2010年 08月 18日
◆JPMAメルマガ◆ パレスチナ最新情報 10・08・13 |
┏━━━━━━━┓
■□ ニュース速報 □■
┗━━━━━━━┛
ここには掲載しませんでしたが、パレスチナ側に対し、イスラエルとの直接交渉再開を求める圧力が増しています。8月中に再開という観測が多くなっています。
イスラエル政府が設置した、ガザ支援船団強襲事件の調査委員会「トゥルケル委員会」のによる証人喚問が始まり、ネタニヤフ首相、バラク国防相、アシュケナジ参謀総長らが連日証言しました。非公開ですが、報道によると、それぞれ話しの内容が食い違い、責任のなすりあいも見られます。面白いのは、10日に行われたバラク国防相の証言。情報源Haaretzの記事全文を見たい方は、以下のサイトをどうぞ:
http://www.haaretz.com/print-edition/news/defense-minister-blames-milita
ry-for-failure-of-gaza-flotilla-operation-1.307224
パレスチナ自治政府のファイヤド首相が呼びかけた、西岸地区の入植地産品ボイコットが成果を挙げているようです。対象となった会社名は、ローマ字のまま記しておきました。
本日13日のニュースは、時間切れで間に合いませんでした。来週に掲載します。
以下8月5日以降のニュースです。
【8月5日(木)】
■イスラエル、ガザ支援船団の3隻を返還■
イスラエルは、5月31日に拿捕した、ガザ支援船団6隻中3隻をトルコに返還することに同意、同日、マヴィ・マルマラ号が、トルコのタグボートに曳航され、ハイファー港を出た。同船では、強襲したイスラエル兵により乗船者9人が殺されている。アシュドッド港に繋留されているトルコ船籍の2隻も13日に出航し、トルコに返されると、両国の当局者は述べた。
イスラエルの当局者によると、外務省は、「トルコが、ガザ封鎖を破るトルコ船を阻止してくれるものと期待する」とのメッセージを送った。このメッセージには、ガザ地区向けの物資は、「国際社会に受け入れられ、諸協定で認められているような方法で陸路から同地区に搬入される」と記されているという。
トルコ船籍以外の3隻と、続いてガザ地区に向かったアイルランド籍船レイチェル・コリー号は、依然イスラエルに繋留されている。(8/5 Reuters)
【8月6日(金)】
■ニイリン村で「壁」反対闘争の死者を追悼■
「壁」反対闘争を続ける西岸地区ニイリン村(ラーマッラー近郊)の金曜定例デモで、2年前の非暴力抗議行動中イスラエル兵に殺された、ユースフ・アミラさ
んの追悼式が行われた。
村人たちは、「壁」によって取上げられようとしている土地で追悼式を挙行。このあと、アミラさんの遺影とパレスチナ旗を掲げ、工事現場へ行進した。イスラエル軍はデモに向け、数十発の催涙ガス弾を発射した。
過去2年間に、同村では「壁」反対闘争に参加した、子どもを含む5人が殺されている。
この日、近くのビルイン村では、正午から「壁」抗議のデモが行われ、村民のほか、近くのサマー・キャンプに参加しているイスラエル人と外国人の平和活動家が加わった。デモは、「壁」抗議やパレスチナ陣営内の統一を訴えるスローガンを掲げて行進。
デモが工事現場に近づくと、イスラエル軍は催涙ガス弾やゴム被覆金属弾を発射。このあと、兵士と若者たちの衝突があった。(8/6 IMEMC)
■イスラエル各地でパレスチナ人住宅破壊抗議デモ■
東エルサレムのシャイク・ジャラ地区でパレスチナ人2家族の住宅が取り壊されて1周年を迎え、テル・アヴィヴなど大小15町村で、パレスチナ人住宅破壊に抗議するイスラエル平和活動家らの集会やデモが行われた。テル・アヴィヴで700人、ハイファー、ワディ・アラ、タイベなどでそれぞれ100人を含め1000人以上が参加した。
シャイク・ジャラ地区では、08年のエルサレム地裁の決定を受け、09年8月に住宅取り壊しが行われ、以降、同地区でのパレスチナ人住宅撤去が進み、パレスチナ人住民とイスラエルの平和活動家が抗議、イスラエル治安部隊と衝突を繰り返している。
この日の抗議行動には、クネセト(イスラエル国会)のドヴ・ケニン議員(ハダシュ)、国際的にも知られるイスラエル作家ダヴィド・グロスマン氏も参加した。
(8/7 IMEMC)
【8月7日(土)】
■パレスチナ自治政府「国際部隊兵士の宗教は問わない」■
アッバース自治政府大統領のニムル・ハンマド顧問は、パレスチナの公式通信社WAFAに対し、同大統領が将来のパレスチナ国家の国境警備に認めている国際部隊について、兵士の宗教は問題にならないとする声明を発表した。
声明によると、アメリカなどのメディアのなかには、アッバース大統領が、この国際部隊のなかにユダヤ教徒の兵士が参加するのを認めないと報じているものがあるが、全く事実に反する。
「大統領は、AIPACの指導者を含むさまざまな人々との会談のなかでも、ジャーナリストの取材に対してもたびたび明らかにしているとおり、彼の立場は明白。国際部隊の駐留は、兵士らの宗教とはかかわりなく受け入れる。ただし、イスラエル兵だけは、ユダヤ教徒であれ、異教徒であれ受け入れない」と声明は述べている。(8/7 WAFA)
<編集部注>イスラエル軍は、イスラエル国籍を持つイスラームの異端派とされるドルーズ教徒の兵士を含んでいる。
【8月8日(日)】
■イスラエル軍次期参謀総長ポストで報道合戦■
イスラエル軍次期参謀総長ポストをめぐる情報のリークについて、ネタニヤフ首相は、検事総長に捜査を命じた。イスラエル軍では、将官クラスの間で、参謀総長ポスト争いは珍しくないが、報道が過熱、首相は水をかけることが必要と判断した。
来年2月に任期切れとなるガビ・アシュケナジ中将の後任として有力視されているのは、数年間ガザ地区への作戦を指揮してきたヨアヴ・ガラント将軍と、06年の第2次レバノン戦争で地上軍を指揮したベンジャミン・ガンツ将軍。2人とも51歳、海外で評判は悪いが、イスラエルでは人気がある。
このほか、ガディ・アイセンコット、ガディ・シャムニ、アヴィ・ミズラヒらの名前が下馬評にあがっている。(8/8 Reuters)
【8月9日(月)】
■船団強襲事件でネタニヤフ首相が証言■
ガザ支援船団がイスラエル軍に襲撃され、活動家9人が死亡した事件で、イスラエルのネタニヤフ首相は、政府設置の調査委員会(委員長=ヤコブ・トゥルケル元判事)の公聴会で証言した。首相は、軍の行動が国際法に照らして適法だったとの主張を繰り返した。首相は、支援船が現場海域に到達する直前の主要閣僚会議で「人に危害を加えない最大限の努力をするように」との指示を出したと説明。しかし、兵士たちが活動家たちに襲われ「命の危険にさらされた」ため、発砲は「正当防衛」と述べた。(8/10 毎日)
■アメリカ、レバノン軍支援一時停止■
米国がレバノン軍を支援する予算支出が、下院外交委員会のバーマン委員長(民主)の異議申し立てで停止された。9日の声明によると「ヒズボラのレバノン軍への浸透を懸念する」として、政府が2日(米東部時間)に支出停止の措置を講じた。3日に起きたレバノン軍とイスラエル軍の衝突を受けたもの。
米メディアによると、支出停止は議会権限による暫定的なものだが、複数の議員が委員長に同調。委員長は親イスラエルとされ、11月の中間選挙でユダヤ系票を当て込んだ動きとの見方もある。
一方、在ベイルートのイラン大使は10日、米国からの1億ドルを埋め合わせするとレバノン軍に申し出た。
レバノンのエリアス・ムッル国防相は、11日、アメリカが提供する武器をイスラエルに対して使わせないというなら、レバノン軍への軍事援助を拒否すると語った。(この項 8/11 Haaretz)
11日付汎アラビア語紙アッシャルク・アウサトによると、レバノン軍とイスラエル軍が交戦した後、バラク・イスラエル国防相は一時、レバノン軍に対する大規模攻撃の意向をクシュネル仏外相に示した。またイスラエルは外交チャンネルを通じ、フランスがレバノンに提供する武器がヒズボラに渡る可能性があるとして中断を要請したという。(8/12 毎日)
■ヒズブッラー「レバノン首相暗殺はイスラエル」■
レバノンのヒズブッラー最高指導者ナスラッラー師は、05年のハリリ元首相暗殺事件にイスラエルが関与したことを示す「証拠」だとする航空ヴィデオを公表した。イスラエル側は「ばかげた話」と完全否定している。(9/11 毎日)
【8月10日(火)】
■支援船団強襲事件でバラク国防相証言、指導部内の不協和音にも言及■
ガザ支援船団強襲事件で政府の調査委員会は、バラク国防相を喚問、長時間にわたり、船団阻止作戦の準備や実行について聴取した。国防相は、失敗の原因は船団阻止を決めたことではなく、軍による作戦計画とその実行にあると述べ、ガビ・アシュケナジ参謀総長の不手際に言及した。
バラク国防相は、また、船団阻止の準備段階で、海軍諜報部、軍諜報部、モサド(対外諜報機関)の3者間に齟齬があることに全く気づかなかったと語った。
バラク氏は、軍内部調査に当たったギオラ・エイランド少将のレポートについて訊かれ、3つの諜報機関が「参謀総長ないし国防相を介して情報交換していない。この件はエイランドに訊けばわかる」と答えた。
バラク証人が非公開の席で述べた証言によると、彼は、作戦準備の会議で、これらの船団に国際テロリスト・グループが乗船しているかどうか、さらに情報を取るよう指示した。海軍の情報は、乗船者との衝突はありうるが、これは「テロリストの船」ではないというもの。「この種の船団ではこれまでで最大のものだったが、こんな結果になるとは誰も想像しなかった」とバラク氏は語った。
バラク氏はまた、トルコとの関係がこの18ヶ月間に悪化していたことを証言、「関係改善がわれわれの国益にかなう」とも述べた。
証人は、さらに、船団阻止を議論した7幹部の会議内容に詳しく触れた。ここは、ネタニヤフ首相の証言がほとんど素通りしたところ。バラク氏によると、この会議でアシュケナジ参謀総長は、阻止作戦がメディアや政治の分野に及ぼす影響を心配するとは発言したが、実力による船団阻止に反対したことは一度もなかった。作戦は「簡単ではないが実行する、と参謀総長は言った」という。
国防相は、軍に命令した責任は全面的に自分にあるといいながら、参謀総長と海軍のエレエゼル・マロム司令官を批判した。「軍は、作戦によるマイナスがプラスより大きいから実行すべきでないと言うこともできたが、そうは言わなかった。『摩擦や厳しい場面、暴力があり、さらに負傷者が出るかもしれない』とは言ったが、作戦をやめるべきだとは言わなかった」とバラク氏は証言した。
前日の証言でネタニヤフ首相は、7指導者の会議で「メディアへの影響」だけが議論されたと述べたが、バラク国防相は、会議では「関係情報が示され、また作戦計画の大筋、さらには予想される最悪の事態も説明された」と、食い違う証言を行った。(8/11 Haaretz)
■国連の調査委員会初会合■
ガザ支援船団強襲事件で、国連の潘基文(パンギムン)事務総長が設置した調査委員会はニューヨークで初会合を開いた。国連は同日、「調査委は個人の犯罪責任を特定するものではない」とする見解を発表した。調査委は、4人構成で、強襲事件で多くの犠牲者を出したトルコと、イスラエルの双方が代表を出している。(8/11 読売)
【8月11日(水)】
■イスラエル軍参謀総長証言「抵抗は予想せず」■
ガザ支援船団急襲事件について、イスラエル軍のガビ・アシュケナジ参謀総長は、イスラエル政府が設置した調査委員会で証言、乗船者からの暴力的な抵抗を予期していなかった」と述べた。同委員会での証言では、アシュケナジ参謀総長のものが最も詳しい。
証言によると、軍特殊部隊は支援船のデッキに衝撃弾を投げ込んだが、乗船者を退散できないままヘリから甲板に降下、鉄棒やナイフを持った活動家らと乱闘になった。「最初の兵士が降下したあとは、作戦計画通り続けるほかなかった」と参謀総長は語った。乗船者からの抵抗を予防するためには、甲板へ向け正確な援護射撃をすべきだった、「これが今回の教訓だ」とも語った。
「特殊部隊第一陣は、ペイントボール銃(paintball gun)と小火器を携えたが、小規模な抵抗しか予想していなかった。ヘリから降下した2人目の兵士は、腹を撃たれた」とアシュケナジ将軍は述べた。船側の死者が至近距離から撃たれているというトルコ側の主張について訊かれ、参謀総長は、乱闘の接近戦で、一人のトルコ人は斧を振り上げてきたと答えた。
また、アシュケナジ証人は、乱闘場面を撮った、これまで未公開のヴィデオ映像を公開した。負傷し、活動家に取り押さえられた特殊部隊員の映像も含まれる。参謀総長は、ネタニヤフ首相、バラク国防相同様、船団についての情報収集が不十分だったと認めた。(8/11 Reuters)
■パレスチナ・サッカー協会「イスラエルが選手の出国を拒否」■
パレスチナ・サッカー協会は、イスラエルの拒否により6人の選手が国際試合に出場できなかったと、FIFA(国際サッカー連盟)に苦情を伝えた。同協会によると、パレスチナ・チームは、やむを得ず、この6選手を控えの6人に交替させ、モーリタニアと対戦。結果は0−0の引き分けだった。当初予定されていた6人の正選手は、ガザ地区出身を理由に西岸地区から出ることを拒否されたという。
イスラエル側のコメントは得られていない。
出国拒否された1人、スレイマーン・アル・アベイド選手(28)は、1年半前、サッカー競技ができる西岸地区に来て、これまで対スーダン戦などの国際試合に出場している。現在、ガザ地区へ家族とともに帰ることを考えているが、ガザ地区から西岸への移動がイスラエルにより厳しく規制されているため、それは選手生命の終わりを意味するという。
パレスチナ・サッカー協会のジブリール・ラジューブ会長は、「占領がスポーツを囚人にしている。パレスチナの選手が国際試合に出るという、アスリートとしての基本権が保障されるよう、世界は声をあげてほしい」といっている。(8/12 Reuters)
【8月12日(木)】
■パレスチナ経済相「入植地ボイコットは続ける」■
パレスチナ自治政府(西岸)のハッサン・アブー・リブダ経済相は、入植地産品のボイコットを続けると述べた。イスラエルのベンジャミン・ベン=エリエゼル通商労働相との会談後明らかにした。ベン=エリエゼル氏は、以前、このボイコットを止めるよう求めていた。対象には、Shamir Salads、 Kobi Burekas、 Ramat Hagolan Dairies、 Jerusalem Granola、 Bagel Bagel、 Mei Eden、 Soda Club、 Barkan Wineries、 Ramat Hagolan Wineries、 Rav-Bariach、Ahava Productsなど11社の製品が含まれる。
アブー・リッダ経済相は、イスラエルがボイコット中止を求めてきたことは、ボイコットが成果を挙げている証拠だと語った。
西岸地区では、5月、サラム・ファイヤド首相の呼びかけで、多数の高校生と大学生を含む3000人のヴォランティアが、ボイコット商品リストを載せたパンフレットを持って戸別訪問、入植地産品ボイコット参加を訴えた。
ベン=エリエゼル大臣は、「ボイコットはただちに止めるべきだ。ジュデアとサマリア(西岸地区)の多くの企業がパレスチナ人を沢山雇用しているのだから」といっている。(8/12 Haaretz)
(出典:Haaretz、IMEMC、Reuters、WAFA、毎日、読売)
......................................................
★このメルマガは無料です。メルマガ配信を希望される方、送信先を紹介してくださる方、不要な方、突然メルマガが途切れた方は、いずれもご遠慮なくjpma@keb.biglobe.ne.jp までお知らせください。
●このメルマガは自由にご転送ください。
***********************************************
日本パレスチナ医療協会
Japan Palestine Medical Association (JPMA)
発行人:奈良本英佑
編集人:奈良本英佑・長沢美沙子・森和信
E-mail : jpma@keb.biglobe.ne.jp
Home Page : http://www7b.biglobe.ne.jp/~jpma/
TEL: 090-2167-4802
住所:〒272-0816 千葉県市川市本北方2−6−5
***********************************************
by halunet
| 2010-08-18 16:41
| パレスチナの平和