2010年 04月 21日
どうする安保!平和的生存権を活かす |
久松重光
17日と18日は、はしごで名古屋の違憲訴訟の会 が主催した「どうする安保!平和的生存権を活かす」という集 会と東京での「ホローコースとイスラエルを考える」というシ ンポジウムに参加してきました。名古屋の集会には僕を含めて 、3人の人が、わざわざ足を運んでくれました。東京でのシン ポは、会場でお会いしただけでも、10人以上の方が聞きにいっ てくれたようです。今日は、自分の頭を整理する意味でも、こ の二つのイベントに参加した報告と感想を、レポートしようと 思いました。付き合ってくれれば、嬉しいです。 まずは、名古屋での集会の内容から報告します。(集会の動画があります。下記のサイトでどうぞ。高遠さんの時に人によって正視に耐えない映像も。ご注意を)
http://www.asahi-net.or.jp/~np9i-adc/kawagu01.htm
二年前の4月 17日、名古屋高裁は、イラク派兵は、憲法9条第一項に違反 しており、また「平和的生存権は、具体的権利」であるという 二つの重要な判断を下しました。2周年記念の今回の集会では 、名古屋判決で勝ち取った「平和的生存権は具体的権利」であ るという判決を、どう活かして行くかというテーマで、7人の 講演者が、30ほどのスピーチをしました。
川口弁護士の挨拶に続いて、中谷弁護士が、矛盾し合う、憲法 と安保体制という二つの法体系の闘いの歴史としての戦後日本 を振り返られました。そこからは、厖大な違憲の法体系である 安保法が、ますます9条と矛盾して行く姿(基地問題、米軍犯 罪、自衛官の人権問題、情報保全隊問題等々)が、浮き彫りさ れました。また砂川、恵庭、長沼、湾岸訴訟といった過去の訴 訟の意義を確認しながら、名古屋高裁の《平和的生存権》を確 認した判決にいたるまでの道程を振り返り、これらが、安保法 体系を打ち破る憲法に依拠した権利闘争であったことを概説さ れました。
憲法改正は、憲法と安保法の矛盾を解消させるため の、安保法体系の側からの解決策であるのに対して、憲法の側 からの解決策は、安保条約の廃棄であると。 また「平和的生存権」は、世界中の人々が、平和に暮らす権利 の確認であって、日本一国のみ限定されているものではなく、 また今後この「平和的生存権」を具体的に実現させてゆくため には、自由権的側面、社会権的側面、参政権的側面からのアプ ローチが必要とのお話。また自衛隊のイラク派兵からも見て取 れるように、「外に向けての侵略性は、内においては国民の人 権を侵害する」というご指摘は、労働条件の劣化、教育力の劣 化、格差社会の拡大とも深く関連する「こころ」の問題でもあ るように思いました。
中谷弁護士のお話を受けて、その後4つの訴訟の報告がありま した。
1.原告の佐藤さんと中村弁護士による米兵による横須賀での女性強盗殺人事件の報告
2.佐藤弁護士による同僚から性暴力を受けた女性自衛官の人権訴訟の報告
3.高遠菜穂子さんの帰国報告とワセック・ジャシムによる ファルージャ攻撃の実態報告
4。沖縄・普天間基地問題についてのヘリ基地反対運動をしている安次さんの報告
2004年の起こった2回のファルージャ総攻撃については、 山梨での違憲訴訟の第一回の口頭弁論の日と重なったので、よ く覚えていますが、ジャシムさんの報告を聞き、犠牲者の無残な遺体や、奇形で生まれてきた赤ちゃんの遺体のビデオを見せ てもらって、改めてこれは戦争というよりは、住民に対する長期的なジェノサイドだという感を強くしました。また高遠さん は、僕たちが山梨訴訟にお呼びしたときに比べて、本当に一回 りもニ回りも大きな人格になられたように思えました。
その後、最近裁判の経過に米軍の介入があったことが、公式に 明らかになった砂川事件を手がけ、終始イラク訴訟の良きアド バイザーであった内藤功弁護士から《砂川事件から安保を考える》というお話があり、その後これまでの報告を受けて、憲法学者でこのイラク訴訟を応援し続けてくれた小林武教授から、「安保と平和的生存権」についての締めくくりのお話がありま した。
恐怖と欠乏を免れるという《平和的生存権》の思想は、人類に とってのひとつの到達点であり、それが一国の憲法に盛り込ま れていることの意義は、我々が想像するよりも、はるかに大き い。ただ名古屋判決は、万能ではなく、この判決をどのように 有効に活用させるかは、頭を使って慎重に考えなければならない。またファルージャでの戦争の惨禍を見るにつけ、また保全隊まで持ち、軍事裁判所さえ持とうとしている自衛隊の現状を見るにつけ、いまや自衛隊も安保も米軍も、それ自体憲法違反であると主張すべきときであると言われました。
最後に弁護団長の内河弁護士の閉会の辞があり《平和的生存権 》をテーマにしたもり沢山の内容のイベントを終えました。戦 後初めて本格的な政権交代が起こったのに、鳩山内閣の支持は、急激に落ち、また大マスコミは、日米同盟を擁護しつつ、鳩山内閣は、指導力がないなどと喧伝していますが、中谷弁護士の言われるように、二つの法体系の矛盾は、ますます極限に近づいているように見えます。僕には、今後日米同盟を続けてゆくことは、ますますアメリカの軍事的な世界戦略に加担し、アメリカと一緒に《没落》する運命を覚悟しな
ければならないように思います。僕は、そんな馬鹿げた覚悟は毛頭持ちませんが、マスコミにも鳩山内閣にもそんな覚悟はあ るようにも見えません。マスコミの記事なんか見ていると、全く他人事のようで、いつから客観的という言葉が、他人事と同義になってしまったのかと訝ります。
「鳩山さん、もう日米同盟という幻想の時代は、とうに終わっていますよ。友愛を標榜する鳩山さん「trust me」と いった言葉は、オバマ氏が、心から平和を望む限りで有効なのだ、といってくださいよ。そうでなければ《友愛》という言葉も、空疎な言葉のリストの一つに付け加わるだけですよ。」といいたい気持ちです。名古屋の駅前も、21世紀的ビルが立ち並 び、人ごみの中にいると、何が一体問題なのか、なかなか見え難いですが、経済的繁栄を謳歌しつつ、平和を求めるのは、果たして両立するものなのか、果たして何の《断念》もないとこ
ろに、平和は訪れるのか、と考えさせらました。
17日の報告はこれくらいにします。18日の「ホロコーストとイスラエルを考える」というシンポジウムの報告もしたいのですが、長くなるので、一端切ります。ただひとつ「パレスチナ人の「寛容」は、虐げられ見捨てられた状況の中で育まれた「寛容」であって、踏みつけていることに無自覚な加害者側の《寛容》とは違う」といった趣旨(正確にはどんな表現だったか覚えていないのですが)の徐京植さんの発言は、とても印象に残り、イラク戦争をいち早く支持した国の民衆として、自分の偽善を暴かれたような告発の言葉のようにも響きました。
18日の東京のシンポジウムには、山梨からもたくさんの方が行 かれたようですので、ほかの人の報告や感想も聞きたく思っています。誰か書いてくれませんか?
17日と18日は、はしごで名古屋の違憲訴訟の会 が主催した「どうする安保!平和的生存権を活かす」という集 会と東京での「ホローコースとイスラエルを考える」というシ ンポジウムに参加してきました。名古屋の集会には僕を含めて 、3人の人が、わざわざ足を運んでくれました。東京でのシン ポは、会場でお会いしただけでも、10人以上の方が聞きにいっ てくれたようです。今日は、自分の頭を整理する意味でも、こ の二つのイベントに参加した報告と感想を、レポートしようと 思いました。付き合ってくれれば、嬉しいです。 まずは、名古屋での集会の内容から報告します。(集会の動画があります。下記のサイトでどうぞ。高遠さんの時に人によって正視に耐えない映像も。ご注意を)
http://www.asahi-net.or.jp/~np9i-adc/kawagu01.htm
二年前の4月 17日、名古屋高裁は、イラク派兵は、憲法9条第一項に違反 しており、また「平和的生存権は、具体的権利」であるという 二つの重要な判断を下しました。2周年記念の今回の集会では 、名古屋判決で勝ち取った「平和的生存権は具体的権利」であ るという判決を、どう活かして行くかというテーマで、7人の 講演者が、30ほどのスピーチをしました。
川口弁護士の挨拶に続いて、中谷弁護士が、矛盾し合う、憲法 と安保体制という二つの法体系の闘いの歴史としての戦後日本 を振り返られました。そこからは、厖大な違憲の法体系である 安保法が、ますます9条と矛盾して行く姿(基地問題、米軍犯 罪、自衛官の人権問題、情報保全隊問題等々)が、浮き彫りさ れました。また砂川、恵庭、長沼、湾岸訴訟といった過去の訴 訟の意義を確認しながら、名古屋高裁の《平和的生存権》を確 認した判決にいたるまでの道程を振り返り、これらが、安保法 体系を打ち破る憲法に依拠した権利闘争であったことを概説さ れました。
憲法改正は、憲法と安保法の矛盾を解消させるため の、安保法体系の側からの解決策であるのに対して、憲法の側 からの解決策は、安保条約の廃棄であると。 また「平和的生存権」は、世界中の人々が、平和に暮らす権利 の確認であって、日本一国のみ限定されているものではなく、 また今後この「平和的生存権」を具体的に実現させてゆくため には、自由権的側面、社会権的側面、参政権的側面からのアプ ローチが必要とのお話。また自衛隊のイラク派兵からも見て取 れるように、「外に向けての侵略性は、内においては国民の人 権を侵害する」というご指摘は、労働条件の劣化、教育力の劣 化、格差社会の拡大とも深く関連する「こころ」の問題でもあ るように思いました。
中谷弁護士のお話を受けて、その後4つの訴訟の報告がありま した。
1.原告の佐藤さんと中村弁護士による米兵による横須賀での女性強盗殺人事件の報告
2.佐藤弁護士による同僚から性暴力を受けた女性自衛官の人権訴訟の報告
3.高遠菜穂子さんの帰国報告とワセック・ジャシムによる ファルージャ攻撃の実態報告
4。沖縄・普天間基地問題についてのヘリ基地反対運動をしている安次さんの報告
2004年の起こった2回のファルージャ総攻撃については、 山梨での違憲訴訟の第一回の口頭弁論の日と重なったので、よ く覚えていますが、ジャシムさんの報告を聞き、犠牲者の無残な遺体や、奇形で生まれてきた赤ちゃんの遺体のビデオを見せ てもらって、改めてこれは戦争というよりは、住民に対する長期的なジェノサイドだという感を強くしました。また高遠さん は、僕たちが山梨訴訟にお呼びしたときに比べて、本当に一回 りもニ回りも大きな人格になられたように思えました。
その後、最近裁判の経過に米軍の介入があったことが、公式に 明らかになった砂川事件を手がけ、終始イラク訴訟の良きアド バイザーであった内藤功弁護士から《砂川事件から安保を考える》というお話があり、その後これまでの報告を受けて、憲法学者でこのイラク訴訟を応援し続けてくれた小林武教授から、「安保と平和的生存権」についての締めくくりのお話がありま した。
恐怖と欠乏を免れるという《平和的生存権》の思想は、人類に とってのひとつの到達点であり、それが一国の憲法に盛り込ま れていることの意義は、我々が想像するよりも、はるかに大き い。ただ名古屋判決は、万能ではなく、この判決をどのように 有効に活用させるかは、頭を使って慎重に考えなければならない。またファルージャでの戦争の惨禍を見るにつけ、また保全隊まで持ち、軍事裁判所さえ持とうとしている自衛隊の現状を見るにつけ、いまや自衛隊も安保も米軍も、それ自体憲法違反であると主張すべきときであると言われました。
最後に弁護団長の内河弁護士の閉会の辞があり《平和的生存権 》をテーマにしたもり沢山の内容のイベントを終えました。戦 後初めて本格的な政権交代が起こったのに、鳩山内閣の支持は、急激に落ち、また大マスコミは、日米同盟を擁護しつつ、鳩山内閣は、指導力がないなどと喧伝していますが、中谷弁護士の言われるように、二つの法体系の矛盾は、ますます極限に近づいているように見えます。僕には、今後日米同盟を続けてゆくことは、ますますアメリカの軍事的な世界戦略に加担し、アメリカと一緒に《没落》する運命を覚悟しな
ければならないように思います。僕は、そんな馬鹿げた覚悟は毛頭持ちませんが、マスコミにも鳩山内閣にもそんな覚悟はあ るようにも見えません。マスコミの記事なんか見ていると、全く他人事のようで、いつから客観的という言葉が、他人事と同義になってしまったのかと訝ります。
「鳩山さん、もう日米同盟という幻想の時代は、とうに終わっていますよ。友愛を標榜する鳩山さん「trust me」と いった言葉は、オバマ氏が、心から平和を望む限りで有効なのだ、といってくださいよ。そうでなければ《友愛》という言葉も、空疎な言葉のリストの一つに付け加わるだけですよ。」といいたい気持ちです。名古屋の駅前も、21世紀的ビルが立ち並 び、人ごみの中にいると、何が一体問題なのか、なかなか見え難いですが、経済的繁栄を謳歌しつつ、平和を求めるのは、果たして両立するものなのか、果たして何の《断念》もないとこ
ろに、平和は訪れるのか、と考えさせらました。
17日の報告はこれくらいにします。18日の「ホロコーストとイスラエルを考える」というシンポジウムの報告もしたいのですが、長くなるので、一端切ります。ただひとつ「パレスチナ人の「寛容」は、虐げられ見捨てられた状況の中で育まれた「寛容」であって、踏みつけていることに無自覚な加害者側の《寛容》とは違う」といった趣旨(正確にはどんな表現だったか覚えていないのですが)の徐京植さんの発言は、とても印象に残り、イラク戦争をいち早く支持した国の民衆として、自分の偽善を暴かれたような告発の言葉のようにも響きました。
18日の東京のシンポジウムには、山梨からもたくさんの方が行 かれたようですので、ほかの人の報告や感想も聞きたく思っています。誰か書いてくれませんか?
by halunet
| 2010-04-21 00:58
| 憲法9条と安保
























