大好きなカッコいい国際的な教養人という印象の方です。キューバといえばサルサですが、ジャズも素晴らしいんだそうです。
緑のネットワーク21の向井さんにお話ししたら、毎年行っているシネマ&トークの企画でやろうということになりました。
当日は第1部でキューバの農業の現状を簡単に紹介したビデオを上映して、キューバの都市農業のおよそのイメージをつかんでもらい、第2部で、「キューバとネパール農業から持続的な農業政策を考える」というテーマで知見さんの撮られたスライドと一緒にキューバの先進的な実験の実像をお話していただきます。知見さんは昨年の秋にはネパールの農業視察にも行かれています。そのお話も是非うかがいたいですね。
今、存亡の危機にあるといわれる農を考えることは、即、人間の未来を考える事だろうと思います。タイマグラばあちゃんの自給自足の畑から、遥か遠くに立つボクらの希望は何処にあるのか、を考える集まりにしたいと思っています。
by halunet
| 2007-02-18 00:27
| 農と林と食