2010年 06月 26日
その後のガザと西岸の状況はよくなっているか? |
パ ┃レ┃ス┃チ┃ナ┃最┃新┃情┃報┃100624
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今回も、邦字メディアからの情報をかなり使いました。日本でも、ようやくガザ封鎖の現状に目が向けられるようになったということ、今週の焦点は引き続きこの問題だということです。陸上では、禁輸リストから、子どものおもちゃ、化粧品、農産物などが削除され、封鎖は若干緩和されました。なぜ、今まで、こんなものまで禁止されていたのか、こちらの方が驚きです。
エルサレム東部のパレスチナ人居住地区で、住宅の取り壊しとイスラエル・ユダヤ人の入植活動が続き、イスラエル治安部隊に守られた入植者とパレスチナ住民の間で衝突が繰り返されています。欧米は、「和平交渉にとってマイナス」と批判はするものの、本気で止めようとしているようには見えません。
今月22日には、エルサレム市当局が、22戸の取り壊しを発表しました。いつも掲載しているわけではありませんが、東エルサレムの住宅破壊と抵抗は、この街の日常となっています。
大きく報道されることの少なくなった「壁」ですが、反対闘争はイスラエル人や外国人平和活動家の参加も含めて、西岸地区の日常のひとつとなっています。今回は、ビルイン村とベイト・ジャラ(キリスト教徒の町)のケースを載せました。
ここには紹介しませんでしたが、イスラエル政府の「入植活動凍結」以後も、すでに始まっていた入植者住宅建設の「継続」ということで、今も2360戸以上の工事が続いているという、「ピース・ナウ」の調査レポートが発表されました。
http://www.peacenow.org.il/site/en/peace.asp?pi=61&docid=4698
また、Maan Newsに面白い記事があります。ヘブロン生まれの75歳のユダヤ教徒が同市のアル・ウセイリ市長を訪ね、1948年に追放されたパレスチナ人が自分の家に帰還するまで、1977年に放棄したヘブロン市内の家屋敷の返還は求めないと伝えました。また、自分が死んだら、入植者たちが管理するユダヤ墓地ではなく、ムスリムの墓地に葬ってほしいと言うのです。
彼の父は、1929年の暴動で市外からきた狂信的なムスリムがヘブロンのユダヤ教徒を襲った時、ヘブロンのムスリムにかくまわれました。でなければ、自分は生まれていなかったといいます。
以下、6月17日以降の週間ニュースです。
【6月17日(木)】
■EU「ガザ物資搬入に監視団派遣の用意」■
EUのアシュトン外務・安全保障政策上級代表(外相)は、イスラエルによるガザ地区封鎖緩和の決定を受け、当地に監視団を派遣する用意があると表明した。
EU派遣団は、ハマースが、武器を運び込まないよう監視するのが任務となる見通しだが、イスラエルから受け入れの返事は届いていない。(6/17 毎日)
【6月18日(金)】
■UNRWA事務局長「ガザ封鎖全面解除が必要」■
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリポ・グランディ事務局長が、エルサレムで日本メディアと会見。ガザ地区の封鎖一部緩和の発表に対し、「封鎖の全面解除が必要だ」と主張した。
事務局長は、封鎖緩和について「詳細は一切、知らされていない」と説明。セメントや鉄材などがほぼ禁輸対象となっているが、「ガザの再建に必要な建設資材を長期的かつ安定的に搬入することを可能とする総合的なシステムが必要だ」と注文した。特に、児童の急増と封鎖が原因で、学校100校が不足し、教育の質が低下していると強調した。
現在のガザは「人道危機どころではない危機的な状況だ」「保健・医療、教育、衛生など、生活の基本にかかわる全部門が(封鎖の)影響を受けている」と話した。
またUNRWAの10年度(1~12月)予算について、5億8300万ドルだが、ユーロ下落などの影響で欧州からの拠出が目減りし、約1億7000万ドルの不足が生じていると説明。診療所閉鎖や食糧支援の縮小が検討されていて、「200万ドルを拠出している日本に、追加負担を願いたい」と訴えた。
(6/19 毎日)
■ビルイン村「壁」反対デモで3人拘束■
ビルイン村の「壁」反対デモに参加した3人がイスラエル軍に拘束された。軍によると、1人がイギリス人、2人がイスラエル人だという。(6/18 Maan News)
【6月19日(土)】
■エジプト外相「ファタハ=ハマース調停案は変更なし」■
ファタハ=ハマースの対立を調停しているエジプトのアブー・ルガイト外相は、09年の調停案の修正はないと断言した。Maan通信の伝えるハマースのメンバーの話を否定するもの。
調停案手直しの報道は「不正確で、エジプトの立場を表すものではない。われわれの立場は、ファタハがサインした現存の文書にハマースも署名すべきだ、というものだ」と同外相は語った。「エジプトは本文を変える気はないし、補足の条項を加えるつもりもない」と強調した。
エジプトは、6か月にわたる調停工作の後、09年10月、自治政府治安部隊のガザ地区復帰、大統領と議会選挙実施を含む調停案をまとめ、ファタハだけがサインした。治安部隊以外の武装組織禁止条項について、ハマースやその他の小党派は、これが彼らの武装解除を求めるものか、説明を求めている。(6/19 Reuters)
【6月20日(日)】
■ガザ陸上封鎖緩和、海上封鎖は続行■
イスラエル政府は、ガザ地区封鎖に関して治安閣議を開き、武器や軍事転用可能な物資をのぞき、陸路での民生品のガザ搬入を許可することを承認した。海域封鎖は続行する。
首相府の発表によると、焦点となっていたセメントなどの建築資材の搬入に関して、「国際監督下」で行われるパレスチナ自治政府の公共工事や、国連による住宅建設用との条件を付けた。
民生品については、軍事目的に転用可能な物資のリストを近く公表し、それ以外のものは許可する。また、病気治療の必要性や「人道的理由」がある住民が、ガザ地区から出る手続きを効率化するとしている。
一方、支援物資を積み、ガザに向かう船に関しては、イスラエルの港で検品後にガザに届けると説明、支援船のガザ入港を阻止する姿勢を崩していない。
イスラエルはハマースが07年6月にガザを制圧して以来、ハマースへの「制裁」として、人や物の出入りを厳しく制限。文房具など軍事物資とは関係がないものまで禁輸対象とし、6月上旬までガザの民間業者がイスラエルから輸入できる品目を約120に限定していた。
首相府は、経済再建に不可欠なガザからの農産物の輸出については対応を明らかにしておらず、封鎖緩和が住民生活の改善につながるかは不透明だ。
(6/21朝日、読売)
■イスラエル、ドイツ開発相のガザ入り拒否■
ドイツのギド・ヴェストヴェッレ外相は、同国のディルク・ニーベル開発相のガザ地区訪問が拒否されたことで、イスラエルを厳しく批判「大変な外交政策の誤りだ」と述べた。
ニーベル開発相は、ドイツも出資している人道事業を視察するためガザ地区入りを計画、イスラエル政府に許可を求めていた。
イスラエル外務省のイーガル・パルモル報道官は、「われわれは高名な政治家のガザ地区入りを認めない。訪問はハマースの自己正統性の宣伝に利用されるから。これが変わらぬイスラエルの政策だ」と語った。
ニーベル開発相は、ドイツ紙「ライプツィーゲル・フォルクシュツァイトゥング」(Leipziger Volkszeitung)の取材に対し、イスラエルのやり方は、「その最良の友でさえ理解に苦しむものだ」と苦言を述べている。(6/20 Reuters)
■西岸のベイト・ジャラ「壁」抗議行動でジャーナリストら8人負傷■
ベツレヘム近郊の町ベイト・ジャラで、「壁」建設に反対するパレスチナ人や支援の外国人の抗議行動で、イスラエル治安部隊は、警棒や催涙ガス弾を使用、ジャーナリスト3人を含む8人が負傷した。
土地収用に反対する地域委員会のイマド・アブー・ナセル氏によると、デモ隊は「壁」工事現場に近いブドウ畑に集合、ブルドーザーが整地作業する現場に向かった。治安部隊は、デモにガス銃を浴びせた後、警棒を振るって襲いかかり、カメラマンを含む8人を殴打した。
目撃者によると、現場近くでは、若者たちと治安部隊の衝突があったという。
現場では、過去2週間、抗議の座り込みと治安部隊によるゴボウ抜きが繰り返されたが、けが人はなかった。(6/20 Maan News)
【6月21日(月)】
■ガザ封鎖緩和を「カルテット」が歓迎■
ガザ地区への物資搬入に関与しているパレスチナ側の調整官は、これまで禁止されていた、釣り道具、農具、自動車のパーツとオイル、化粧品と香水、家庭用品、子どものおもちゃの6品目が禁輸されると語った。イスラエル側から伝えられたという。(6/21 Reuters)
パレスチナとイスラエルを仲介している「カルテット」(国連、アメリカ、EU、ロシア)は、イスラエルのガザ地区封鎖緩和について「歓迎すべき進展」と評価する声明を発表した。
この日、イスラエルのバラク国防相は、国連でバン・キムン国連事務総長と会談後記者会見、ガザ支援船団襲撃事件について事務総長が提案している国際調査団について「棚上げした方がよい」とのべ、「われわれの独自調査を進める」方針を再確認した。(6/22 読売、共同)
■東エルサレムのパレスチナ人住宅撤去を発表■
エルサレム市当局は、イスラエルが支配する東エルサレムの再開発計画を承認し、パレスチナ人住宅22戸を撤去する方針を決めた。
米国のクローリー国務次官補は、「交渉進展に不可欠な信頼関係を損なう動きだ」と懸念を表明した。
市当局の計画は、パレスチナ人地区にユダヤ教に関する史跡公園や観光施設を整備するもので、最終的にはイスラエル内務省の承認が必要となる。
ネタニヤフ首相は「計画は準備段階で、住民との協議は継続する」と強調、沈静化を図っている。(6/22 読売)
【6月22日(火)】
■ネタニヤフ首相「無条件で直接交渉を」■
ネタニヤフ首相は、イスラエル支援寄付金集めのキャンペーンの一環として同国を訪れている、アメリカなど外国からの代表団を前に演説、パレスチナ側が「平和交渉の開始をあらゆる手で妨害している」と批難。相手側は、「ただちに、前提条件なしの直接交渉」に応じるべきだと述べた。(6/22 Reuters)
【6月23日(水)】
■国連事務総長が東エルサレムの住宅破壊計画を批難■
国連のバン・キムン事務総長は、東エルサレムの住宅破壊計画を強く批判する声明を発表した。
声明は、「シルワン地区の住宅を破壊し、さらに入植活動を進めるというエルサレム市当局の決定を深く憂慮」すると述べ、「この計画は国際法とパレスチナ人住民の意思に反するものだ]と指摘。イスラエル政府が「挑発的な行為によって同市の緊張を高めることがないよう、責任ある行動を求める」というもの。
そのうえで、「政治的交渉をすすめるために信頼醸成が必要な時に、このようなやり方は非生産的である」と批判している。(6/23 Reuters)
この日、イスラエルの右翼グループは、シルワン地区のパレスチナ人4家族を実力で追放すると警告した。同グループによると、パレスチナ人が住む住宅はユダヤ人の財産だという。入植者たちは、イスラエル警察の実力行使の遅れにいらだっており、22日、ウリ・アリエル・クネセト(イスラエル国会)議員(ナショナル・ユニオン)は、4家族が7月4日までに退去しなければ、入植者たちが民間の警備会社を雇うだろうと述べてる。(6/23 Haaretz)
【6月24日(木)】
■ガザ地区へ物資■
ガザ地区への物資搬入に関与しているパレスチナ側の調整官が、イスラエル側からの話として伝えるところによると、この日、ケレム・シャローム検問所からガザ地区南部へ、133台から143台のトラックで物資が搬入される予定。一般の商品や農産物を含んでおり、これは、封鎖開始前の24%に当り、これまでの平均17%を7ポイント上回るという。
ガザ地区住民と同地区で活動する国際機関は、ジャムやケチャップよりも、先ず建材の大量輸入、また、同地区からの輸出を認めるよう要求している。(6/24 Maan News)
(出典: Haaretz、Maan News、Reuters、朝日、共同、毎日、読売)
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■□ 催し案内 □■
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◆◆『イラク戦争と難民』一日だけの写真展とトーク ◆◆
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6月20日は世界難民の日。イラク戦争から7年、この戦争で家を失った人たちは400万人を越える。会場では、佐藤真紀氏が7年間取り続けた、写真40枚を展示し、たまたま帰国中のUNHCRバスラ事務所の帯刀(たてわき)氏が、最前線の現場の話をする。
■日時:6月25日午後7時(6:30開場)
■場所:新宿カタログハウス B2セミナーホール(新宿駅徒歩5分)
http://www.jim-net.net/notice/10/100625.html
■出演:佐藤真紀(JIM-NET) 帯刀 豊(UNHCR )大嶋愛(JIM-NET)
参加費:500円
■協力:UNHCR、UNFPA東京事務所、通販生活
■問い合わせ 03-6228-0746 JIM-NET
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◆◆『〈鏡〉としてのパレスチナ』刊行記念シンポジウム◆◆
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■日時:6月27日(日)14時30分~17時30分(開場14時00分)
■場所:在日本韓国YMCA 304・305教室(東京都千代田区猿楽町2-5-5/JR水道橋駅より徒歩6分
地図 http://www.ymcajapan.org/ayc/jp/
・第一部 『〈鏡〉としてのパレスチナ』私はこう読む
[コメンテーター]浜邦彦(カリブ研究/早稲田大学)、大富亮(チェチェン・ニュース発行人)
・第二部 現局面における支援/連帯とは:ガザ自由船団襲撃から見えるもの
[パネリスト] 鵜飼哲(フランス文学・思想/一橋大学)
太田昌国(南北問題・民族問題研究/現代企画室)
早尾貴紀(社会思想史/ミーダーン)
田浪亜央江(パレスチナ政治文化研究/ミーダーン)
■参加費 800円
■主催:ミーダーン〈パレスチナ・対話のための広場〉
[メールアドレス]midan.filastine@gmail.com
[URL]http://midan2006.web.fc2.com/
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◆◆「中東和平とパレスチナ難民の現状ーUNRWAの支援と日本の役割」 ◆◆
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公開シンポジウム
「中東和平とパレスチナ難民の現状ーUNRWAの支援と日本の役割」
日時:2010年7月1日(木)18:00-19:50 (開場 17:30)
会場:明治大学駿河台地区リバティタワーリバティホール(1013教室)
言語:英語・日本語(同時通訳付)
主催:国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)、外務省、明治大学軍縮平和研究所、国際協力機構(JICA)
講演者とパネリスト
●フィリッポ・グランディ
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)事務局長
●香川剛廣 外務省中東アフリカ局参事官
●立山良司 防衛大学教授
●緒方貞子 国際協力機構(JICA)理事長
お申込み: 入場無料、氏名、所属、ご連絡先、レセプションへの参加有無を明記の上、以下の宛先までメールでお申し込みください。
国際協力機構 中東・欧州部中東第二課 吉波(よしなみ):Yoshinami.Sakiko@jica.go.jp
※定員に達し次第締め切らせていただきますのでご了承ください。
<注1>07年6月、ハニヤ氏はアッバース大統領によって首相を解任され、ファ
イヤド氏が首相に任命されました。また、アッバース大統領の任期は、昨年1月9
日で切れています。法的には、3氏の地位とも問題をかかえています。しかし、
パレスチナ自治政府は事実上分裂しており、アッバース氏は、大統領としての権
限を行使、ハニヤ氏はガザ政権、ファイヤド氏は西岸政権でそれぞれ「首相」と
しての職務を行っています。このため、引き続き、ハニヤ氏、ファイヤド氏には
いずれも「首相」、アッバース氏には「大統領」のタイトルを付すことにします。
<注2> 各ニュース記事末尾の(カッコ)内は、その主なニュース源です。必
ずしも、元の記事の翻訳や抄訳ではありません。とくに断らない限り、Webサイ
ト上の情報です。日本語ニュースの場合、固有名詞の標記は、編集者の判断で変
えることがあります。
<注3> この速報では、東京外大AA研からの「中東ニュース」と、フランス語
紙翻訳グループ「ジャリーダ・ファランスィーヤ」による記事を時々利用させて
いただいております。編集者の責任で、記事を短縮する場合があります。
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by halunet
| 2010-06-26 10:41
| パレスチナの平和