2010年 10月 21日
パレスチナ最新情報 10・10・21 |
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■□ ニュース速報 □■
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本日APが伝えるところでは、9月26日の「凍結」解除以来、この3週間に、おそらく600戸以上の入植者住宅基礎工事が着工されました。これは、過去2年間の平均ペースの4倍のスピードになるといいます。すでに15日、エルサレム地区で400戸の入植者住宅建設許可が下りました。パレスチナ側の言葉を借りるまでもなく、イスラエルが真面目に交渉しようとしているとは、誰も思わないでしょう。
労働党閣僚の一人は、入植活動が続くなら「わが党は下野する」といっています(20日)。バラク党首(国防相)がどう考えているかはわかりません。
西岸地区の「壁」建設工事にクレーンを提供したオランダのリース業者が警察の捜索を受けました(14日)。ちなみに、オランダは、「壁」建設を「違法」とした国際司法裁判所の所在地です。それだけ、自国の業者への眼も厳しくなるのかもしれません。
ガザ地区の状況は改善されていないようです。ここを訪れた、「エルダーズ」の一人は、「失うべきものを持たない若者を生みだすこと。これはだれの利益にもならない」と評しました。そのとおりでしょう。
エルサレムでOECDの年次会合が開かれ、5月にメンバーに加わったイスラエルが主催国となっていることに、不覚にも気付きませんでした。これは政治的な意味も小さくないのですが、あまり報道されていないようです。
以下、10月14日以降のニュースです。
【10月14日(木)】
■「壁」建設関与の疑いでオランダの業者を捜索■
西岸地区にイスラエルが建設している「壁」工事に関与している疑いで、オランダ警察は、レンタル業「リワール社」のドルドレヒト(オランダ)本社を捜索、多量の文書とコンピュータ・ファイルを押収した。イスラエリ・ドロン・リヴナト(Israeli Doron Livnat)氏ら同社役員は、国際法違反で起訴される可能性がある。捜査は、パレスチナの人権団体「アル・ハック」の代理人Liesbeth Zegveld弁護士からの訴えを受けたもの。
2004年7月、国際司法裁判所は、「壁」建設を違法として、その取り壊しと被害者に対する補償を勧告。オランダ司法省は、同国の業者に対し、「壁」建設に関与しないよう求めた。
2006年、オランダのテレビがリワール社のロゴ入りのクレーンが「壁」工事現場で撮影、労働党議員が同社の関与について、議会で外相に質問。2008年には、オランダ政府が、同社に、西岸地区での工事に関与しないよう警告していた。
イスラエルの平和団体「グシュ・シャローム」は、「この事件は、イスラエルの国際信用を落とし、孤立化に拍車をかけるもの」と批難している。(10/14 Access International、10/19 Gush Shalom)
■イラン大統領、レバノン南部訪問■
レバノンを公式訪問中のアフマディネジャド・イラン大統領は、ヒズブッラーの拠点レバノン南部のビント・ジュバイル(イスラエルから4km)を訪れ、数万人の歓迎を受けた。大統領は数千人のヒズブッラー支持者を前に演説、「シオニストは死ぬ運命にある」と述た。(9/15 毎日ほか)
【10月15日(金)】
■◆エルサレムの入植者住宅建設を許可◆■
イスラエル住宅省は、同日、占領地エルサレム地区2カ所のユダヤ人入植地で計238戸分の新規住宅建設を許可した。それに対し、PLOのエラカート交渉局長は16日、「ネタニヤフ首相は和平でなく、入植を選んだ」と非難する声明を発表した。
ヤーセル・アブドゥ・ラッボPLO事務局長は、「アメリカがこの程度の小規模な(入植活動)凍結を実現できないとすれば、どうやってもっと大きな問題解決を援助することができるだろうか・・・われわれは、歴史上最も穏健な指導部だが、和平実現に失敗するだろう。ハマースはそれを待っている」と語った。
イスラエルが今回、許可したのはラモット、ピスガトゼエブ両入植地。西岸地区での新規入植住宅建設「凍結」は、先月26日に期限切れ、交渉は中断した。
米国務省のクローリー次官補(広報担当)は15日、イスラエルの建設許可について、「失望した。直接和平交渉への私たちの努力とは正反対だ」と非難した。パレスチナ側は来月上旬に開かれるアラブ連盟会合での協議を経て、継続の是非を判断する。(10/16 毎日、10/15 Reuters)
【10月16日(土)】
■元アイルランド大統領ら、引き続くガザ封鎖を非難■
世界の著名な政治家や社会運動家の長老グループ「エルダーズ」(Elders)のメンバーがガザ地区を訪問、地域の人権活動家、女性活動家、UNRWA職員らと会談した。メリー・ロビンソン(元アイルランド大統領)、エラ・ブハット(インドの女性自立労組SEWA*創設者)、ラフダル・ブラヒミ(元アルジェリア外相・国連代表)の3氏で、中東各地を訪れ、公正で持続可能な平和の実現を訴える計画。
ロビンソン団長は、「訪問はガザ戦争直前の08年以来だが、状況の悪化にショックを受けた。これは人道危機ではない。政治的危機であり、政治的に解決されねばならない。イスラエルと国際社会が、封鎖を全面解除して、ガザの人々が生活を再建、世界とつながることを認めようとしないのは、許しがたい」と語った。
ブハット氏は「ガザ地区では、教育、保健、衛生、その他の社会・経済状態はいっそう悪化している。とくに、ガザ地区の女性の立場を憂慮する。彼女らは平和な未来のためおおいに貢献できるはず。ガザの指導者たちには、女性たちが平和のためにより大きな役割を与えることを期待する」と述べた。
ブラヒミ元外相は、「150万の人々を天井なき牢獄に閉じ込めておくことは、怒りを蓄積させるだけ。失うべきものを持たない若者たちをうみだす。これはだれの利益にもならない」とガザ封鎖を強く非難した。
「エルダーズ」は、07年、ネルソン・マンデラ元南ア大統領の呼びかけで、世界のヴェテラン指導者が参加して結成、コフィ・アナン前国連事務総長、デズモンド・トゥトゥ師、ジミー・カーター元米大統領らが名を連ねる。エルダーズは、続いて、エジプト、シリア、ヨルダン、イスラエル、西岸地区を歴訪する予定。(10/16 WAFA)
(*)SEWAのホームページ:http://www.sewa.org/
【10月17日(日)】
■トゥルケル委員会、船団強襲事件でトルコ人証人を招請■
同日のロイター通信によると、5月31日のイスラエル海軍によるガザ支援船団強襲事件調査のため、イスラエルが設置しているトゥルケル委員会は、トルコ人乗船者と乗組員に対し、イスラエルに来て証言するよう要請した。要請状は、在イスラエルのトルコ大使館に送られたという。
イスラエル当局は、船団の数百人に対し、ガザ封鎖を破ろうとした罪で起訴する意向を示していた。
トゥルケル委員会の広報官によると、招請状は、この点を意識して、「証言を求めるに際して問題があることは承知しているが、トルコ大使館との協力で問題を解決できれば幸いだ」と述べている。
トルコ政府は、イスラエル政府・軍に対する同委員会の権限が限られていることに難色を示しており、トルコ側からの解答は届いていないと同委員会はいっている。(10/17 Reuters)
■ガザ地区空爆でパレスチナ人殺害■
イスラエル軍とパレスチナ医療関係者によると、イスラエル軍はガザ地区北部を空爆、パレスチナ人2人を殺した。軍によると、イスラエルへ向けてロケットか迫撃砲を発射しようとしている複数の男を発見、攻撃したという。ガザ地区でイスラエル軍の攻撃による死者がでたのは、9月27日以来初めて。(10/17 Reuters)
【10月18日(月)】
■イスラエル、チリの鉱夫らをキリスト教聖地に招待■
イスラエル政府は、チリの鉱山落盤事故で救出された作業員三十三人とその家族らを、クリスマスの時期にキリスト教聖地巡礼の旅に招待すると発表した。ミセジニコフ観光相が同日、招待状を発送した。旅行は五~七日間程度。往復航空券やホテル代、国内移動の交通費などはイスラエル側が負担する。(10/19 東京)
■エラカート氏、エルサレムでのOECD会議ボイコットを呼びかけ■
PLOのサエブ・エラカート交渉局長は、イスラエルがOECDにデビューする初舞台「OECDエルサレム会議」参加をボイコットするよう、加盟各国に呼びかけた。
イスラエルは、今年5月10日にOECDに加盟したばかり。同機構の年次会議は、「観光」をテーマに今月20日から22日まで開かれ、シュタス・ミツェシニコフ観光相によると、33加盟国中28カ国が参加を表明している。
エラカート局長は、OECDの会議をエルサレムで開くことは、この都市を「不可分の首都」だとするイスラエルの主張に「お墨付き」を与えることになる、と非難。イスラエルによる東エルサレム占領に抗議するため、会議をボイコットするよう加盟諸国に呼びかけ、イギリスとトルコが参加を見合わせると報道されている。パレスチナ当局者によると、カナダも不参加だという。
一方、ミツェシニコフ観光相は、「イスラエルが新加盟国としてこの会議を主催するのは、たいへん名誉なこと。ボイコットする国のことは聞いていない」と語った。
イスラエルのある当局者によると、OECDのアンジェル・グリア(Angel Gurria)事務局長は、イスラエルのユーヴァル・シュテイニッツ財務相に対し、ミツェシニコフ観光相が会議を政治利用しようとしていると不満を述べたという。
「エルサレムの地位」は、イスラエル=パレスチナ交渉の主要議題のひとつだが、ミツェシニコフ観光相は「イスラエルの首都はエルサレム。これは事実であり、議論の余地はない」と述べ、OECDの年次会合がエルサレムで開かれるということは、「いかに多くの加盟国が、イスラエルを経済強国と評価していること現れ」と強調した。(10/18 Reuters)
【10月19日(火)】
■カナダがハマース幹部殺人容疑者を逮捕■
ハマースの軍事部門幹部、マハムード・アル・マブフーフ氏が今年1月にドバイのホテルで殺害された事件で、カナダ警察は、暗殺犯の一人と見られる人物を逮捕した。しかし、カナダ警察は被疑者名など具体的に明かしておらず、ドバイ警察のダヒ・カルファン・タミーム長官は不満を語った。
この事件では、多数の国にまたがる偽パスポートが利用され、イスラエル諜報機関に関係するとみられる多くの被疑者が捕まっている。(10/19 Reuters)
【10月20日(水)】
■「入植凍結なければ、下野」と労働党閣僚■
イスラエル労働党のマイノリティ問題担当相、アヴィシャイ・ブラヴェルマン氏は、パリでロイター通信の取材に対し、もし、パレスチナ側との交渉が年内に再開されなければ、同党を「ネタニヤフ内閣から脱退させる」と述べた。
労働党首の座を狙うブラヴェルマン氏は、「われわれはそのために必要なあらゆることをする」と語った。現在の党首、エフード・バラク国防相は、入植問題などでアメリカ政府と協議中だが、今までのところ、ネタニヤフ政権への最後通告を控えている。
労働党は、与党連合71議席中13議席で、連立を離脱すれば与党を過半数割れに追い込むことが可能。
「入植活動凍結は主要問題となっているが、本当に重要な問題はユダヤ国家が存続できるか、その市民すべての平等を保障できるかどうかということ」だとブラヴェルマン氏は語った。
「もしわれわれが思い切って聖地(イスラエル/パレスチナ)の分割に同意しなければ、いずれ国連が、ヨルダン川から西全体を一国だと宣言し、イスラエルはアラブ多数派の海にうかぶ島になってしまうだろう」と同氏は述べた。
このインタビューで、ブラヴェルマン閣僚は、「ユダヤ・民主国家としてのイスラエル」への忠誠宣誓を義務づける国籍法改正案を繰り返し批判、「これは馬鹿げた法案だ。指導者たるものウェブサイト上の人気ではなく、なにがユダヤ人のためになるかを考えるべきだ」と述べ、労働党は同法案をつぶすために必要なあらゆることをするだろうと語った。(10/20 Reuters)
【10月21日(木)】
■入植者住宅建設フルスピード■
同日のAP通信によると、9月26日の入植活動「凍結」期限切れ以降、西岸地区では入植者住宅建設がフルスピードで進み、3週間に544戸建設の基礎工事が行われた。これは、過去2年間の建設ペースの4倍以上になる。工事現場には、将来明らかにパレスチナ国家に割り当てられると考えられる土地も含まれている。
パレスチナ自治政府のガッサン・アル・ハティーブ広報官は、「驚くべき数字。イスラエルは和平と占領の終結に本気ではないことの表れだ」と語った。
入植活動を監視しているピース・ナウは、多分600戸以上が着工されたはず、来週、詳しいデータを発表するという。(10/21 AP=Haaretz)
(出典:AP、Access International、Gush Shalom、Haaretz、Reuters、WAFA、
東京、日経、毎日)
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■◇催し案内◇■
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■映画会『届かぬ声-パレスチナ・占領と生きる人々』■
土井敏邦監督のドキュメンタリー『届かぬ声-パレスチナ・占領と生きる人々』四部作。監督による解説もあります。
■日時:10月23(土)24日(日)
◆23日:第一部 『ガザ――「和平合意」はなぜ崩壊したのかー』
開場10時 開演10時20分
:第二部 『侵蝕-イスラエル化されるパレスチナ』 開場13時 開演13時20分
◆24日:第三部 『2つの"平和"自爆と対話』 開場10時 開演10時20分
:第四部 『沈黙を破る』 開場13時 開演13時20分
■場所:常磐大学 U棟101教室
(水戸市見和14301 JR上野駅から水戸駅までJR常磐線特急で約80分前後。
水戸駅北口5番バス乗り場から大学まで約20分)
■料金:学生(常磐大生に限りません):300円(一部ごと)/
一般:1000円(一部ごと。全編参加の方は3000円)
●主催:常磐大学 人間科学部奥山ゼミ&コミュニティ振興学部林ゼミ
●詳細問い合せ先: 常磐大学奥山研究室
(029-232-2562 またはokuyama@tokiwa.ac.jp)
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■◇催し案内◇■
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パレスチナ収穫祭
ーオリーブから考えるパレスチナ問題ー
日本のNGOは、日常的に起きているパレスチナでの人権侵害の現実をさまざまな形で世界に伝え、パレスチナへの支援の輪を拡げ、国際的な圧力をかけようとしています。また人びとの生活や教育、保健、農業などを支え、地域開発に関わっています。フェアトレードという形でパレスチナとつながる企業も存在します。パレスチナの収穫を祝い、現地の人々と一緒に希望を作り出すために、こうした団体が一堂に会するイベントです。
日時:10月30日(土)
時間:13:30~18:30 (13:00開場)
場所:明治学院大学本館10階大会議室
資料代:一般800円、学生500円(ワン・ドリンク付)
主催:アムネスティ・インターナショナル日本/アーユス仏教国際協力ネットワーク/日本国際ボランティアセンター/日本聖公会東京教区「エルサレム教区協働委員会」/日本YWCA/パレスチナ子どものキャンペーン/パレスチナの子供の里親運動/ピースボート/ヒューマンライツ・ナウ/明治学院大学国際平和研究所(PRIME)
プログラム:
〈第一部〉13:40-14:10
紛争からの復興は・・・映像で見るガザ地区
〈第二部〉14:15-15:35
映画『The Iron Wall(鉄の壁)』上映&解説
〈第三部〉15:50-17:00
映画『オリーブの木がある限り』(フランス・2007年・23分)
&トーク・イベント
トークセッション:「パレスチナ・オリーブを生産する人びととフェアトレードの取り組み」
〈第四部〉17:30-18:30
パレスチナ収穫祭(パーティ)
*会場の住所:港区白金台1-2-37
*最寄り駅:南北線、都営三田線「白金台駅」2番出口より徒歩約7分
都営浅草線「高輪台駅」A2番出口より徒歩約7分
品川駅高輪口より都営バス「目黒駅前」行き「明治学院前」下車
*事前の予約は必要ありません。
*第一部から第四部まであり。いずれの部からご参加いただいても結構です。
お問い合わせ先
●アムネスティ・インターナショナル日本
電話:03-3518-6777 Fax:03-3518-6778
http://www.amnesty.or.jp email: camp@amnesty.or.jp
●パレスチナ子どものキャンペーン
電話:03?3953?1393 Fax :03-3953-1394
http://ccp-ngo.jp/ email: ccp@bd.mbn.or.jp
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日本パレスチナ医療協会
Japan Palestine Medical Association (JPMA)
発行人:奈良本英佑
編集人:奈良本英佑・長沢美沙子・森和信
E-mail : jpma@keb.biglobe.ne.jp
Home Page : http://www7b.biglobe.ne.jp/~jpma/
TEL: 090-2167-4802
住所:〒272-0816 千葉県市川市本北方2-6-5
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本日APが伝えるところでは、9月26日の「凍結」解除以来、この3週間に、おそらく600戸以上の入植者住宅基礎工事が着工されました。これは、過去2年間の平均ペースの4倍のスピードになるといいます。すでに15日、エルサレム地区で400戸の入植者住宅建設許可が下りました。パレスチナ側の言葉を借りるまでもなく、イスラエルが真面目に交渉しようとしているとは、誰も思わないでしょう。
労働党閣僚の一人は、入植活動が続くなら「わが党は下野する」といっています(20日)。バラク党首(国防相)がどう考えているかはわかりません。
西岸地区の「壁」建設工事にクレーンを提供したオランダのリース業者が警察の捜索を受けました(14日)。ちなみに、オランダは、「壁」建設を「違法」とした国際司法裁判所の所在地です。それだけ、自国の業者への眼も厳しくなるのかもしれません。
ガザ地区の状況は改善されていないようです。ここを訪れた、「エルダーズ」の一人は、「失うべきものを持たない若者を生みだすこと。これはだれの利益にもならない」と評しました。そのとおりでしょう。
エルサレムでOECDの年次会合が開かれ、5月にメンバーに加わったイスラエルが主催国となっていることに、不覚にも気付きませんでした。これは政治的な意味も小さくないのですが、あまり報道されていないようです。
以下、10月14日以降のニュースです。
【10月14日(木)】
■「壁」建設関与の疑いでオランダの業者を捜索■
西岸地区にイスラエルが建設している「壁」工事に関与している疑いで、オランダ警察は、レンタル業「リワール社」のドルドレヒト(オランダ)本社を捜索、多量の文書とコンピュータ・ファイルを押収した。イスラエリ・ドロン・リヴナト(Israeli Doron Livnat)氏ら同社役員は、国際法違反で起訴される可能性がある。捜査は、パレスチナの人権団体「アル・ハック」の代理人Liesbeth Zegveld弁護士からの訴えを受けたもの。
2004年7月、国際司法裁判所は、「壁」建設を違法として、その取り壊しと被害者に対する補償を勧告。オランダ司法省は、同国の業者に対し、「壁」建設に関与しないよう求めた。
2006年、オランダのテレビがリワール社のロゴ入りのクレーンが「壁」工事現場で撮影、労働党議員が同社の関与について、議会で外相に質問。2008年には、オランダ政府が、同社に、西岸地区での工事に関与しないよう警告していた。
イスラエルの平和団体「グシュ・シャローム」は、「この事件は、イスラエルの国際信用を落とし、孤立化に拍車をかけるもの」と批難している。(10/14 Access International、10/19 Gush Shalom)
■イラン大統領、レバノン南部訪問■
レバノンを公式訪問中のアフマディネジャド・イラン大統領は、ヒズブッラーの拠点レバノン南部のビント・ジュバイル(イスラエルから4km)を訪れ、数万人の歓迎を受けた。大統領は数千人のヒズブッラー支持者を前に演説、「シオニストは死ぬ運命にある」と述た。(9/15 毎日ほか)
【10月15日(金)】
■◆エルサレムの入植者住宅建設を許可◆■
イスラエル住宅省は、同日、占領地エルサレム地区2カ所のユダヤ人入植地で計238戸分の新規住宅建設を許可した。それに対し、PLOのエラカート交渉局長は16日、「ネタニヤフ首相は和平でなく、入植を選んだ」と非難する声明を発表した。
ヤーセル・アブドゥ・ラッボPLO事務局長は、「アメリカがこの程度の小規模な(入植活動)凍結を実現できないとすれば、どうやってもっと大きな問題解決を援助することができるだろうか・・・われわれは、歴史上最も穏健な指導部だが、和平実現に失敗するだろう。ハマースはそれを待っている」と語った。
イスラエルが今回、許可したのはラモット、ピスガトゼエブ両入植地。西岸地区での新規入植住宅建設「凍結」は、先月26日に期限切れ、交渉は中断した。
米国務省のクローリー次官補(広報担当)は15日、イスラエルの建設許可について、「失望した。直接和平交渉への私たちの努力とは正反対だ」と非難した。パレスチナ側は来月上旬に開かれるアラブ連盟会合での協議を経て、継続の是非を判断する。(10/16 毎日、10/15 Reuters)
【10月16日(土)】
■元アイルランド大統領ら、引き続くガザ封鎖を非難■
世界の著名な政治家や社会運動家の長老グループ「エルダーズ」(Elders)のメンバーがガザ地区を訪問、地域の人権活動家、女性活動家、UNRWA職員らと会談した。メリー・ロビンソン(元アイルランド大統領)、エラ・ブハット(インドの女性自立労組SEWA*創設者)、ラフダル・ブラヒミ(元アルジェリア外相・国連代表)の3氏で、中東各地を訪れ、公正で持続可能な平和の実現を訴える計画。
ロビンソン団長は、「訪問はガザ戦争直前の08年以来だが、状況の悪化にショックを受けた。これは人道危機ではない。政治的危機であり、政治的に解決されねばならない。イスラエルと国際社会が、封鎖を全面解除して、ガザの人々が生活を再建、世界とつながることを認めようとしないのは、許しがたい」と語った。
ブハット氏は「ガザ地区では、教育、保健、衛生、その他の社会・経済状態はいっそう悪化している。とくに、ガザ地区の女性の立場を憂慮する。彼女らは平和な未来のためおおいに貢献できるはず。ガザの指導者たちには、女性たちが平和のためにより大きな役割を与えることを期待する」と述べた。
ブラヒミ元外相は、「150万の人々を天井なき牢獄に閉じ込めておくことは、怒りを蓄積させるだけ。失うべきものを持たない若者たちをうみだす。これはだれの利益にもならない」とガザ封鎖を強く非難した。
「エルダーズ」は、07年、ネルソン・マンデラ元南ア大統領の呼びかけで、世界のヴェテラン指導者が参加して結成、コフィ・アナン前国連事務総長、デズモンド・トゥトゥ師、ジミー・カーター元米大統領らが名を連ねる。エルダーズは、続いて、エジプト、シリア、ヨルダン、イスラエル、西岸地区を歴訪する予定。(10/16 WAFA)
(*)SEWAのホームページ:http://www.sewa.org/
【10月17日(日)】
■トゥルケル委員会、船団強襲事件でトルコ人証人を招請■
同日のロイター通信によると、5月31日のイスラエル海軍によるガザ支援船団強襲事件調査のため、イスラエルが設置しているトゥルケル委員会は、トルコ人乗船者と乗組員に対し、イスラエルに来て証言するよう要請した。要請状は、在イスラエルのトルコ大使館に送られたという。
イスラエル当局は、船団の数百人に対し、ガザ封鎖を破ろうとした罪で起訴する意向を示していた。
トゥルケル委員会の広報官によると、招請状は、この点を意識して、「証言を求めるに際して問題があることは承知しているが、トルコ大使館との協力で問題を解決できれば幸いだ」と述べている。
トルコ政府は、イスラエル政府・軍に対する同委員会の権限が限られていることに難色を示しており、トルコ側からの解答は届いていないと同委員会はいっている。(10/17 Reuters)
■ガザ地区空爆でパレスチナ人殺害■
イスラエル軍とパレスチナ医療関係者によると、イスラエル軍はガザ地区北部を空爆、パレスチナ人2人を殺した。軍によると、イスラエルへ向けてロケットか迫撃砲を発射しようとしている複数の男を発見、攻撃したという。ガザ地区でイスラエル軍の攻撃による死者がでたのは、9月27日以来初めて。(10/17 Reuters)
【10月18日(月)】
■イスラエル、チリの鉱夫らをキリスト教聖地に招待■
イスラエル政府は、チリの鉱山落盤事故で救出された作業員三十三人とその家族らを、クリスマスの時期にキリスト教聖地巡礼の旅に招待すると発表した。ミセジニコフ観光相が同日、招待状を発送した。旅行は五~七日間程度。往復航空券やホテル代、国内移動の交通費などはイスラエル側が負担する。(10/19 東京)
■エラカート氏、エルサレムでのOECD会議ボイコットを呼びかけ■
PLOのサエブ・エラカート交渉局長は、イスラエルがOECDにデビューする初舞台「OECDエルサレム会議」参加をボイコットするよう、加盟各国に呼びかけた。
イスラエルは、今年5月10日にOECDに加盟したばかり。同機構の年次会議は、「観光」をテーマに今月20日から22日まで開かれ、シュタス・ミツェシニコフ観光相によると、33加盟国中28カ国が参加を表明している。
エラカート局長は、OECDの会議をエルサレムで開くことは、この都市を「不可分の首都」だとするイスラエルの主張に「お墨付き」を与えることになる、と非難。イスラエルによる東エルサレム占領に抗議するため、会議をボイコットするよう加盟諸国に呼びかけ、イギリスとトルコが参加を見合わせると報道されている。パレスチナ当局者によると、カナダも不参加だという。
一方、ミツェシニコフ観光相は、「イスラエルが新加盟国としてこの会議を主催するのは、たいへん名誉なこと。ボイコットする国のことは聞いていない」と語った。
イスラエルのある当局者によると、OECDのアンジェル・グリア(Angel Gurria)事務局長は、イスラエルのユーヴァル・シュテイニッツ財務相に対し、ミツェシニコフ観光相が会議を政治利用しようとしていると不満を述べたという。
「エルサレムの地位」は、イスラエル=パレスチナ交渉の主要議題のひとつだが、ミツェシニコフ観光相は「イスラエルの首都はエルサレム。これは事実であり、議論の余地はない」と述べ、OECDの年次会合がエルサレムで開かれるということは、「いかに多くの加盟国が、イスラエルを経済強国と評価していること現れ」と強調した。(10/18 Reuters)
【10月19日(火)】
■カナダがハマース幹部殺人容疑者を逮捕■
ハマースの軍事部門幹部、マハムード・アル・マブフーフ氏が今年1月にドバイのホテルで殺害された事件で、カナダ警察は、暗殺犯の一人と見られる人物を逮捕した。しかし、カナダ警察は被疑者名など具体的に明かしておらず、ドバイ警察のダヒ・カルファン・タミーム長官は不満を語った。
この事件では、多数の国にまたがる偽パスポートが利用され、イスラエル諜報機関に関係するとみられる多くの被疑者が捕まっている。(10/19 Reuters)
【10月20日(水)】
■「入植凍結なければ、下野」と労働党閣僚■
イスラエル労働党のマイノリティ問題担当相、アヴィシャイ・ブラヴェルマン氏は、パリでロイター通信の取材に対し、もし、パレスチナ側との交渉が年内に再開されなければ、同党を「ネタニヤフ内閣から脱退させる」と述べた。
労働党首の座を狙うブラヴェルマン氏は、「われわれはそのために必要なあらゆることをする」と語った。現在の党首、エフード・バラク国防相は、入植問題などでアメリカ政府と協議中だが、今までのところ、ネタニヤフ政権への最後通告を控えている。
労働党は、与党連合71議席中13議席で、連立を離脱すれば与党を過半数割れに追い込むことが可能。
「入植活動凍結は主要問題となっているが、本当に重要な問題はユダヤ国家が存続できるか、その市民すべての平等を保障できるかどうかということ」だとブラヴェルマン氏は語った。
「もしわれわれが思い切って聖地(イスラエル/パレスチナ)の分割に同意しなければ、いずれ国連が、ヨルダン川から西全体を一国だと宣言し、イスラエルはアラブ多数派の海にうかぶ島になってしまうだろう」と同氏は述べた。
このインタビューで、ブラヴェルマン閣僚は、「ユダヤ・民主国家としてのイスラエル」への忠誠宣誓を義務づける国籍法改正案を繰り返し批判、「これは馬鹿げた法案だ。指導者たるものウェブサイト上の人気ではなく、なにがユダヤ人のためになるかを考えるべきだ」と述べ、労働党は同法案をつぶすために必要なあらゆることをするだろうと語った。(10/20 Reuters)
【10月21日(木)】
■入植者住宅建設フルスピード■
同日のAP通信によると、9月26日の入植活動「凍結」期限切れ以降、西岸地区では入植者住宅建設がフルスピードで進み、3週間に544戸建設の基礎工事が行われた。これは、過去2年間の建設ペースの4倍以上になる。工事現場には、将来明らかにパレスチナ国家に割り当てられると考えられる土地も含まれている。
パレスチナ自治政府のガッサン・アル・ハティーブ広報官は、「驚くべき数字。イスラエルは和平と占領の終結に本気ではないことの表れだ」と語った。
入植活動を監視しているピース・ナウは、多分600戸以上が着工されたはず、来週、詳しいデータを発表するという。(10/21 AP=Haaretz)
(出典:AP、Access International、Gush Shalom、Haaretz、Reuters、WAFA、
東京、日経、毎日)
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■◇催し案内◇■
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■映画会『届かぬ声-パレスチナ・占領と生きる人々』■
土井敏邦監督のドキュメンタリー『届かぬ声-パレスチナ・占領と生きる人々』四部作。監督による解説もあります。
■日時:10月23(土)24日(日)
◆23日:第一部 『ガザ――「和平合意」はなぜ崩壊したのかー』
開場10時 開演10時20分
:第二部 『侵蝕-イスラエル化されるパレスチナ』 開場13時 開演13時20分
◆24日:第三部 『2つの"平和"自爆と対話』 開場10時 開演10時20分
:第四部 『沈黙を破る』 開場13時 開演13時20分
■場所:常磐大学 U棟101教室
(水戸市見和14301 JR上野駅から水戸駅までJR常磐線特急で約80分前後。
水戸駅北口5番バス乗り場から大学まで約20分)
■料金:学生(常磐大生に限りません):300円(一部ごと)/
一般:1000円(一部ごと。全編参加の方は3000円)
●主催:常磐大学 人間科学部奥山ゼミ&コミュニティ振興学部林ゼミ
●詳細問い合せ先: 常磐大学奥山研究室
(029-232-2562 またはokuyama@tokiwa.ac.jp)
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■◇催し案内◇■
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パレスチナ収穫祭
ーオリーブから考えるパレスチナ問題ー
日本のNGOは、日常的に起きているパレスチナでの人権侵害の現実をさまざまな形で世界に伝え、パレスチナへの支援の輪を拡げ、国際的な圧力をかけようとしています。また人びとの生活や教育、保健、農業などを支え、地域開発に関わっています。フェアトレードという形でパレスチナとつながる企業も存在します。パレスチナの収穫を祝い、現地の人々と一緒に希望を作り出すために、こうした団体が一堂に会するイベントです。
日時:10月30日(土)
時間:13:30~18:30 (13:00開場)
場所:明治学院大学本館10階大会議室
資料代:一般800円、学生500円(ワン・ドリンク付)
主催:アムネスティ・インターナショナル日本/アーユス仏教国際協力ネットワーク/日本国際ボランティアセンター/日本聖公会東京教区「エルサレム教区協働委員会」/日本YWCA/パレスチナ子どものキャンペーン/パレスチナの子供の里親運動/ピースボート/ヒューマンライツ・ナウ/明治学院大学国際平和研究所(PRIME)
プログラム:
〈第一部〉13:40-14:10
紛争からの復興は・・・映像で見るガザ地区
〈第二部〉14:15-15:35
映画『The Iron Wall(鉄の壁)』上映&解説
〈第三部〉15:50-17:00
映画『オリーブの木がある限り』(フランス・2007年・23分)
&トーク・イベント
トークセッション:「パレスチナ・オリーブを生産する人びととフェアトレードの取り組み」
〈第四部〉17:30-18:30
パレスチナ収穫祭(パーティ)
*会場の住所:港区白金台1-2-37
*最寄り駅:南北線、都営三田線「白金台駅」2番出口より徒歩約7分
都営浅草線「高輪台駅」A2番出口より徒歩約7分
品川駅高輪口より都営バス「目黒駅前」行き「明治学院前」下車
*事前の予約は必要ありません。
*第一部から第四部まであり。いずれの部からご参加いただいても結構です。
お問い合わせ先
●アムネスティ・インターナショナル日本
電話:03-3518-6777 Fax:03-3518-6778
http://www.amnesty.or.jp email: camp@amnesty.or.jp
●パレスチナ子どものキャンペーン
電話:03?3953?1393 Fax :03-3953-1394
http://ccp-ngo.jp/ email: ccp@bd.mbn.or.jp
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by halunet
| 2010-10-21 22:03
| パレスチナの平和