2010年 06月 10日
ガザ支援船団攻撃事件~その後 |
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今週のニュースも大部分が、支援船団攻撃事件とガザ封鎖に関するものです。オバマ大統領も、ガザ「封鎖解除」とまでは言わないまでも、封鎖の大幅緩和を呼び掛けています。今こそ、非人道的なガザ封鎖を終わらせるときです。
日本に本部を置く国際人権NPO「ヒューマンライツ・ナウ」が、9日に攻撃事件非難の声明を出しました。この事件で、日本政府は、独立した国際調査団派遣を求める国連人権理事会決議に棄権しています。ヒューマンライツ・ナウの声明は、このような日本政府の腰が引けた姿勢を批判しています。当然でしょう。
以下、6月3日以降の週間ニュースです。既報は、一部または全部を省略します。
【6月3日(木)】
■国際ガザ支援船団の活動家らトルコに到着■
地中海上でイスラエル軍に拿捕された、国際ガザ支援船団の乗船者ら466人が、イスラエルから空路イスタンブルに到着、トルコのブレント・アリンジ副首相や約1000人の市民の出迎えを受けた。殺された9人(トルコ人8人、アメリカ人1人)の遺体も到着した。アリンジ首相は、イスラエルの攻撃を海賊行為だと激しく非難した。トルコ議会は、イスラエルに対し、正式の謝罪、犠牲者への補償、責任者の訴追を要求する決議を採択した。(6/3 BBC、Reuters ほか)
■当協会、ガザ支援船団攻撃の抗議声明を発送■
日本パレスチナ医療協会は、自由ガザ運動の国際支援船団に対する襲撃事件で、イスラエルのネタニヤフ首相、バラク国防相、日本の外務省や各政党、国内・国外の報道機関、諸国のNGOなど計40のアドレスに、支援船団攻撃に強く抗議する声明(1日付、英文・和文)をE-メールで送った。
声明は、「海賊行為にも等しいこの犯罪行為に強く抗議」し、イスラエル政府に以下の5点を求めている。(1)被害者に謝罪、人的・物的損害を補償すること(2)速やかに、拿捕した全船舶を返却しすべての乗船者を釈放すること(3)事件を調査し、責任者を処罰すること(4)国際機関による厳正な調査を受け容れること(5)非人道的なガザ地区封鎖をただちに解除すること。
(和文の抗議文は、当協会ホームページをご覧ください
:http://www7b.biglobe.ne.jp/~jpma/)
【6月4日(金)】
■トルコ各地でガザ支援船犠牲者の葬儀■
ガザ支援船「マーヴィー・マルマラ号」を襲撃したイスラエル兵の犠牲になった9人(トルコ人8人、トルコ系アメリカ人)の葬儀が、イスタンブル、イズミル、アダナなど8都市で行われ、各地で数千人から数万人の会葬者が参加した。殺された9人の棺は、トルコ国旗とパレスチナ旗で覆われ、それぞれの生まれ故郷に埋葬された。
夫婦で支援船に乗り込んだ、トプチュオールさんは、夫(46)が殺され、妻チーデムさん(54)が残された。共にテコンドーのトルコ代表選手で、27年前に結婚。妻は、「私たちの血が、トルコ国旗の赤の一滴となりました。悲しくはありません。我々はたくましいのです。神が望むなら、息子と私は、続く船で、(夫と)同じ形でそこにいるでしょう」と語った。アダナでの葬儀には約一万人が参列した。
『アナトリアの時』紙の特派員ジェヴデト・クルチュラルさんは、事件発生時、同船で、イスラエル兵の写真を取っている時に顔面を撃たれて殺された。葬儀はベヤズィトで行われ、棺に覆いかぶさり泣いていた妻は、「ただ写真をとっただけなのに。武器はもっていなかった。アメリカの甘やかされた子供よ、私達を恐れるがいい。一人殺したと喜んではいけない。あなたたちは、全ての人間の目を覚させたのだ。」と述べた。(6/5 Milliyet=東京外大AA研「中東ニュース」)
【6月5日(土)】
■支援船レイチェル・コリー号を拿捕■
ガザ港に向かっていた支援船「レイチェル・コリー号」(アイルランド船籍・1200t)は、海岸から35マイル(約55km)沖でイスラエル海軍に阻止され、アシュドッド港に曳航された。負傷者はない模様。
イスラエル軍によると、同日午前、ガザ沖合で警戒にあたっていた艦船がコリー号に対し、無線で「ガザ地区は封鎖されている」と呼びかけ、アシュドッド港に寄港するよう命令。当初、コリー号は拒絶していたが、最終的に兵士は乗員と衝突することなく、乗船したという。イスラエルは、積み荷を検査した上で、同国がガザに搬入する意向を示している。
同船は、セメント、医療器材など数百トンを積み、地中海を航行中。当初、襲撃された船団に参加予定だったが、技術的な理由で出遅れた。ノーベル平和賞の受賞者、メイレド・マグワイヤー(Mairead Magwire)氏、や元国連事務次長、デニス・ハリデー氏らを含め、マレーシアやアイルランドの人権活動家ら計19人(船員含む)が乗船していた。
「レイチェル・コリー」は、ガザ地区でパレスチナ人住宅の破壊工事中のブルドーザーの前に立ちふさがり、ひき殺されたアメリカ人女性(当時23歳)の名前。(6/5 Haaretz ほか)
【6月6日(日)】
■イギリスがガザ地区へ1900万ポンド■
イギリスのアンドリュー・ミッチェル国際開発相は、ガザ地区に1900万ポンドの緊急援助を行うと発表した。
支援金は、国連パレスチナ難民救済機関(UNRWA)を通じて、医療・衛生、教育、その他同地区の難民の必需品のために支出される。ガザ地区住民の70%がUNRWAのサーヴィスに頼っており、75%が食糧支援を受けている。(6/6 WAFA)
【6月7日(月)】
■5000人以上がラファハ検問所を通過■
ガザ支援船団攻撃事件を契機に、エジプトは1日、ガザ地区とシナイ半島を結ぶラファハ検問所を開いたが、エジプトの治安当局筋によると、同日までに、パレスチナ人5000人以上が同検問所を通過した。アラブ諸国政府の入国許可証を持つ人々はガザ地区から出て、同地区外で治療を受けていた患者などが、ガザ地区に
戻った。
また、食糧、医薬品そのたの支援物資がトラックでガザ地区に搬入された。
しかし、エジプト議会の野党議員たちは、約50km手前のアル・アリシュで足止めされ、建材なども止められている。(6/7 DPA=Kibush)
■ガザ支援船団参加のイスラエル議員から議員特権はく奪提案■
クネセト(イスラエル国会)の委員会(Home Committee)は、5月31日に拿捕されたガザ支援船に乗っていたハニン・ズアビ議員(バラド所属)の議員特権はく奪勧告を7対1で決めた。勧告は本会議にかけられる。反対した委員はメレツ所属。ズアビ議員は、イスラエルのアラブ系市民。議員特権には、国外へ出る権利、外
交官パスポート所持権などが含まれる。
イスラエルの平和団体グシュ・シャロームは、委員会の勧告について、「国粋主義者・人種主義者の恥ずべき行動」と非難する声明を出した。(6/7 WAFA、Gush Shalom Press Release)
■イスラエル軍、ガザ地区海岸近くでファタハ系メンバーを攻撃■
イスラエル軍は、ガザ地区北部の海岸付近にいた「テロリストを攻撃したと」発表した。ガザからの情報によると、ファタハの軍事部門「アルアクサー殉教者軍団」が、海上訓練中のメンバー4人が死亡、1人が行方不明になっている、との声明をだした。
これとは別に、イスラエル軍は、この日午前、ガザ北部でロケット弾の発射準備をしていた武装勢力を攻撃したと発表。ガザの医療関係者によると、この攻撃でパレスチナ人2人が負傷した。(6/7 朝日)
【6月8日(火)】
■CICA会議、諸国がガザ封鎖解除求める■
イスタンブルで開かれたアジア相互協力信頼醸成措置会議(CICA)首脳会議で、各国代表は、イスラエルによるガザ支援船団攻撃を非難、ガザ地区封鎖をただちに解除するよう重ねて要求した。
会議には、トルコのギュル大統領、イランのアハマディネジャド大統領、ロシアのプーチン首相、パレスチナ自治政府のアッバース大統領らが出席。イスラエルは、首相や閣僚級の出席を見送り、現地の大使を送った。
全会一致が得られないため、共同宣言でイスラエル名指しの非難は避けられたが、議長をつとめたギュル大統領は、イスラエルを除く全メンバー19カ国が「民間人によるガザ地区への国際人道援助船団への攻撃に、重大な憂慮と非難を表明した」とのステートメントを読みあげた。「彼らは、ガザ地区に対する非人道的な封鎖解除が緊急であることを強調した」と同大統領は述べた。
CICAの参加国は、このほか、アフガニスタン、アゼルバイジャン、中国、エジプト、インド、ヨルダン、カザフスタン、キルギスタン、モンゴル、パキスタン、韓国、パキスタン、タイ、UAE、ウズベキスタン。(6/8 Reuters)
【6月9日(水)】
■日本の人権NPO、支援船襲撃を非難■
国際人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」(本部・東京、阿部浩己・理事長)は、5月31日のガザ支援船団攻撃事件について、「イスラエルによる公海上での民間人攻撃を非難し国際的な独立調査団の派遣を求める」声明を発表した。
この声明は、イスラエル軍が、乗船していた民間人を標的に「武器を使用して攻撃し、死傷に至らせた。非戦闘員に対する殺害・攻撃が国際法の重大な違反であることは明らか」で「仮にイスラエルが主張するように、民間人から棍棒などによる抵抗があったとしても、民間人に対し武力を行使し、人命を奪う行為は明らかに均衡性にかけるものであり、到底許されない」とする。また、「テロリストが存在したという単なる『疑い』を根拠」に民間人を攻撃する軍事行動は「国際人道法の原則を踏みにじるもの」だと非難している。
声明は、攻撃を非難した1日の国連安保理議長声明、イスラエルの攻撃に関する国際法違反を調査する国際独立事実調査団の派遣を求めた2日の国連人権理事会の決議に触れ、とくに日本が人権理事会決議に棄権したことに対し「日本政府の不明確な態度に遺憾の意を表する」と批判。
ヒューマンライツ・ナウは、イスラエル政府に対し、国際事実調査団受け入れと協力、説明責任をはたすことなどを要求。また、国際社会に対しては、そのために一致した声をあげ、受け入れを迫ること、ガザ地区封鎖をただちに解除するよう働きかけることを呼び掛けている。(6/9 ヒューマンライツ・ナウのサイト)
非難声明の全文は以下のサイトでご覧下さい。
http://hrn.or.jp/activity/area/cat69/post-63/
■オバマ大統領「ガザ地区封鎖見直しを」■
オバマ大統領は、ホワイトハウスで訪米中のアッバース大統領と会談、ガザ地区支援の四億ドル拠出を約束した。また、ガザ支援船団攻撃事件に関連して、イスラエルにガザ地区封鎖を見直すよう呼びかけた。
「イスラエルの安全を脅かすような武器流入を止める手段はあるはず。もし、そうした新たな枠組みを構想すれば、今回の悲劇を、ガザの人々の生活を改善するチャンスにすることができる」と米大統領は語った。その上で「問題解決のための最善の保障は、独立パレスチナ国家を樹立することだ」と付け加えた。(6/9 Haaretz)
■イスラエルの情報機関「活動家の一部は、鉄棒やナイフを用意」■
同日のHaaretzによると、複数のイスラエル情報機関と関係の深いMalam(英語名Intelligence and Terrorism Information Center)は、ガザ支援船「マーヴィー・マルマラ号」襲撃事件に関する今週のレポートで、殺されたトルコ人活動家のグループは、軍の攻撃を予期して、鉄棒やナイフを用意していたと書いている。
Malamのレポートによると、同船の乗船者500人の大部分は人道支援ヴォランティアだったが、40人のIHH(トルコの慈善団体)活動家は、安全チェックを受けず、別個に乗船・行動、上甲板に鉄棒やナイフを用意してイスラエル兵が乗りこんでくるのを待ち構えていたという。また、IHHは、トルコのエルドガン首相と関係が深いことも、そのメンバーのコンピュータからわかったとしている。
(6/9 Haaretz)
【6月10日(木)】
■イスラエル軍突入——支援船マーヴィー・マルマラ号船客の証言■
同日付朝日新聞は、5月31日のイスラエル軍によるガザ支援船団攻撃事件について、現場を経験した乗船者の証言を紹介している。
英国人の芸術家(61)はイスラエル軍の強行突入が始まった同日午前4時半ごろ、マーヴィー・マルマラ号の甲板で海を見ていた。暗闇のなか、軍用ボートとヘリが近づいてきた。乗客ラウンジに逃げ込んだ。「直後から銃声が聞こえた。30分間ほど続いたと思う。怖くて足がすくんだ」
ラウンジに押し入ってきた兵士は、活動家の所持品のカメラを見つけ次第、銃でたたき壊した。服のポケットに入れていた撮影済みのメモリーカードを見つけると海に投げ捨てた。その後も体を調べられ、下着姿にさせられた。拿捕が完了すると、上部甲板に連行された。両手を縛られ、ひざまずく姿勢を取るよう命じられたという。
トルコ人弁護士(43)は同じ船の甲板の最後部にいた。
軍用ボートで船に接近した兵士が、突入のためフックが付いたロープを甲板に放り投げてきた。弁護士は仲間と棒で払いのけ、飲料水の瓶を兵士に投げつけて抵抗した。
ボートから銃声が響いた。消火ホースを持ってボート上の兵士に放水していた男性の胸のあたりに命中。男性は仰向けに倒れ、床は血に染まった。その直後、上空にヘリコプターが飛来。複数の兵士がロープを伝って上部甲板に降りてきた。
銃声が聞こえ、船内は騒然となった。上部甲板の様子をうかがうと、多くの活動家が倒れていた。兵士は銃を水平に構えていたという。
最終的に、別の活動家が5人の兵士を拘束し、機関銃などを奪ったが、「こちらは発砲していない」と話す。 (6/10 朝日)
(出典:BBC、DPA、Haaretz、Milliyet=東京外大AA研「中東ニュース」、
Reuters、WAFA、朝日、ヒューマンライツ・ナウ)
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by halunet
| 2010-06-10 21:36
| パレスチナの平和