2009年 09月 10日
ボイコットを受けて、ついにイスラエル内部が動きだしたか! |
久松重光
最近ノルウェー政府が、分離壁の建設と補修に携わっていたイスラエルの企業「エルビット」をボイコットするという公式発表をしましたが、それを受けてイスラエル国内では、始めて占領について自由な討論が行なわれたようです。イラン・パペ氏が、ちょっと興奮気味に、この新しい動きについて感想を述べています。こうした気運が高まり、多くの市民が事実を直視するようになれば、日本の自民党が自壊したように、イスラエルでも、政権与党の自壊も起きないとも限らない、という淡い期待を持ちました。
ラヘリ・ガイ
エルビットの投資から撤退するというノルウェー政府の決定は、一里塚であると、イラン・パペは指摘する。どこかの政府が、BDS(ボイコット、投資引上げ、制裁措置)を支持する措置を講じたのは、初めてのことである。
イスラエルにおけるメディア報道と討論の歴史において珍しい一日であった。ラジオやテレビのようなすべての電子メディアは、一斉に占領とパレスチナ人の弾圧について討論し、もっと重要なことに、それに付いてまわる見込まれる費用について討論していたのだから、おそらくイスラエルのメディアはこのことをいたのだろう感づいたのだろう、とパペは書いている。
ノルウェー政府によって取られた措置が、圧力に抗して続くかどうかは、まだこれからの問題である。それでも、それは飛躍的な前進であり、われわれのすべてが生かす必要のある気運を作りだしている。
http://electronicintifada.net/v2/article10752.shtml
・・・・・・・・・・・・・・・
<2009年9月4日のエレクトロニック・インティファーダ、本当にありがとう>
イラン・パペ
今日は、イスラエルにおけるメディア報道と討論の歴史において珍しい一日であった。ラジオやテレビのようなすべての電子メディアは、一斉に占領とパレスチナ人弾圧について討論し、もっと重要なことに、それに付随する見込まれる費用について討論していた。それはたった12時間しか続かなかった。
明日にはまた従順なイスラエルのメディアは、「紛争」はもう終わっていて、もうすぐ解決する、という大衆向けの政府の新しいメッセージを伝えるオウムに戻っていることだろう。一方には既に、西岸における能天気なパレスチナ人がいる(ニューヨーク・タイムズのトーマス フリードマンとハアレツのアリ シャビットの最新報告を参照)他方には、悲しいかな知らぬが仏の新しい現実から身を引く人々、つまりガザ地区ではいまだハマスの独裁体制下に生きる抑圧されたパレスチナ人がいる。
明日にはナブルスではパレスチナの学生が、毎日裁判もなく投獄され、ラマハー近郊では今日もあったように、パレスチナの子供たちが殺されているという憂鬱な現実に、われわれはみな立ち返るだろう。われわれはエルサレムで2週間前に起こったような家屋の解体、ガザ地区の止まないスタグフレーション、パレスチナ人がいるところならどこでも、至るところにあるパレスチナ人の追いたての現実に戻るだろう。けれども、こうした日々のうちでも今日は、たまたま現場に居合わせた者たちは光を見た、一瞬の間、これまでとは違った平和と和解の現実の地平を照らし出す、とても力強い光を見た。
そしてそれはすべて、イスラエルのハイテク会社エルビット(エルビットが分離壁の建設と補修にかかわっていることに起因して)への投資から撤退するというノルウェー政府の決定のおかげであった。われわれはこれに対して均衡の取れた見解を保たなければならない。つまりエルビットのたった一つの部門で、エルビットのシステムは影響を受けた。しかしその意義は、誰が標的とされたかということではなくて、むしろ誰が、決定を下したかということである。つまりノルウェーの財務大臣が、倫理協議会を通して決定を下したのであった。それに劣らず重要なことは、その措置が取られた仕方である。つまり財務大臣その人が、記者会見でその転換を公表したことである。これが短期間のうちにシオニスト国家におけるメディア・シーンを変化させたものである。外国や軍事に関連する事柄は、イスラエルでは、将官や特定の研究機関出身の選ばれた政治学者たちによって議論され。そうした政治学者たちは、彼らがコメントとして聞きたがっていることをインタヴュアーに提供するのいうのが通例である。
今回の場合、彼らが招いた個々人に突きつけた質問から推察できるように、彼らはノルウェーのムスリム少数派がこの決定の背後にいるのか、といったことを聞きたがっていた。あるいは伝統的な反セミテイズム(反ユダヤ主義)で説明がつくのか、イランやリビアの政府といった新入りを含めた新たに形成された反シオニズムの長老たちがそれに混じっているのか、といったことを聞きたがっていた。しかし、目標とされたのがハイテク会社であったため、生放送に招かれた解説者たちは、地元日刊紙の経済記者といった経済や財政の専門家だったり、地域産業やハイテク企業のチーム・リーダーだったりした。これらの解説者たちの見解は、通常これと似たような場で表現される見解とは大違いである。とはいえ彼らは経済的現実や生の現状と実際に取り組んでいるのであり、神話やイデオロギー的な作り話と取り組んでいるわけではない。そして彼らは、視聴率の一番高い時間帯にこの最近の措置を引き起こさせたのは、実は人権に対するノルウェー人の感受性であり、今後似たような措置が取られる可能性はきわめて高いと説明した。
このサイトの読者にとっては、これは退屈に響くかもしれない、あるいはあまりに根本的に響くかもしれないが、イスラエルにおける平均的な視聴者は、これまで実に長いこと、主流のジャーナリストやタレントからなる主流のメディアではこのような明快な推論に晒せれたことはなかった。西岸とガザ地域を囲んでいるアパルトヘイトの壁と塀の背後に何があるかを、悲しくも短いが、生放送で暴露したことの重要性は、投資引上の決定を彼女自ら公表したノルウェーの財政大臣であるクリスティン・ハルヴォーセンの年長者の知恵(seniority)から生まれたものである。
西欧の政府によるこの種の公的な措置は始めてのものである。それは、何アのアパルトヘイトに反対して行動を起こすようにという西欧における諸社会の圧力に諸政府が耳を傾けた最初の日を思い起こさせるものである。われわれは、みな心動かされた。勇敢な労働組合が、イスラエルに対してそのような決定を下した時、まさにそうだった。また国際司法裁判所が、分離壁に不利な判決を下したとき、また最近では映画制作者のケン・ローチのような人が、公式にイスラエルを代表するいかなるものへの参加にも反対する、断固たる態度を取ったときも、われわれは、みなとても希望を抱いた。けれども今や、進化が起こっている。量的な飛躍的前進であり、われわれが、守り維持し
なければならない気運である!
これは、どん底の時にいるパレスチナの人々を助ける道を探している西欧のすべての善良な人々に対してのはっきりしたメッセージである。彼らは、平和のうちにガザに向けて行進し、出航したがっている。彼らは、イスラエル人とパレスチナ人が、もっと頻繁に出会えるよう手助けしたがっているし、どんな障害があっても、断固とした態度で占領地でボランティア活動をしようとしている。これらは、すべて気高い行為であるが、西欧での世論を変えることが、西欧の人々が、最善を尽せることなのである。そしてもし、ある政府がゲームの名前と規則を著しく転換させたならば、たとえそれが津波のようなシオニストの反発下で、いまだ修正されるかもしれないほんのささやかな決断であったとしても、他の政府もきっとついてくるであろう。当面はイスラエルとパレスチナに住むすべての人にとって、より良き未来への道を敷いてくれた者として、歴史のページに参入する勇敢な政治家に心から感謝するとしか言えない。
(久松 素訳)
*イラン・パペ氏は、エクスター大学の史学科の教授。
http://jewishpeacenews.blogspot.com
最近ノルウェー政府が、分離壁の建設と補修に携わっていたイスラエルの企業「エルビット」をボイコットするという公式発表をしましたが、それを受けてイスラエル国内では、始めて占領について自由な討論が行なわれたようです。イラン・パペ氏が、ちょっと興奮気味に、この新しい動きについて感想を述べています。こうした気運が高まり、多くの市民が事実を直視するようになれば、日本の自民党が自壊したように、イスラエルでも、政権与党の自壊も起きないとも限らない、という淡い期待を持ちました。
ラヘリ・ガイ
エルビットの投資から撤退するというノルウェー政府の決定は、一里塚であると、イラン・パペは指摘する。どこかの政府が、BDS(ボイコット、投資引上げ、制裁措置)を支持する措置を講じたのは、初めてのことである。
イスラエルにおけるメディア報道と討論の歴史において珍しい一日であった。ラジオやテレビのようなすべての電子メディアは、一斉に占領とパレスチナ人の弾圧について討論し、もっと重要なことに、それに付いてまわる見込まれる費用について討論していたのだから、おそらくイスラエルのメディアはこのことをいたのだろう感づいたのだろう、とパペは書いている。
ノルウェー政府によって取られた措置が、圧力に抗して続くかどうかは、まだこれからの問題である。それでも、それは飛躍的な前進であり、われわれのすべてが生かす必要のある気運を作りだしている。
http://electronicintifada.net/v2/article10752.shtml
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<2009年9月4日のエレクトロニック・インティファーダ、本当にありがとう>
イラン・パペ
今日は、イスラエルにおけるメディア報道と討論の歴史において珍しい一日であった。ラジオやテレビのようなすべての電子メディアは、一斉に占領とパレスチナ人弾圧について討論し、もっと重要なことに、それに付随する見込まれる費用について討論していた。それはたった12時間しか続かなかった。
明日にはまた従順なイスラエルのメディアは、「紛争」はもう終わっていて、もうすぐ解決する、という大衆向けの政府の新しいメッセージを伝えるオウムに戻っていることだろう。一方には既に、西岸における能天気なパレスチナ人がいる(ニューヨーク・タイムズのトーマス フリードマンとハアレツのアリ シャビットの最新報告を参照)他方には、悲しいかな知らぬが仏の新しい現実から身を引く人々、つまりガザ地区ではいまだハマスの独裁体制下に生きる抑圧されたパレスチナ人がいる。
明日にはナブルスではパレスチナの学生が、毎日裁判もなく投獄され、ラマハー近郊では今日もあったように、パレスチナの子供たちが殺されているという憂鬱な現実に、われわれはみな立ち返るだろう。われわれはエルサレムで2週間前に起こったような家屋の解体、ガザ地区の止まないスタグフレーション、パレスチナ人がいるところならどこでも、至るところにあるパレスチナ人の追いたての現実に戻るだろう。けれども、こうした日々のうちでも今日は、たまたま現場に居合わせた者たちは光を見た、一瞬の間、これまでとは違った平和と和解の現実の地平を照らし出す、とても力強い光を見た。
そしてそれはすべて、イスラエルのハイテク会社エルビット(エルビットが分離壁の建設と補修にかかわっていることに起因して)への投資から撤退するというノルウェー政府の決定のおかげであった。われわれはこれに対して均衡の取れた見解を保たなければならない。つまりエルビットのたった一つの部門で、エルビットのシステムは影響を受けた。しかしその意義は、誰が標的とされたかということではなくて、むしろ誰が、決定を下したかということである。つまりノルウェーの財務大臣が、倫理協議会を通して決定を下したのであった。それに劣らず重要なことは、その措置が取られた仕方である。つまり財務大臣その人が、記者会見でその転換を公表したことである。これが短期間のうちにシオニスト国家におけるメディア・シーンを変化させたものである。外国や軍事に関連する事柄は、イスラエルでは、将官や特定の研究機関出身の選ばれた政治学者たちによって議論され。そうした政治学者たちは、彼らがコメントとして聞きたがっていることをインタヴュアーに提供するのいうのが通例である。
今回の場合、彼らが招いた個々人に突きつけた質問から推察できるように、彼らはノルウェーのムスリム少数派がこの決定の背後にいるのか、といったことを聞きたがっていた。あるいは伝統的な反セミテイズム(反ユダヤ主義)で説明がつくのか、イランやリビアの政府といった新入りを含めた新たに形成された反シオニズムの長老たちがそれに混じっているのか、といったことを聞きたがっていた。しかし、目標とされたのがハイテク会社であったため、生放送に招かれた解説者たちは、地元日刊紙の経済記者といった経済や財政の専門家だったり、地域産業やハイテク企業のチーム・リーダーだったりした。これらの解説者たちの見解は、通常これと似たような場で表現される見解とは大違いである。とはいえ彼らは経済的現実や生の現状と実際に取り組んでいるのであり、神話やイデオロギー的な作り話と取り組んでいるわけではない。そして彼らは、視聴率の一番高い時間帯にこの最近の措置を引き起こさせたのは、実は人権に対するノルウェー人の感受性であり、今後似たような措置が取られる可能性はきわめて高いと説明した。
このサイトの読者にとっては、これは退屈に響くかもしれない、あるいはあまりに根本的に響くかもしれないが、イスラエルにおける平均的な視聴者は、これまで実に長いこと、主流のジャーナリストやタレントからなる主流のメディアではこのような明快な推論に晒せれたことはなかった。西岸とガザ地域を囲んでいるアパルトヘイトの壁と塀の背後に何があるかを、悲しくも短いが、生放送で暴露したことの重要性は、投資引上の決定を彼女自ら公表したノルウェーの財政大臣であるクリスティン・ハルヴォーセンの年長者の知恵(seniority)から生まれたものである。
西欧の政府によるこの種の公的な措置は始めてのものである。それは、何アのアパルトヘイトに反対して行動を起こすようにという西欧における諸社会の圧力に諸政府が耳を傾けた最初の日を思い起こさせるものである。われわれは、みな心動かされた。勇敢な労働組合が、イスラエルに対してそのような決定を下した時、まさにそうだった。また国際司法裁判所が、分離壁に不利な判決を下したとき、また最近では映画制作者のケン・ローチのような人が、公式にイスラエルを代表するいかなるものへの参加にも反対する、断固たる態度を取ったときも、われわれは、みなとても希望を抱いた。けれども今や、進化が起こっている。量的な飛躍的前進であり、われわれが、守り維持し
なければならない気運である!
これは、どん底の時にいるパレスチナの人々を助ける道を探している西欧のすべての善良な人々に対してのはっきりしたメッセージである。彼らは、平和のうちにガザに向けて行進し、出航したがっている。彼らは、イスラエル人とパレスチナ人が、もっと頻繁に出会えるよう手助けしたがっているし、どんな障害があっても、断固とした態度で占領地でボランティア活動をしようとしている。これらは、すべて気高い行為であるが、西欧での世論を変えることが、西欧の人々が、最善を尽せることなのである。そしてもし、ある政府がゲームの名前と規則を著しく転換させたならば、たとえそれが津波のようなシオニストの反発下で、いまだ修正されるかもしれないほんのささやかな決断であったとしても、他の政府もきっとついてくるであろう。当面はイスラエルとパレスチナに住むすべての人にとって、より良き未来への道を敷いてくれた者として、歴史のページに参入する勇敢な政治家に心から感謝するとしか言えない。
(久松 素訳)
*イラン・パペ氏は、エクスター大学の史学科の教授。
http://jewishpeacenews.blogspot.com
by halunet
| 2009-09-10 22:44
| パレスチナの平和