2010年 08月 27日
◆JPMAメルマガ◆ パレスチナ最新情報 10・08・27 |
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■□ ニュース速報 □■
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編集者多忙のため、事務局からお送りします。
PLOがついに直接交渉受諾を決めました。入植地建設凍結が前提条件と主張していたのですが、それが満たされない状態での受諾です。クリントン米国務長官は、「前提条件なしでなければならない」と強く主張しています。アッバス大統領に強い圧力がかかったことが、容易に予想されます。交渉は9月2日から始まります。9ヶ月前に始まった西岸入植地建設凍結は9月26日に期限が切れます。交渉が始まっても、入植地凍結をめぐる交渉に終始し、容易に先へ進むことはなさそうです。交渉期間は1年となっていますが、1ヶ月ももたないかも知れません。
イスラエル入植者グループがウィキペディア(誰でも編集できるオンライン上の百科事典)の書き換え講習会を開いたと先週のメルマガで報じましたが、今週パレスチナのジャーナリストグループが対抗処置をとると受けて立つ構えを見せました。"Israeli settlement”や"Jerusalem"、"Goldstone report"等論争のあるテーマに、今後Wikipedia英語版で激しい書き換え合戦が起きる気配です。
以下8月19日以降のニュースです。
8月19日(木)
●UN,ガザ内部の立ち入り禁止緩和を強く要請
UNOCHA(国連人道問題調整事務所)はレポートを発表し、農地と漁場への立ち入り制限がガザ住民に大きな悪影響を与えているとし、制限の大幅緩和を要請した。2008年後半以来ガザ住民は1949年のグリーンラインから1.5km以内の土地、海岸から5.5km以降の海域の立ち入りを禁止されてきた。これはガザ域の17%、農地の35%にあたり、また1993年のオスロ合意で認められた漁業域の85%にあたる。ガザ人口の12%にあたる17,8000人が直接影響を受けている。ガザ農民は過去5年で3億ドル(毎年潜在的に75,000トンの農産物)を失い、ガザ漁民は2650万ドルの損失を蒙っている。(BBC)
●ゴールドストーン報告、その後
UNはゴールドストーン報告で要求した、イスラエル・パレスチナ双方から出された調査結果をまとめた247ページの報告書を公開した。ゴールドストーン報告で要求された報告を、イスラエル・パレスチナ双方が提出したが、イスラエルは軍が行った報告で、第三者の委員会が行ったものではない。パレスチナ側はPAが行った報告で、ハマスが行った調査については触れられていない。(Al-Jazeera、Haaretz)
8月20日(金)
●カランディア検問所で小戦闘、隔離壁一部破壊
18日から19日にかけての深夜、ラマッラ近郊カランディア難民キャンプの隔離壁の近くで、大きな爆発音と銃撃音が聞かれた。隔離壁の一部が破壊された。パレスチナ人の若者がカランディア検問所へ投石し、イスラエル国境警備隊が催涙弾やゴム被膜弾で応じた。爆発音が聞かれて数時間後、数万のパレスチナ人が検問所へ集まってきた。19日(金)はラマダン後2回目の礼拝日だったが、イスラエル側は特に手立てを講じていなかった。(Maan news)
●パレスチナ、直接交渉入りを受け入れる
PLO執行委員会は19日、クリントン米国務長官の招待を受け入れ、9月2日からイスラエルとの直接交渉にはいることを決めた。パレスチナ側は直接交渉にはいるには、入植地の新規建設中止を主張していた。イスラエル側は無条件を主張していた。クリントン米国務長官は、直接交渉再会にあたって、前提条件はないと語った。
前回の大統領選の候補にもなったPalestinian National IInitiativeの指導者バルグーティは、米国がイスラエルの条件の前に屈服したのは恥ずべきことだと語った。
8月21日(土)
●レバノンのパレスチナ難民の帰化をレバノン議員団が憂慮
レバノンのChange and Reform議員連盟は、先週レバノン議会がパレスチナ難民へ労働権を与えると決めたことは、将来パレスチナ難民の帰化につながると懸念を表明した。パレスチナ人に対して不動産の所有権や社会保障、職業選択の自由などを認めるよう議案が提出されていた。約42万5千人のパレスチナ難民がUNRWAに登録されていて、12の難民キャンプに住んでいる。2005年にUNがパレスチナ人の職業選択の自由獲得に乗り出し、現在法律によって、レバノンで生まれた難民は聖職や上位の職につけるようになったが、多くの難民は今も医師や弁護士、技術者、会計士の職等につけないでいる。議案が提出された直後にPLOレバノン代表アブダッラ・アブダッラは、政治的権利の獲得までは考えていないと語っていた。
●レバノンの女性ガザ支援船「マリアム」号のガザ航海が延期
パレスチナ国会議員でもある、Popular Committee Against the Seige代表のジャマル・アル-ホダリは、レバノンの支援船マリアム号のガザへ向けての出航は巨大な外部圧力によって、延期せざるをえなくなったと語った。レバノンの女性ガザ支援船「マリアム」号がリビヤからガザへ向けて21日に出帆すると同船団の主催者が語っていた。すでにレバノン政府から公式文書を得ていて、同船団にはレバノン、ヨーロッパ、米国の60人の女性が乗り込み、透析器等の医療品や人道物質を運ぶ予定だった。バラク・イスラエル国防相は、ガザへの航海に固執するなら、同船団の航海を妨害し、アシュドッド港へ曳航すると語っていた。(IMEMC)
8月22日(日)
●カルテット声明遵守なければ、直接交渉は晩餐会で終わるだろう
ファタハ中央委員のアザム・アル-アハマドは、米国がカルテット(米・英・露・UN)の声明を遵守しないならば、オバマの招待は晩餐会以上のものにはならないだろうと語った。パレスチナ・イスラエル双方がロードマップを遵守し、特にイスラエルが「人口の自然増をも含んだ入植活動を凍結すること」を要求した3月19日のカルテット声明をカルテットは再確認したが、クリントンは「無条件」を主張している。
アッバス大統領はカルテットの指導者達に書簡を出し、「入植地と和平は共存しえない。イスラエルが入植地建設を続けるという決定はイスラエルが交渉を止めると決めたことだ」と書いた。
10ヶ月間の入植地新規建設凍結が9月26日に切れる。ネタニヤフ内閣の閣僚の多くは凍結延長に反対するだろうと信じられている。一方New America Foundation public policy instituteのスティーブ・クレモンズは、「ホワイトハウスの高官から”イスラエルは入植地凍結を延長すれるだろうと非公式に聞いた”と聞かされた」と語った。(Maan news, Al-Jazeera, BBC)
8月23日(月)
●UNのガザ支援船団襲撃事件調査団がトルコとヨルダンへ
UNのガザ支援船団襲撃事件調査団がトルコで聴取を開始した。調査団に随行するジャン・カルロス・モンジェは、トルコとヨルダンで目撃者や政府関係者から聴取するが、イスラエルからは聴取を拒否されたと語った。結果は、9月27日にバン・キ・ムン国連事務総長の調査委員会に報告される。調査団はすでにロンドンとジュネーブでの聴取を済ませている。またニュージーランドのパーマー元首所率いる別のUNの調査委員会も調査を進めている。(Maan news, Haaretz)
8月24日(火)
●ビバ・パレスチナ、最大規模のコンボイ編成を計画
英国の国会議員ジョージ・ギャロウェイ率いるビバ・パレスチナは、これまでで最大規模のコンボイを9月18日にガザへ向け出発させると語った。コンボイはViva Palestina Global Lifeline To Gazaと名づけられ、ヨーロッパから陸路ガザへ向かい10月上旬に到着予定という。ビバ・パレスチナはこれまで3回のコンボイで、1000人以上、450台以上の車両を編成してきた。(Maan news)
8月25日(水)
●西岸の井戸掘削要求拒否される
PA(西岸)は、ジェニン地区でPAが掘りたいと要求していた4つの井戸の掘削をイスラエルは拒否したと語った。さらに、掘削を認める場合には西岸全域での水の消費量の監視を要求してきたと語った。PAは、井戸の新規開発は、パレスチナ国家の独立と存続にとって核心的な課題だと語った。(Maan news)
●リーベルマン外相「凍結延長はない」
イスラエルのリーベルマン外相は、来月に切れる10ヶ月間の入植地新規建設凍結期間の後は、建設を再開しない理由はないと語った。アッバス大統領は数日前、凍結延長にならなければ、直接交渉から撤退するとかたっていたが、それを受けて23日に米国務省広報官クローリは、直接交渉の中で凍結を延長するか終わらせるかが話し合われると語っていた。直接交渉は9月2日に開始され、現行の凍結期間は9月26日で切れる。
(Haaretz)
8月26日(木)
●コーラン朗誦中はをスピーカの電源を切ること
コーラン朗誦をスピーカから流すことを禁止したPA(西岸)の決定を議論するため、ナブルスの学者や商人、地区指導者らからなる使節が、25日ラマッラでマハムード・アル-ハバシュ宗教相と話し合いをもった。今週の初めになされたその決定は、多くの宗教関係者やガザのハマスに大きな怒りをもたらした。宗教省はイスラム法典にのっとって法律を適用するが、コーラン朗誦中はをスピーカの電源を切ることという決定はイスラム法典に抵触しない、とハバシュ宗教相は語った。(Maan news)
●次の局地戦はメディア戦争
次の局地戦はメディア戦争になるだろうと、パレスチナ・ジャーナリスト連合(Palestinian Journalists Syndicate、PJS)のアブドゥル・ナセル・アン-ナジャル代表が語った。今週エルサレムでシオニストが開いたオンライン百科事典ウィキペディアの書き換え講習会について彼はこう語った。ウィキペディアは誰でも編集できる共同制作型のインターネット上のサイト。入植地やエルサレム、イスラエルのガザ政策等が論争の的になっている。PJSは対抗する編集グループを立ち上げ、PAに支援を求めていくとアン-ナジャルは語った。(Maan news)
●ネタニヤフ首相が部分的な入植地建設凍結を検討
ネタニヤフ首相が部分的な入植地建設凍結を検討していると、イスラエルの日刊紙イェディオト・アハロノトが報じた。同首相は連立内閣に分裂の危機を招きかねないため、公式に発表できないでいる。一方米国は大掛かりな入植地建設再開が起きないことに満足の意を表すだろうと報じた。(Maan news)
(出典 Al-jazeera, IMEMC, Maan news, Haaretz, BBC)
<注1>07年6月、ハニヤ氏はアッバース大統領によって首相を解任され、ファイヤド氏が首相に任命されました。また、アッバース大統領の任期は、昨年1月9日で切れています。法的には、3氏の地位とも問題をかかえています。しかし、パレスチナ自治政府は事実上分裂しており、アッバース氏は、大統領としての権限を行使、ハニヤ氏はガザ政権、ファイヤド氏は西岸政権でそれぞれ「首相」としての職務を行っています。このため、引き続き、ハニヤ氏、ファイヤド氏にはいずれも「首相」、アッバース氏には「大統領」のタイトルを付すことにします。
<注2> 各ニュース記事末尾の(カッコ)内は、その主なニュース源です。必ずしも、元の記事の翻訳や抄訳ではありません。とくに断らない限り、Webサイト上の情報です。日本語ニュースの場合、固有名詞の標記などは、編集者の判断で変えることがあります。
<注3> この速報では、東京外大AA研からの「中東ニュース」と、フランス語紙翻訳グループ「ジャリーダ・ファランスィーヤ」による記事を時々利用させていただいております。編集者の責任で、記事を短縮する場合があります。
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by halunet
| 2010-08-27 23:37
| パレスチナの平和