2010年 02月 24日
ベーシックインカム@松本報告 |
長野県松本市の信州大学構内で行なわれた「ベーシックインカムを考える集い」にいってきました。
われわれBI@八ヶ岳からは7人が1台の車に乗り合わせて。信州大学はじめての場所なので少し迷いましたが何とか、会のはじまるぎりぎりに会場に入ることができました。会場はそれほど広くない教室に、50名ほどの参加者でいっぱいでした。
内容が広範囲で、以下はパネラーのお話の要点をつまみ食いするという、大変不十分な報告になりますが、お許しください。
まずは安曇野ベーシックインカム研究会の藤沢雄一郎さんの報告。タイトルは”政府通貨発行によるベーシックインカムの必然性”です。
まず昨年9月に発足したばかりの「安曇野ベーシックインカム研究会」の紹介から。そしてBIの基礎知識の説明がありました。その中で「BIは社会主義か?と誤解されるけれど、むしろ自由主義に基づきながら、経済・金融奴隷からの解放をめざすものだ」という位置づけ。これは分かり易くて(異論がでそうなところですが)いいのかもしれないとナットクして聞きました。
そして現在の金融危機から始まった世界的な経済危機を解決するものは、政府通貨の発行によるベーシックインカムであるという、関曠野さんの主張を紹介。C.H.ダグラスの社会信用論を援用したその説は、かなり難解なところもあるので、これからの研究の課題としたいと藤沢さんは結びました。
二番手は「生存を支える会」の八木航さん。”野宿者・失業者支援の現場から”がタイトル。
八木さんは長野県を中心に派遣切りなどによて、仕事ばかりか住む場所までなくした人達のとりあえずの生存を支えるNPOで活動している。ベーシックインカムはそうした都市生活者実情の中でどうした働きをするのか、という実践的な視点を大事にすることが同時に必要だという八木さん。説得力があります。
最後は中川村の村長を現在務める曽我逸郎さん。”なぜベーシックインカムに期待するか”がタイトル。疲弊する地方や農村の現状を救えるのはBIなのでは、という期待。そして複雑化する福祉行政をシンプルにするものとしてのBI。反面、BIがあるから後は自己責任で、といった社会になることは警戒しなくてはならないという人もいる。またアウシュビッツ収容所に掲げられたARBEIT MACHT FREI (働けば自由になる)というスローガンは「働かざるもの食うべからず」とほとんど同じだと、曽我さんはある時ふと感じた。そうした労働観に支配された社会は幸せとはいえない。BIですべてが解決することはないだろうが、信頼をベースにした新しい共同体が生まれる可能性だってありえる。人間社会を善きものにする施策としてのBIはやはり地方自治にとっても希望の★なのです。
休憩を挟んで後半は参加者からの質問カードによる質疑応答。
セーフティーネットの問題点。アジア各地の貧困と日本の貧困の違い。ベーシックインカムの担い手は誰か?
地方自治体での地方通貨やBIは可能か?福祉とBIの違いは?BIがこれまで実現できなかった理由は?子ども手当なんどは自治体に有効か?BIは新自由主義か?外国人にBIは支払われるか?地域通貨は地域活性化に有効か?政府通貨とは何か?銀行は何が問題か?松下政経塾とBI。BIの財源は?BIでインフレは起きないか?etc.様々な質問に三人の報告者が答え、討論することで2時間50分の会は終了しました。会場からの直接の発言等がないのが物足りなかったところですが、これ以上は時間的にも無理だったかも知れません。
「…財源はどうのということも大事だけれど、どういう風にボクたちは生きて行きたいのかというのを根の部分に持っていたい」という八木さんの最後の言葉が心に残りました。ベーシックインカムを考えることで古い労働観から解放されることがまず大事ではないかと強く感じた集まりでした。
by halunet
| 2010-02-24 02:06
| ベーシックインカム