2012年 09月 01日
沖縄<高江>からの現地最新レポート/二重の疎外という現実(その2) |
沖縄・高江からの報告(つづき)
2012.8 椎ノ木 武志
翌朝も朝早くからゲート前で待機。職員と作業員が車から飛び出してくる。何人かがガードレールを超えて林に入っていく。そのうちの一人を仲間と手をつないでガードレールの隅に追い詰める。職員を含め激しい押し合いに。それをはねのけ、こう着状態に。どの位経っただろうか。ついに車に押し戻した。その後朝食のおにぎりを頬張る。たとえ一人でも止めた。皆元気がいい。「ほんの少しでも工事を遅らせることが必要」「とにかく粘り強く、」「それだけでは工事は止まらないが、その間に高江の現実を出来るだけ多くの人に知ってもらう」「確かに少しずつだけれど広がっている」などの言葉が飛び交う。
この写真はZゲート。「命どぅ宝」は「ヌチドゥタカラ」と読む。沖縄の人が最も大切にしている言葉だ。
報道によると、米海兵隊は、オスプレイを新たに配備するハワイで、予定していた2つの空港での訓練を、環境への配慮や地元住民の懸念を考慮して取りやめたという。沖縄ではあれだけ危険な普天間への配備や高江での住民の反対の声を無視して訓練をやめようとしない。
また、森本防衛大臣は国会で「民家の上で低空飛行はあり得ない」「低空飛行は」「たとえば北部訓練場なりでするのが普通」と発言したという。普天間の住民の上はよくないが高江の住民の上ならいいというのか!しかもこれまで曖昧にしてきた高江でのオスプレイ訓練を公然と認めたのだ。
夕方、今朝の腹いせか防衛局職員が「基地内に侵入したものがいるという連絡があった」などと叫びながらZゲートの横断幕をまくりあげ中へ入った。激しいもみ合いが続いた。こういう時は絶対後ろに下がらないで向こうが押してくるのを耐えて待つ。相手が疲れてきたところで押し返す。長時間の断固とした抗議行動で追い出した。おそらく内部の構造を調べようとしたのだろうとのこと。(いろいろ忙しくて写真はありません)
次の日も早朝よりゲート前で待機。防衛局の車が来る。しかし作業員の車が続いて来ない。降りてきた職員の顔に余裕がある。
「反対からくる!」「迂回した!」「Zゲート!」などと声が飛ぶ。一部を残して走る。案の定何人かの作業員はすでに路上にいる。そのうちの一人を輪の中に取り込み、道路の斜面と車の隙間に追い詰める。防衛局職員が押してくる。それにひたすら耐える。かなりの時を経て、その作業員が「帰る」と言い出した。約束させて輪を解く。職員が「仕事に戻れ」と何度も叫ぶ。私達と車に戻り始めると、既に基地内に入っている監督らしき男から声が飛ぶ。「給料でないぞ!」「おまえは首だ!」その作業員はいったん車に入るも、再び出て、残念ながら林に消えた。
もう一台の作業員の乗った車は、タイミングよくドアをうまくガードした。ドアを開けさせないまま駆けつけた職員と押し問答が続く。工事現場に入れないことに危機意識を持ったのか、これまで直接介入してこなかった警察が、私達を排除にかかった。(青い帽子の男たち)
“いったい工事はどこまで進んでいるのだろう”というのが私達の気になることだった。基地内に入れば即逮捕される危険性がある。そこで知恵を絞って撮影したのが下の写真だ。青いネット(私達からの目隠し用)の向こう側の円形状の所がヘリパッドだ。残念ながらほぼ完成に近い。
9月9日オスプレイ配備反対の沖縄県民集会が行われる。しかし奇妙なことにそこに高江の「ヘリパッド工事即時中止」のスローガンはない。仲井眞沖縄県知事は「オスプレイは反対だが高江はそれと関係ない」などと言っている。高江の属する東村村長は「オスプレイだけが使うとは限らない。」「作らないと北部訓練場の半分が帰ってこない。」「そのためには、多少犠牲が伴っても工事を進めたい」と発言している。これが高江の現実なのだ。高江の人達はアメリカや日本から犠牲を強いられ、さらに沖縄からも。まさに二重に抑圧されているのだ。昨夜地元の人が、ビールを飲みながら私に言った。「たとえヘリパッドができようと、オスプレイが飛ぼうとも、決して諦めない。もっと覚悟して闘う」と。思わず私は目頭が熱くなって彼の手を握った。(めったにこんなことはしないのだけど)その黒く日焼けした顔が忘れられない。たった160人の小さな村。小さな命。されど命。その小さな命を守らなくて、ましてや、足蹴にして大きな命を守れるのか。
帰りに地元の人のやっている喫茶店に寄った。森の奥、谷底に近いところにあった。心地よい風が吹き抜ける。子供たち7~8人が、楽しそうにピザを頬張っていた。また来よう。いや何度でも。
上記の報告は多少の配慮を除いて、ありのままに書いた。高江の日常のホンの一端だ。同じ沖縄でも普天間や辺野古に比べ高江はまだまだ知られていない。ましてやそこで命をないがしろにする工事が着々と進められていること知る人はわずかだ。多くの人にこの現実を知ってもらい、工事中止の大きな声が起きることを願っている。
(おわり)
2012.8 椎ノ木 武志
翌朝も朝早くからゲート前で待機。職員と作業員が車から飛び出してくる。何人かがガードレールを超えて林に入っていく。そのうちの一人を仲間と手をつないでガードレールの隅に追い詰める。職員を含め激しい押し合いに。それをはねのけ、こう着状態に。どの位経っただろうか。ついに車に押し戻した。その後朝食のおにぎりを頬張る。たとえ一人でも止めた。皆元気がいい。「ほんの少しでも工事を遅らせることが必要」「とにかく粘り強く、」「それだけでは工事は止まらないが、その間に高江の現実を出来るだけ多くの人に知ってもらう」「確かに少しずつだけれど広がっている」などの言葉が飛び交う。
この写真はZゲート。「命どぅ宝」は「ヌチドゥタカラ」と読む。沖縄の人が最も大切にしている言葉だ。
報道によると、米海兵隊は、オスプレイを新たに配備するハワイで、予定していた2つの空港での訓練を、環境への配慮や地元住民の懸念を考慮して取りやめたという。沖縄ではあれだけ危険な普天間への配備や高江での住民の反対の声を無視して訓練をやめようとしない。
また、森本防衛大臣は国会で「民家の上で低空飛行はあり得ない」「低空飛行は」「たとえば北部訓練場なりでするのが普通」と発言したという。普天間の住民の上はよくないが高江の住民の上ならいいというのか!しかもこれまで曖昧にしてきた高江でのオスプレイ訓練を公然と認めたのだ。
夕方、今朝の腹いせか防衛局職員が「基地内に侵入したものがいるという連絡があった」などと叫びながらZゲートの横断幕をまくりあげ中へ入った。激しいもみ合いが続いた。こういう時は絶対後ろに下がらないで向こうが押してくるのを耐えて待つ。相手が疲れてきたところで押し返す。長時間の断固とした抗議行動で追い出した。おそらく内部の構造を調べようとしたのだろうとのこと。(いろいろ忙しくて写真はありません)
次の日も早朝よりゲート前で待機。防衛局の車が来る。しかし作業員の車が続いて来ない。降りてきた職員の顔に余裕がある。
「反対からくる!」「迂回した!」「Zゲート!」などと声が飛ぶ。一部を残して走る。案の定何人かの作業員はすでに路上にいる。そのうちの一人を輪の中に取り込み、道路の斜面と車の隙間に追い詰める。防衛局職員が押してくる。それにひたすら耐える。かなりの時を経て、その作業員が「帰る」と言い出した。約束させて輪を解く。職員が「仕事に戻れ」と何度も叫ぶ。私達と車に戻り始めると、既に基地内に入っている監督らしき男から声が飛ぶ。「給料でないぞ!」「おまえは首だ!」その作業員はいったん車に入るも、再び出て、残念ながら林に消えた。
もう一台の作業員の乗った車は、タイミングよくドアをうまくガードした。ドアを開けさせないまま駆けつけた職員と押し問答が続く。工事現場に入れないことに危機意識を持ったのか、これまで直接介入してこなかった警察が、私達を排除にかかった。(青い帽子の男たち)
“いったい工事はどこまで進んでいるのだろう”というのが私達の気になることだった。基地内に入れば即逮捕される危険性がある。そこで知恵を絞って撮影したのが下の写真だ。青いネット(私達からの目隠し用)の向こう側の円形状の所がヘリパッドだ。残念ながらほぼ完成に近い。
9月9日オスプレイ配備反対の沖縄県民集会が行われる。しかし奇妙なことにそこに高江の「ヘリパッド工事即時中止」のスローガンはない。仲井眞沖縄県知事は「オスプレイは反対だが高江はそれと関係ない」などと言っている。高江の属する東村村長は「オスプレイだけが使うとは限らない。」「作らないと北部訓練場の半分が帰ってこない。」「そのためには、多少犠牲が伴っても工事を進めたい」と発言している。これが高江の現実なのだ。高江の人達はアメリカや日本から犠牲を強いられ、さらに沖縄からも。まさに二重に抑圧されているのだ。昨夜地元の人が、ビールを飲みながら私に言った。「たとえヘリパッドができようと、オスプレイが飛ぼうとも、決して諦めない。もっと覚悟して闘う」と。思わず私は目頭が熱くなって彼の手を握った。(めったにこんなことはしないのだけど)その黒く日焼けした顔が忘れられない。たった160人の小さな村。小さな命。されど命。その小さな命を守らなくて、ましてや、足蹴にして大きな命を守れるのか。
帰りに地元の人のやっている喫茶店に寄った。森の奥、谷底に近いところにあった。心地よい風が吹き抜ける。子供たち7~8人が、楽しそうにピザを頬張っていた。また来よう。いや何度でも。
上記の報告は多少の配慮を除いて、ありのままに書いた。高江の日常のホンの一端だ。同じ沖縄でも普天間や辺野古に比べ高江はまだまだ知られていない。ましてやそこで命をないがしろにする工事が着々と進められていること知る人はわずかだ。多くの人にこの現実を知ってもらい、工事中止の大きな声が起きることを願っている。
(おわり)
by halunet
| 2012-09-01 11:38
| 沖縄