2009年 04月 04日
誤りを認め始めたイスラエルの新聞 |
久松重光
イスラエルでは、一月のガザ攻撃の後、IDF(イスラエル国軍)兵士が行なったガザ市民への暴行・ジェノサイドをめぐって、ここ三ヶ月当のイスラエル兵士たちから、その事実を承認する証言が相次いでいるようです。
日本国内だけでも、問題山積なのになぜイスラエルなの、といわれそうですが、僕が注目するのは、日本のジャーナリズムとの違いです。僕は、イスラエル政府もその軍隊IDFも酷いものだと思っていますが、ハアレツ紙は、日本の新聞に比べて、自国の「誤り」をちゃんと見つめた報道をしているように見えます。それに比べると、日本の報道は、北朝鮮の人工衛星の件でもそうですが、政府のプロパガンダを垂れ流しているにすぎないように思えてなりません。
イスラエル政府も日本政府も、英米の傘の下で「嘘ばかり」言っていますが、日本から遠く離れたイスラエルの「嘘」は、はっきり見えます。そしてイスラエルという国が、内部から崩壊しつつあるのも見えてきます。他者のことは、自分の「いのち」の危険がないから、理性的に判断できます。
では、肝心なことを考えるのを避け、毎日、スポーツと芸能に明け暮れている日本は、いったい大丈夫なのでしょうか?
<写真はアムネスティHPから>
<以下メルマガ「ユダヤ平和ニュース」の記事から。 訳:久松重光
一月のガザ戦争の間ずっと、ガザのパレスチナの人々は、イスラエルの軍隊が、市民に対し故意に危害を加え、医療援助を邪魔し、家や家財を故意に破壊していると報告していた。激しい攻撃が止んだ後で、とりわけヒューマン・ライト・ウォッチやアムネスティ・インターナショナルといった人権擁護団体は、こうした犯罪を詳細に述べているパレスチナ人からの豊富な証言を集めた。(詳細を知りたい人は、以下の二つのサイトを参照のこと)
http://www.hrw.org/en/features/israel-gaza
http://www.amnesty.org/en/news-and-updates/un-urged-039find-truth039-about-gaza-conflict-20090316)
3月19日には、ハアレツ紙は、ガザで闘った兵士による証言で明らかにされているパレスチナの人々の主張を正しいと認めた。世界中で報告されているニュースから、ハアレツ紙は、兵士たちが、意図的にガザで市民を撃ち殺し、また故意にパレスチナの人々の家を破壊し、上から通達される戦争での戦闘規定は、例外的に好き勝手にやってよいというものだったとするIDFの兵士たちの証言の抜粋を公表した。
ハアレツ紙で口火を切った報告者であるアモス・ハレルは、軍の通信員と知られ、IDFの批判者とはみなされていない。以下のサイトから、兵士の証言についての彼の記事を読むことが
できる。
「ガザのIDF:市民の殺害、故意に破壊、弛緩した戦闘規定」
3/19/2009 http://www.haaretz.com/hasen/spages/1072040.html
「銃撃と悲鳴」2009年3月20日
'Shooting and crying' 3/20/2009
http://haaretz.com/hasen/spages/1072475.html
ハアレツ紙の金曜日発行の雑誌から、この記事には、兵士の証言からの長々しい抜粋が載っている。)
「2009年3月22日現在いまだ有効なガザでのIDFの違法行為についての証言」
http://www.haaretz.com/hasen/spages/1072811.html
アミラ・ハスが、デモクラシー・ナウで説明しているように、兵士たちの証言の重要性とは、「パレスチナの人々が、過去三ヶ月間言い続けてきたこと、そしてパレスチナ人のいうことに耳を傾け、パレスチナ人を信じ、パレスチナ人からの証言や口述書を取るというパレスチナ人がやった仕事を知っているジャーナリストたちが、ここ三ヶ月の間やってきたこと、そうしたことを実際に兵士たちが、承認しているということである。主に重要なのはこのことである。」
(http://www.democracynow.org/2009/3/20/israel_promises_internal_probe_after_soldiers)
イスラエルでは、「パレスチナ人は嘘つきだから、彼らの声明なんて真面目に受け取るべきではない」、という因習的な知識があるため、兵士たちからの聞き取りは、重要であると、アミラ・ハスは、書いている。(アミラ・ハス「ガザの戦争犯罪の申し立てを信じるべき時である。3/24/2009」)
http://www.haaretz.com/hasen/spages/1073469.html).
IDFは、兵士の証言や主張を否定して、いくつかの偶発的な出来事があったのは本当だが、それは単独のものであると答えた。
(http://www.haaretz.com/hasen/spages/1073208.html)
IDFは、また兵士たちの証言を調査し始めた。
(http://www.haaretz.com/hasen/spages/1072511.html).
3月30日の月曜日のハアレツ紙は、「IDF、ガザの調査を終える。違法行為の主張は「噂」だという」という大見出しを掲げた。
(http://www.haaretz.com/hasen/spages/1072511.html).
(この大見出しは、風刺に富んだアメリカの新聞、オニオン紙からそのまま取ったものかもしれない。)重大な違法行為についての兵士たちの報告を「噂に基づいたもの」と呼び、IDFは、実際は、わが軍は、世界中で最も道徳的な軍隊であると結論ずけた。防衛大臣のエフード・バラクにいたっては、IDFほど自己内省的な軍隊は、世界中でどこにもない、とまで極論した。(http://haaretz.com/hasen/spages/1075221.html
IDFはこんな結論を引き出すのに、まるまる11日もかけたとは、人は、きっと驚くだろう。さまざまな国際的団体は、こんな性急な結論を出さず、戦争犯罪の申し出を追及し始めている。
調査の終わりにあたって、IDFは、その兵士や司令官の誠実さの土台を崩しにかかり、その証言を無視し、彼らの国が、彼らを送り込んで実行させようとしたこうした犯罪を報告し、討論しようとする彼らの試みを隠蔽した。
IDFは、彼らの軍事指導者の二枚舌をあからさまに使っているが、その内省や道徳性といった主張は、兵士たちの証言、ヒューマン・ライツの報告、証言と同じ週に暴露された兵士たちのゾッとするような、人種主義的なTシャツについての報告を前にしては通用しない。(TシャツについてのJPNの記事を参照)
http://jewishpeacenews.blogspot.com/2009/03/worried-aunt-in-abu-ghosh.html
画像については以下参照
http://jewishpeacenews.blogspot.com/2009/03/photos-of-idf-training-graduates-t.html).
国際的なメディアは、少し名前を挙げるだけでも、ウオール・ストリート・ジャーナル、BBC,ハンフィングトン・ポストの報告を含めて、IDFの関するこれらの話を取り上げていた。なんといっても、IDFは、そのパレスチナの犠牲者や彼らの代弁者を、情報の真っ当な情報源として、また彼らの要求の擁護者として、またしても取り合わなかった。ハアレツの昨日、4月1日の記事は、こうした出来事に相応しいコーダである。「パレスチナ市民を傷つけた兵士たちの報告の
数は、急激に増加。」
(http://haaretz.com/hasen/spages/1075493.html).
暴行の数、報告された暴行の数は、2008年には2007年の二倍であった。その2007年自体、2006年に報告された数の二倍であった。
by halunet
| 2009-04-04 17:49
| パレスチナの平和