2010年 09月 09日
微生物に餌を十分与え、あとは微生物に任せる(2) |
因果農法 - 勿論、化学肥料、農薬など論外です。
肥料と農薬(施肥・防除)、これはワンセットになっています。消費者は農薬を問題にしますが諸悪の根源は化学肥料や完熟堆肥を代表とする肥料です。
確かに化学肥料や堆肥は作物の肥料になります。しかし土さえでき上がれば、微生物由来(窒素固定や可吸化)のもので吸収量を十分満たします。化学肥料も堆肥も養分バランスを崩し土を殺すだけの無用な代物です。
化学肥料や完熟堆肥(微生物の食べ滓)は、肥効成分の純度が高く(医薬品やサプリメントと同作用)、土壌中の微生物の食べ物にはなりません。そのため作物が健康に育つための土壌環境を整えている、多種多様な微生物群やセンチュウ等の小動物群が餓死してしまいます。
土は本来、水の浄化作用があり、その大部分は微生物の働きによります(発酵型土壌)。肥料を使うと浄化作用に関わっている微生物は死に、有機成分が腐敗・無機化します(腐敗型土壌)。すると土は異臭(ドブと同じ腐敗臭)を発し、硝酸や腐敗成分による水汚染を招きます。
そして、土の団粒構造は壊れ保水性、保肥性、通気通水性が失われ硬く固まります。これでは肥料は有っても作物は有効に利用できません。それを肥料不足と勘違いし安易に肥料や水を大量に与えると作物は養分や水を求めて土壌中深く根を張ろうとしません。
この様に表層にしか根を張れない状態の所に、更に肥料をやればやるほど肥料不足を起こし、潅水すればするほど土は固まり水不足を起こします。
この悪循環に陥って化学肥料の多用を続けると、肥料の保持力を失ったドブ状態の田畑からあふれた窒素や燐は河川を富栄養化し環境破壊を起こします。本来、水の浄化作用を持った農地が反対に水の汚染源になります。
また、吸水性、保水性を失った表土は雨水に容易に流され、河川を埋め生態系を破壊します。更に乾燥地帯や熱帯、亜熱帯地方では砂漠化を招く危険もあります。
但し、化学肥料でも「肥」としなければ無害です。有機物でも「肥」となれば有害です。堆肥でも化学肥料と同様に硝酸汚染が起きます。肥料により不健康でひ弱な作物は病害虫の格好の餌となり、農薬使用に拍車をかけることになります。
人は病原菌とか害虫と呼んでいますが、実はそんなものは存在しません。普段、彼らは弱ったものや役目を終えた動植物を餌としています。彼らは必要不可欠な存在で子孫に残してはいけない性質(DNA)を持ったものを食べたり、枯らしたりして処分してくれている、ありがたい存在でもあるのです。
その証拠に過保護、化学肥料、堆肥、農薬の多用等による軟弱なものには菌害や虫害が出ます。無施肥栽培の柔軟であっても丈夫なものには病気も虫もつきません。但し、栽培法や理由の如何を問わず弱れば虫や菌に食われます。また、同一圃場の作物でも弱っているものから順に菌や虫がつきます。
生物には、それぞれ活躍する場に違いがあり、命の組み立て作用と解体作用の二つの場があり、菌や虫は命の解体作用の場で働きます。この世に無駄なものは存在していない筈です。人の傲慢さから病害虫と呼んでいますが、感謝を込めて処分菌とか掃除虫とでも呼ぶべきでしょう。
南米には「人がサウーバを滅ぼすかサウーバが人を滅ぼすか」と言われる程の繁殖力旺盛なハキリアリがいます。土中の巣穴に葉を運び込みカビを培養して餌としますが、普通このアリはジャガイモの葉を好んで運びます。ところが炭素循環農法の畑のアリは、ジャガイモの葉には見向きもせず、畝間に生えた草をせっせと運んでいます。
容易にカビの生えない健康なジャガイモの葉を運ぶほど、彼らは馬鹿ではありません。尤もどこの世界にも、そそっかしい奴はいるもので、カビの生えにくい物を運び込むこともあり、分かれば直ぐ運び出します。もし、カビが生えず餌が絶たれれば、3日ほどでアリの群れは餓死します(防カビ剤で兵糧攻めにする殺アリ剤に応用)。
農薬使用は化学肥料や堆肥多用の結果に過ぎません。本来必要のないものです。プロの農業者なら先刻ご承知の筈です。不健康な作物にしか菌も虫もつかないということを。何らかの原因で作物が弱ればあっという間に菌や虫の餌食になります。また、収穫後は短期間で鮮度が落ち不味くなり、日持ちせず腐敗します(バクテリアの餌食)。
逆に、美味しくて日持ち良い物は健康だからなのです。要は如何に健康な作物を育てるかです。それには、化学肥料や堆肥で富栄養化の元凶である無機態窒素(硝酸)があふれ出すような、ドブ状態ではお話になりません。
この健康(活力=生命力)ということを殆どの方が誤解しているようです。必ずしも「病気ではない=健康」ではないということです。
健康な(病害虫に犯されない)状態を保つためとの理由から農薬散布をして、それを健康な農産物と称して販売、何の疑問も感じていません。また健康でも病害虫の被害を受けるとも言います。
これはとんだ勘違いで、一見健康そうに見えても不健康だからこそ病害虫の被害を受けるのです。その健康度は虫が教えてくれます。このような病気ではないが健康でもない状態を人では未病と呼んでいます。健康とは病気ではないということではなく、生命力(生命度)に満ち活力があり、病害虫を一切受け付けない状態を健康と呼ぶのです。ですから農薬に頼り予防をしなければならない状態では真に健康とはいえません。
因があり果が生じます。原因を断たない限り、結果を幾らいじり回してもダメです。彼らを殺すことを考えても根本的解決にはなり得ません。
因因因・・・因から正す因果農法、極当たり前の基本です。
活生農法 - 共生(僕らはみーんな生きている♪♪♪)。
病気が出たら菌に処分してもらうことです。ひ弱なものは虫に掃除してもらうことです。それが彼らの役目なのですから、また誰のせいでもありません不健康に育てた自分のせいです。とも言っていられませんから微生物や天敵の助けを借りましょう。但し、あくまでも転換期に限っての応急的な緊急処置です。
有機農法で木酢液や海草エキス、岩石ミネラル液、魚の発酵液、牛乳等を葉面散布することがありますが、これは葉面から養分を吸収させ丈夫するということ以外にも重要な意味があります。
これらには微生物の繁殖に必要なミネラル等がバランスよく含まれていて、葉面の微生物を増やし菌の栄養源となる埃や葉から出た分泌物を食べさせ、菌を兵糧攻めにするという働きがあり、有用微生物の繁殖により他の菌の繁殖を抑制します。
バチルス・ズブチリスは、ある種の病原菌と養分や生育環境が競合するため生物農薬として応用されています。
100倍ほどに薄めた牛乳を散布するとアブラムシが消えてしまいます。海草エキスの散布によりアオムシが食べた葉を吐き出し死んでしまいます。何故でしょう、これは大量に繁殖したバクテリアの働きによるものと思われます。
有機野菜をカルキを含んだ水道水で洗って保存したら直ぐ腐ってしまいましたが、井戸水で洗った物は長期保存しても萎れて黄色くなることはあっても腐ることはなかったそうです。これは表面に付着している有用微生物が腐敗菌の増殖を抑えているためと考えられます。
木酢液(主成分:酢酸、通常200倍~2000倍で噴霧)の高濃度液ならいざ知らず、牛乳や海草エキスに殺菌力や殺虫力があろう筈がありません。ですから下手に牛乳等を化学肥料多用の圃場に散布すると逆に菌にご馳走を与えることになり病気が発生します。虫は牛乳風呂気分で病気で更に軟弱になった作物を喜んで食べるだけです。ですからある程度土ができ上がって初めて有効な手段となりますが、これは過渡期のみで本当に土が良くなれば防虫(菌)対策(対症療法)は特に必要ありません。
忘れてならないことは天敵や微生物に働いて貰うのにタダというわけにはいかないということです。先ず彼らに衣食住の提供をしなければなりません。
彼らは裸ですから衣はおくとして先ず、食です。土壌中の微生物の餌は生の有機物です。堆肥やボカシは滓ですから基本として使いません。木酢液、木炭、海草エキス、魚の発酵液、貝化石、岩石(ミネラル液)等も微生物に必要な微量要素を含んでいて、土壌中の微生物を爆発的に増やし活性化します。
木酢液・木炭は、土壌中の微量成分・水溶性ミネラルを木が長年かけ吸収蓄積した、エキスと結晶。また海草エキス、魚の発酵液等は陸のミネラルが溶け込んだ海水を、魚や海草が濃縮したもののエキスです。そしてミネラルそのものの貝化石や岩石というわけです。
但し、前記のような土壌改良資材は容易に入手可能な場合に限り、必ず必要という物ではありません。慣行農法で土壌の微生物相が極端に貧弱になっている場合、初期に使った方が良いのは微生物です。少々手間が掛かりますが林の腐葉土等から、土着の微生物を採取し拡大培養する方法と、手っ取り早く市販の微生物製剤を使う方法があります。
初期の環境整備役ですから、土壌状態がよくなれば必ずしも必要というわけではありません。絶対に必要なものは微生物の餌だけです。与え方に間違いがなければ、多過ぎるということはありません。また土ができれば、それほど多くは必要としません。しかし何事にも適度というものがあります。
ここで非常に大切なことがあります。微生物は特定の少数の種類では充分力を発揮しないということです。堆肥等では微生物相が偏り貧弱になりやすいのですが、生きた有機物を入れると多種多様な微生物が働きます。一つの微生物が有機物を分解するとその分解物や分泌物、未分解物等を他の微生物が分解します。それを更に分解する微生物が必要で、多様な微生物群の方が効果的です。
そして、この土壌微生物の多様性が、自然の生態系全般の生物多様性を支えています。農耕地では、単に栽培種を増やしたところで生物多様性は保てません。表面を繕う(栽培種の多様性)より、見えない部分(土壌微生物)の多様性がより重要なのです。
早い話が土の中で青草等を腐敗させないように漬物にしたり、納豆?にしたり、ヨーグルト?を作ったりアルコール発酵させたりして土ごとボカシにしようというわけです。
それからもう一つ、微生物にいきなり自給自足を強いても繁殖に時間がかかり、もたもたしていると有機物は腐敗してしまいます。転換期には米糠や糖蜜等の弁当を持たせて爆発的に一気に増やしてやることを忘れないようにして下さい。
住は彼らが自ら土を団粒化し通気性、通水性、保水性の良い状態にし乾燥や寒暖の差に強い土に変えます。土ができてくれば簡単に水不足は起きませんから、むやみに潅水などして好気性菌を窒息死させたり土を固めるような馬鹿な真似は慎まなければなりません。
また好気性菌や嫌気性菌はそれぞれ自分に合った深さの所に住み着いていますから不用意な転地返しなどをしてはいけません(特に初期)。最後に衣です。これは衣食住を兼ねて、生きた有機物資材、木炭等が微生物の棲みかとなります。
微生物や作物自身が耕す範囲が実質的な耕土で、人が耕す範囲ではありません。この事を忘れた、土壌消毒などもってのほかです(たとえ太陽熱や蒸気でも)。微生物叢のリセット効果が狙いで、十分な餌を与え土壌物理性を改善すれば必要ない処置です。彼らを殺せば土が死にます。水田の場合は、水が耕土、土は心土と考えて下さい。微生物の餌は土に鋤き込まず、水に入れます。
天敵の餌は掃除虫(害虫)ですからこれを殺してはいけません。また害虫(なんて呼んでゴメンナサイ)の餌も確保してやらなければなりません。掃除虫は丈夫に育った作物は不味くて?食ませんから、通路や土手の草は邪魔にならない程度に残しておくことです。
これは天敵や掃除虫の棲みかにもなり、更に茎葉は表土の乾燥を防ぎ根は土を柔らかくし、鋤き込めば微生物の餌になります。但し、これは転換初期のみ雑草が役に立つ内は、未だ土ができていない証拠。雑草の役目が終われば自然に生えなくなります。
なお、近くに林や藪があれば小鳥等の大型の天敵の棲みかとなり理想的です。そして何れ、これも必要なくなるのが炭素循環農法なのです。
一見、邪魔者とみえる病原菌、害虫、雑草等を含めどのような手段であっても、殺すことを考えてはいけません。とにかく、環境を含め全てを生(活)かすことです。全てのものが無機的に単独に存在したり、あるいは生きているのではありません。全てが有機的に繋がり自然の秩序の中で生かされています。
自然の模倣が自然農法ではありません。また単に、圃場条件や使用資材を規定した有機JASの基準に従い、有機物資材を使ったからといって「真の有機農法」になるわけでもないのです。肝心な養分循環を自然(主に微生物)に任せ、自然の生物生存の原理による、
有機的な繋がりの中で共に生きるための農法
だから有機・自然農法なのです。進化の頂点に立つヒトは一番身近なもの(人も微生物の塊)である微生物を生かすことによって、他の全ての生物を生かし、活かすことができます。他を生かすことにより初めて人は生きられるのです。
共共共・・・共に生かし生かされ、生き活きる、活生(活性)農法です。敵対するものは何一つありません。これが共に生きる基本です。
基 単純 明快 矛盾なし 準
やってみようかな
補助資材(EM菌・土着菌などの微生物、米糠、木酢液・海藻や魚の発酵エキス・ミネラルなどの微量要素資材、炭などの土壌改良資材)を転換初期に使った方がよいとありますが、化学・天然、無機・有機を問わず、使用目的を理解するまでは使わないで下さい。
使い方次第で大変有用なものですが、高炭素資材以外は一切使わなくてもできます。むしろ、使いこなせない物を使い、無駄な時間と経費・労力を浪費するより、最小限の思考と手間と資材で始めた方が早く成果を上げることができます(自然農法に失敗はない)。
転換時には過去のツケが表面化してきます。そこへ補助資材の目的や作用を理解せず、安易に使ってもマイナス面(有機資材・団粒化成分の浪費など)だけが増幅・強調されます。土作りの進行にブレーキがかかり、混乱するばかりで目的達成も覚束なくなります。さわらぬ物に祟りなし
肥料と農薬(施肥・防除)、これはワンセットになっています。消費者は農薬を問題にしますが諸悪の根源は化学肥料や完熟堆肥を代表とする肥料です。
確かに化学肥料や堆肥は作物の肥料になります。しかし土さえでき上がれば、微生物由来(窒素固定や可吸化)のもので吸収量を十分満たします。化学肥料も堆肥も養分バランスを崩し土を殺すだけの無用な代物です。
化学肥料や完熟堆肥(微生物の食べ滓)は、肥効成分の純度が高く(医薬品やサプリメントと同作用)、土壌中の微生物の食べ物にはなりません。そのため作物が健康に育つための土壌環境を整えている、多種多様な微生物群やセンチュウ等の小動物群が餓死してしまいます。
土は本来、水の浄化作用があり、その大部分は微生物の働きによります(発酵型土壌)。肥料を使うと浄化作用に関わっている微生物は死に、有機成分が腐敗・無機化します(腐敗型土壌)。すると土は異臭(ドブと同じ腐敗臭)を発し、硝酸や腐敗成分による水汚染を招きます。
そして、土の団粒構造は壊れ保水性、保肥性、通気通水性が失われ硬く固まります。これでは肥料は有っても作物は有効に利用できません。それを肥料不足と勘違いし安易に肥料や水を大量に与えると作物は養分や水を求めて土壌中深く根を張ろうとしません。
この様に表層にしか根を張れない状態の所に、更に肥料をやればやるほど肥料不足を起こし、潅水すればするほど土は固まり水不足を起こします。
この悪循環に陥って化学肥料の多用を続けると、肥料の保持力を失ったドブ状態の田畑からあふれた窒素や燐は河川を富栄養化し環境破壊を起こします。本来、水の浄化作用を持った農地が反対に水の汚染源になります。
また、吸水性、保水性を失った表土は雨水に容易に流され、河川を埋め生態系を破壊します。更に乾燥地帯や熱帯、亜熱帯地方では砂漠化を招く危険もあります。
但し、化学肥料でも「肥」としなければ無害です。有機物でも「肥」となれば有害です。堆肥でも化学肥料と同様に硝酸汚染が起きます。肥料により不健康でひ弱な作物は病害虫の格好の餌となり、農薬使用に拍車をかけることになります。
人は病原菌とか害虫と呼んでいますが、実はそんなものは存在しません。普段、彼らは弱ったものや役目を終えた動植物を餌としています。彼らは必要不可欠な存在で子孫に残してはいけない性質(DNA)を持ったものを食べたり、枯らしたりして処分してくれている、ありがたい存在でもあるのです。
その証拠に過保護、化学肥料、堆肥、農薬の多用等による軟弱なものには菌害や虫害が出ます。無施肥栽培の柔軟であっても丈夫なものには病気も虫もつきません。但し、栽培法や理由の如何を問わず弱れば虫や菌に食われます。また、同一圃場の作物でも弱っているものから順に菌や虫がつきます。
生物には、それぞれ活躍する場に違いがあり、命の組み立て作用と解体作用の二つの場があり、菌や虫は命の解体作用の場で働きます。この世に無駄なものは存在していない筈です。人の傲慢さから病害虫と呼んでいますが、感謝を込めて処分菌とか掃除虫とでも呼ぶべきでしょう。
南米には「人がサウーバを滅ぼすかサウーバが人を滅ぼすか」と言われる程の繁殖力旺盛なハキリアリがいます。土中の巣穴に葉を運び込みカビを培養して餌としますが、普通このアリはジャガイモの葉を好んで運びます。ところが炭素循環農法の畑のアリは、ジャガイモの葉には見向きもせず、畝間に生えた草をせっせと運んでいます。
容易にカビの生えない健康なジャガイモの葉を運ぶほど、彼らは馬鹿ではありません。尤もどこの世界にも、そそっかしい奴はいるもので、カビの生えにくい物を運び込むこともあり、分かれば直ぐ運び出します。もし、カビが生えず餌が絶たれれば、3日ほどでアリの群れは餓死します(防カビ剤で兵糧攻めにする殺アリ剤に応用)。
農薬使用は化学肥料や堆肥多用の結果に過ぎません。本来必要のないものです。プロの農業者なら先刻ご承知の筈です。不健康な作物にしか菌も虫もつかないということを。何らかの原因で作物が弱ればあっという間に菌や虫の餌食になります。また、収穫後は短期間で鮮度が落ち不味くなり、日持ちせず腐敗します(バクテリアの餌食)。
逆に、美味しくて日持ち良い物は健康だからなのです。要は如何に健康な作物を育てるかです。それには、化学肥料や堆肥で富栄養化の元凶である無機態窒素(硝酸)があふれ出すような、ドブ状態ではお話になりません。
この健康(活力=生命力)ということを殆どの方が誤解しているようです。必ずしも「病気ではない=健康」ではないということです。
健康な(病害虫に犯されない)状態を保つためとの理由から農薬散布をして、それを健康な農産物と称して販売、何の疑問も感じていません。また健康でも病害虫の被害を受けるとも言います。
これはとんだ勘違いで、一見健康そうに見えても不健康だからこそ病害虫の被害を受けるのです。その健康度は虫が教えてくれます。このような病気ではないが健康でもない状態を人では未病と呼んでいます。健康とは病気ではないということではなく、生命力(生命度)に満ち活力があり、病害虫を一切受け付けない状態を健康と呼ぶのです。ですから農薬に頼り予防をしなければならない状態では真に健康とはいえません。
因があり果が生じます。原因を断たない限り、結果を幾らいじり回してもダメです。彼らを殺すことを考えても根本的解決にはなり得ません。
因因因・・・因から正す因果農法、極当たり前の基本です。
活生農法 - 共生(僕らはみーんな生きている♪♪♪)。
病気が出たら菌に処分してもらうことです。ひ弱なものは虫に掃除してもらうことです。それが彼らの役目なのですから、また誰のせいでもありません不健康に育てた自分のせいです。とも言っていられませんから微生物や天敵の助けを借りましょう。但し、あくまでも転換期に限っての応急的な緊急処置です。
有機農法で木酢液や海草エキス、岩石ミネラル液、魚の発酵液、牛乳等を葉面散布することがありますが、これは葉面から養分を吸収させ丈夫するということ以外にも重要な意味があります。
これらには微生物の繁殖に必要なミネラル等がバランスよく含まれていて、葉面の微生物を増やし菌の栄養源となる埃や葉から出た分泌物を食べさせ、菌を兵糧攻めにするという働きがあり、有用微生物の繁殖により他の菌の繁殖を抑制します。
バチルス・ズブチリスは、ある種の病原菌と養分や生育環境が競合するため生物農薬として応用されています。
100倍ほどに薄めた牛乳を散布するとアブラムシが消えてしまいます。海草エキスの散布によりアオムシが食べた葉を吐き出し死んでしまいます。何故でしょう、これは大量に繁殖したバクテリアの働きによるものと思われます。
有機野菜をカルキを含んだ水道水で洗って保存したら直ぐ腐ってしまいましたが、井戸水で洗った物は長期保存しても萎れて黄色くなることはあっても腐ることはなかったそうです。これは表面に付着している有用微生物が腐敗菌の増殖を抑えているためと考えられます。
木酢液(主成分:酢酸、通常200倍~2000倍で噴霧)の高濃度液ならいざ知らず、牛乳や海草エキスに殺菌力や殺虫力があろう筈がありません。ですから下手に牛乳等を化学肥料多用の圃場に散布すると逆に菌にご馳走を与えることになり病気が発生します。虫は牛乳風呂気分で病気で更に軟弱になった作物を喜んで食べるだけです。ですからある程度土ができ上がって初めて有効な手段となりますが、これは過渡期のみで本当に土が良くなれば防虫(菌)対策(対症療法)は特に必要ありません。
忘れてならないことは天敵や微生物に働いて貰うのにタダというわけにはいかないということです。先ず彼らに衣食住の提供をしなければなりません。
彼らは裸ですから衣はおくとして先ず、食です。土壌中の微生物の餌は生の有機物です。堆肥やボカシは滓ですから基本として使いません。木酢液、木炭、海草エキス、魚の発酵液、貝化石、岩石(ミネラル液)等も微生物に必要な微量要素を含んでいて、土壌中の微生物を爆発的に増やし活性化します。
木酢液・木炭は、土壌中の微量成分・水溶性ミネラルを木が長年かけ吸収蓄積した、エキスと結晶。また海草エキス、魚の発酵液等は陸のミネラルが溶け込んだ海水を、魚や海草が濃縮したもののエキスです。そしてミネラルそのものの貝化石や岩石というわけです。
但し、前記のような土壌改良資材は容易に入手可能な場合に限り、必ず必要という物ではありません。慣行農法で土壌の微生物相が極端に貧弱になっている場合、初期に使った方が良いのは微生物です。少々手間が掛かりますが林の腐葉土等から、土着の微生物を採取し拡大培養する方法と、手っ取り早く市販の微生物製剤を使う方法があります。
初期の環境整備役ですから、土壌状態がよくなれば必ずしも必要というわけではありません。絶対に必要なものは微生物の餌だけです。与え方に間違いがなければ、多過ぎるということはありません。また土ができれば、それほど多くは必要としません。しかし何事にも適度というものがあります。
ここで非常に大切なことがあります。微生物は特定の少数の種類では充分力を発揮しないということです。堆肥等では微生物相が偏り貧弱になりやすいのですが、生きた有機物を入れると多種多様な微生物が働きます。一つの微生物が有機物を分解するとその分解物や分泌物、未分解物等を他の微生物が分解します。それを更に分解する微生物が必要で、多様な微生物群の方が効果的です。
そして、この土壌微生物の多様性が、自然の生態系全般の生物多様性を支えています。農耕地では、単に栽培種を増やしたところで生物多様性は保てません。表面を繕う(栽培種の多様性)より、見えない部分(土壌微生物)の多様性がより重要なのです。
早い話が土の中で青草等を腐敗させないように漬物にしたり、納豆?にしたり、ヨーグルト?を作ったりアルコール発酵させたりして土ごとボカシにしようというわけです。
それからもう一つ、微生物にいきなり自給自足を強いても繁殖に時間がかかり、もたもたしていると有機物は腐敗してしまいます。転換期には米糠や糖蜜等の弁当を持たせて爆発的に一気に増やしてやることを忘れないようにして下さい。
住は彼らが自ら土を団粒化し通気性、通水性、保水性の良い状態にし乾燥や寒暖の差に強い土に変えます。土ができてくれば簡単に水不足は起きませんから、むやみに潅水などして好気性菌を窒息死させたり土を固めるような馬鹿な真似は慎まなければなりません。
また好気性菌や嫌気性菌はそれぞれ自分に合った深さの所に住み着いていますから不用意な転地返しなどをしてはいけません(特に初期)。最後に衣です。これは衣食住を兼ねて、生きた有機物資材、木炭等が微生物の棲みかとなります。
微生物や作物自身が耕す範囲が実質的な耕土で、人が耕す範囲ではありません。この事を忘れた、土壌消毒などもってのほかです(たとえ太陽熱や蒸気でも)。微生物叢のリセット効果が狙いで、十分な餌を与え土壌物理性を改善すれば必要ない処置です。彼らを殺せば土が死にます。水田の場合は、水が耕土、土は心土と考えて下さい。微生物の餌は土に鋤き込まず、水に入れます。
天敵の餌は掃除虫(害虫)ですからこれを殺してはいけません。また害虫(なんて呼んでゴメンナサイ)の餌も確保してやらなければなりません。掃除虫は丈夫に育った作物は不味くて?食ませんから、通路や土手の草は邪魔にならない程度に残しておくことです。
これは天敵や掃除虫の棲みかにもなり、更に茎葉は表土の乾燥を防ぎ根は土を柔らかくし、鋤き込めば微生物の餌になります。但し、これは転換初期のみ雑草が役に立つ内は、未だ土ができていない証拠。雑草の役目が終われば自然に生えなくなります。
なお、近くに林や藪があれば小鳥等の大型の天敵の棲みかとなり理想的です。そして何れ、これも必要なくなるのが炭素循環農法なのです。
一見、邪魔者とみえる病原菌、害虫、雑草等を含めどのような手段であっても、殺すことを考えてはいけません。とにかく、環境を含め全てを生(活)かすことです。全てのものが無機的に単独に存在したり、あるいは生きているのではありません。全てが有機的に繋がり自然の秩序の中で生かされています。
自然の模倣が自然農法ではありません。また単に、圃場条件や使用資材を規定した有機JASの基準に従い、有機物資材を使ったからといって「真の有機農法」になるわけでもないのです。肝心な養分循環を自然(主に微生物)に任せ、自然の生物生存の原理による、
有機的な繋がりの中で共に生きるための農法
だから有機・自然農法なのです。進化の頂点に立つヒトは一番身近なもの(人も微生物の塊)である微生物を生かすことによって、他の全ての生物を生かし、活かすことができます。他を生かすことにより初めて人は生きられるのです。
共共共・・・共に生かし生かされ、生き活きる、活生(活性)農法です。敵対するものは何一つありません。これが共に生きる基本です。
基 単純 明快 矛盾なし 準
やってみようかな
補助資材(EM菌・土着菌などの微生物、米糠、木酢液・海藻や魚の発酵エキス・ミネラルなどの微量要素資材、炭などの土壌改良資材)を転換初期に使った方がよいとありますが、化学・天然、無機・有機を問わず、使用目的を理解するまでは使わないで下さい。
使い方次第で大変有用なものですが、高炭素資材以外は一切使わなくてもできます。むしろ、使いこなせない物を使い、無駄な時間と経費・労力を浪費するより、最小限の思考と手間と資材で始めた方が早く成果を上げることができます(自然農法に失敗はない)。
転換時には過去のツケが表面化してきます。そこへ補助資材の目的や作用を理解せず、安易に使ってもマイナス面(有機資材・団粒化成分の浪費など)だけが増幅・強調されます。土作りの進行にブレーキがかかり、混乱するばかりで目的達成も覚束なくなります。さわらぬ物に祟りなし
by halunet
| 2010-09-09 16:10
| 農と林と食