2010年 09月 29日
社会的共通資本・創造的福祉社会・ベーシックインカム |
以前、ここでお知らせしたシンポに出席された方の報告が、あるMLで流れました。投稿者の三竹さんに了解をえて、ここに掲載いたします。
以前の記事
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環境シンポジウムの簡単な報告をさせていただきます。
まず、宇沢先生が構想された社会的共通資本(social common capital)というキーワードの説明がありました。社会的共通資本は、一つの国ないし地域が、経済的に豊かで文化的にも優れた魅力ある社会を持続的安定的に可能にするような自然環境や社会的装置であり、司法・行政・金融・医療・教育・農業用灌漑などの経済発展に重要な社会的インフラのことである。
その管理運営は、市場的基準に基づいて、決められるべきものではなくあくまでも、すべての市民の人間的尊厳を守り、魂の自立を保ち、市民的自由が最大限に確保できるような豊かな社会形成への視点に立っており、「市場原理主義」に対抗している。1942年のベヴァリッジ報告書に、この理念と具体化への方法が示されている。
続いて、広井先生が創造的福祉社会の可能性についてお話しになりました。資本主義の進化による構造的な生産過剰と慢性的失業がもたらす貧困に対処するには、資本主義・社会主義・エコロジーのクロス・オーバーが必要である。限りある富の生産と分配については、環境‐福祉‐経済を包括し、都市政策・町づくり・環境政策との統合により、解決しなければならない。今後の社会保障の方向性として、社会保障全体の規模の拡大と基礎年金の充実が必要であるたとえば、人生前半の社会保障・心理社会的ケアに関する社会保障・ストック(特に公共住宅の整備)に関する社会保障など。
福祉政策と街づくりとの総合化に関しては、西欧の都市における様々な試みの紹介がありました。経済の拡大・成長が終焉する「定常型社会」においては新たなる倫理・価値が求められているのではないかとして、「環境と福祉」の融合、および、コミュニティの創造に関わる人間一人ひとりの「存在価値」と「規範的価値」を融合したポジティブ・ウェルフェアにより、「創造的福祉社会」形成が可能になるのではないかと、締めくくられました。
これらを受けて、最後に、登場したのが小沢先生で持論の「ベーシック・インカムのある社会へ向けて」を話されました。資本主義における生活原理は「自助」である。完全雇用と生活できる賃金が保障されていた時代において、「生活に必要な所得は労働して得る」ことになっているが、経済成長は右肩上がりでなくなったという社会経済の変化で、ワーキング・プアの増加など、社会保険に加入すらできない層が増加している今、「自助」のほころびと揺らぎが表出している。
そこで、21世紀型福祉社会においては、「社会サービスの充実」と「ベーシック・インカム」が必要となる。ベーシック・インカムとはすべての個人への無条件な最低生活所得補償であり、社会保障制度の現金給付部分の置き換えである。労働と「所得‐生活」を切り離して考えることであり、「最低生活費非課税」(現、基礎控除、扶養控除など)ではなく最低生活費を現金で支給する方向へのシフトである。こども手当の支給など、すでに現行諸制度では改革が進められている。
これにより、労働は稼ぐためではなく、よりよい人生に向けてポジティブに関与するものとしてとらえられ、たとえば、社会貢献活動や芸術活動に携わる人生設計が可能となるであろう。
私は、活私開公型ボランティア活動を推奨しているのですが、ベーシック・インカム制度により、「働かざる者食うべからず」ではなく、最低限の衣食住費相当の現金給付があれば、「働く」目的は、生活の質を高める余剰分を得るためになります。たとえ辛い労働でも、その対価が、自分の創造性を高めるために使うことができるのであれば、納得がいくのではないでしょうか。「稼ぐ」ために不承不承という後ろ向きの労働意欲ではなく、前向きに自主的な労働意欲をもって拘わる「活私開公型」就労の可能性に巡り合えたような気がしました。
なお、具体的には、115兆円(月額80,000円×12か月×1億2000万人)で、財源は所得税から確保できるとの試算が明示されています。
<記:三竹眞知子 青葉バリアフリーサポート21(ABS21)代表>
青葉バリアフリーサポート21(ABS21)
http://www.abs21.com/
ミュージック・コミュニケーターの会
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環境シンポジウムの簡単な報告をさせていただきます。
まず、宇沢先生が構想された社会的共通資本(social common capital)というキーワードの説明がありました。社会的共通資本は、一つの国ないし地域が、経済的に豊かで文化的にも優れた魅力ある社会を持続的安定的に可能にするような自然環境や社会的装置であり、司法・行政・金融・医療・教育・農業用灌漑などの経済発展に重要な社会的インフラのことである。
その管理運営は、市場的基準に基づいて、決められるべきものではなくあくまでも、すべての市民の人間的尊厳を守り、魂の自立を保ち、市民的自由が最大限に確保できるような豊かな社会形成への視点に立っており、「市場原理主義」に対抗している。1942年のベヴァリッジ報告書に、この理念と具体化への方法が示されている。
続いて、広井先生が創造的福祉社会の可能性についてお話しになりました。資本主義の進化による構造的な生産過剰と慢性的失業がもたらす貧困に対処するには、資本主義・社会主義・エコロジーのクロス・オーバーが必要である。限りある富の生産と分配については、環境‐福祉‐経済を包括し、都市政策・町づくり・環境政策との統合により、解決しなければならない。今後の社会保障の方向性として、社会保障全体の規模の拡大と基礎年金の充実が必要であるたとえば、人生前半の社会保障・心理社会的ケアに関する社会保障・ストック(特に公共住宅の整備)に関する社会保障など。
福祉政策と街づくりとの総合化に関しては、西欧の都市における様々な試みの紹介がありました。経済の拡大・成長が終焉する「定常型社会」においては新たなる倫理・価値が求められているのではないかとして、「環境と福祉」の融合、および、コミュニティの創造に関わる人間一人ひとりの「存在価値」と「規範的価値」を融合したポジティブ・ウェルフェアにより、「創造的福祉社会」形成が可能になるのではないかと、締めくくられました。
これらを受けて、最後に、登場したのが小沢先生で持論の「ベーシック・インカムのある社会へ向けて」を話されました。資本主義における生活原理は「自助」である。完全雇用と生活できる賃金が保障されていた時代において、「生活に必要な所得は労働して得る」ことになっているが、経済成長は右肩上がりでなくなったという社会経済の変化で、ワーキング・プアの増加など、社会保険に加入すらできない層が増加している今、「自助」のほころびと揺らぎが表出している。
そこで、21世紀型福祉社会においては、「社会サービスの充実」と「ベーシック・インカム」が必要となる。ベーシック・インカムとはすべての個人への無条件な最低生活所得補償であり、社会保障制度の現金給付部分の置き換えである。労働と「所得‐生活」を切り離して考えることであり、「最低生活費非課税」(現、基礎控除、扶養控除など)ではなく最低生活費を現金で支給する方向へのシフトである。こども手当の支給など、すでに現行諸制度では改革が進められている。
これにより、労働は稼ぐためではなく、よりよい人生に向けてポジティブに関与するものとしてとらえられ、たとえば、社会貢献活動や芸術活動に携わる人生設計が可能となるであろう。
私は、活私開公型ボランティア活動を推奨しているのですが、ベーシック・インカム制度により、「働かざる者食うべからず」ではなく、最低限の衣食住費相当の現金給付があれば、「働く」目的は、生活の質を高める余剰分を得るためになります。たとえ辛い労働でも、その対価が、自分の創造性を高めるために使うことができるのであれば、納得がいくのではないでしょうか。「稼ぐ」ために不承不承という後ろ向きの労働意欲ではなく、前向きに自主的な労働意欲をもって拘わる「活私開公型」就労の可能性に巡り合えたような気がしました。
なお、具体的には、115兆円(月額80,000円×12か月×1億2000万人)で、財源は所得税から確保できるとの試算が明示されています。
<記:三竹眞知子 青葉バリアフリーサポート21(ABS21)代表>
青葉バリアフリーサポート21(ABS21)
http://www.abs21.com/
ミュージック・コミュニケーターの会
by halunet
| 2010-09-29 11:21
| ベーシックインカム
























