2011年 03月 05日
◆JPMAメルマガ◆ パレスチナ最新情報 11・03・03 |
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日本のメディはじめBBCやアル・ジャジーラ等パレスチナ・イスラエルを地元としないサイトは、リビア、エジプト、バーレーン、イラン等中東の民衆蜂起の記事一色という感じで、パレスチナの記事はほとんど見あたりません。しかしMaanNews、IMEMC、Haaretzといった地元のメディアでは、入植者の攻撃事件が特に目立ちました。26日から27日にかけてIMEMCやMaan newsをパラパラと見ていると、いつになく入植者の攻撃の記事が多いなという印象だったのですが、28日にネタニヤフ首相がアウトポスト撤去計画を発表し、ハバト・ギラドアウトポストの撤去作業を実施してから入植者の攻撃が一段と強まりました。以下2月25日から3月3日まで、入植者がらみの記事を列挙します。連日報道されていることがわかります。
2/25ナブルス南部のイトゥザル入植地の入植者がパレスチナ人のブルドーザーを放火。
サダラ村では入植者がオリーブの木を25本倒した。
2/26ラマッラ近郊の村では、入植者が150ドゥナム(15万平方m)の小麦畑を破壊。
ナブルス南部のイトゥザル入植地の入植者がパレスチナ人の車に放火。
2/27ヘブロンで入植者の車にパレスチナ人少女が轢かれけが。
2/28ネタニヤフ、違法アウトポスト撤去計画を発表
ナブルスで入植者が道路を閉鎖し、パレスチナ人の車に投石。
エルサレムで入植者がイスラエル警察と衝突。23名逮捕。
入植地を通る路線を担当させられた、イスラエル市民権を持つパレスチナ人バス運転手を解雇するよう、エラザル入植地の入植者がキャンペーンをはり、地区評議会へ解雇要請。
ヘブロンで入植者の車にパレスチナ人少年が轢かれ負傷。
ナブルスで入植者がパレスチナ人の家屋に放火。
3/1入植者が前日のハバト・ギラドアウトポスト撤去に抗議して、エルサレム・ナブルス間の道路を封鎖。ナブルスでは撤去の代価をパレスチナ人は払わねばならないと声明。
ヘブロンで武装入植者数十人がアウトポスト撤去に抗議し、旧市街をデモ。パレスチナ人の家屋・車に投石。
3/2PA(西岸)が国際社会へ、入植者の攻撃停止のため介入するよう要請。ナブルス南方で入植者がアウトポストの拡張を開始。
3/3右派活動家がエルサレム入り口を封鎖、タイヤを燃やす。
ネタニヤフ首相は違法(未認可)アウトポスト(入植地前哨基地)のうち、パレスチナ人が所有する土地に建つアウトポスト3つを撤去すると表明しました。同時に残りのアウトポストは「国有地」にあるから、認可するつもりだとも表明しました。イスラエルのいう「国有地」とは、「土地の登記がなされていない」か「3年間土地が耕作されていない」土地をイスラエル政府が「国有化」した土地です。パレスチナ人は伝統的に土地は口頭で引き継がれてきたといいます。オスマントルコ時代や英国の統治下にあった時代、ヨルダンの治世下にあった時代に土地の登記が進められてきましたが、1967年にイスラエルの占領下になってからは土地の登記が禁止されました。また移動の自由のないパレスチナ人にとって、3年間自分の土地へ行って耕すことができないことは大いにありうることです。イスラエルにとってパレスチナ人が自分の土地へ行くことを禁止することさえ可能です。
ネタニヤフ首相は、パレスチナ人が所有する土地に建つアウトポストを3つとしましたが、ピースナウによれば70です。(3月2日の記事参照)ネタニヤフ首相は国際社会の目を意識するかのように3つのアウトポストの撤去を語り、それが入植者の怒りを買い、あるいは買わせ、入植者のパレスチナ人への攻撃を激化させる、実に巧妙な連携プレーなのでしょうか。
以下2月26日以降のニュースです。
2月26日(土)
●ファタハ若手グループ、非暴力抵抗を継続
ファタハ若手グループは、米国の拒否権行使があったにもかかわらず、非暴力抵抗を継続すると語った。拒否権行使に照らし合わせれば、自由と民主主義に関するオアバマ大統領の声明は偽善にしか聞こえないと声明のなかで述べた。
入植地には正当性がなく、世界でもっとも古い軍事占領は一年以内に終わるだろ
うとオバマ大統領が語った時それを信じた、さらに安保理に決議が提案されたとき国際社会は国際法をパレスチナにもたらすだろうとと希望を持った、しかし不幸にもオバマに嘘をつかれ、我々は間違ってしまった、と声明の中で述べた。
ネタニヤフ首相がマアレ・アドミン入植地とテルアビブに違いはない、東エルサレムとハイファに違いはないと語ったわけだから、もはや我々はボイコットを入植地に限定する義務はないと若手グループは語った。二国家解決支持を強調したが、イスラエル政府のなかに交渉相手はいないとも語った。(Maan news)
●人種主義に反対してデモ
約1500人の左派活動家が、この間の人種差別の強まりに抗議して、エルサレムでデモをした。この間の人種差別の強まりは、国とイスラエル社会を破壊しかねないとし、政府の政策、とりわけリーベルマン外相が後押しする政策に起因しているとしている。労働党、ピースナウ、メレツはじめ多くの青年グループが参加した。ホロビッツ議員(メレツ)は集会で、「挑発は話し合いには役にたたない、むしろ銃撃と刺傷に導くことすらあることを過去の経験から我々は学んだ」と語った。(Peace Now)
2月28日(月)
●ネタニヤフ首相、将来の入植地建設に含み
ネタニヤフ首相は、国際的に増大しつつある入植地建設に対する圧力を無視できないと語った。ネタニヤフ首相は、リクード出身の閣僚を前に、建設中の入植地は全力で保持するが、非常に厳しい国際社会の現実性を理解しないわけにいかないと述べ、将来の入植地建設に含みをもたせた。(Haaretz)
●アラブ人運転手、入植者から解雇の脅し
入植地を通る路線を担当させられた、イスラエル市民権を持つパレスチナ人バス
運転手を解雇するよう、エラザル入植地の入植者がキャンペーンをはじめた。地区評議会へ解雇を求める要請書を提出した。入植者は人種差別が動機ではないとしながらも、アラブ人が運転するバスに子供を乗せるわけにいかないと語った。
さらに、解雇を求める書類が右派グループ、コメミユットにも提出された。同グループは、「敵」は生活の糧を奪われるべきだと言っている。(IMEMC)
●アウトポスト撤去で入植者とイスラエル治安部隊が衝突
西岸のハバト・ギラドアウトポストの撤去作業が行われ、入植者とイスラエル治安部隊が衝突、入植者13名が負傷、8名が逮捕された。
エルサレムではアウトポスト撤去に抗議して、100人の右派若手が集まり、警察部隊と衝突、20人が逮捕された。(Maan news)
3月1日(火)
●統一を求めるデモをハマスが阻止
28日にガザで予定されていた、統一を求めるデモがハマスによって阻止された。
フェイスブックやツイッターなどを用いて呼びかけられたデモは、会場へ行く途中、ハマス治安部隊によって阻止されたとAFPが報じた。デモ組織者のひとりと目される人物が逮捕された。
アラブ世界の民衆蜂起がおきてから、ガザのハマスと西岸のPAはいずれも、体制
変革を支持しハマスとファタハの政治分裂を終わらせるよう求めるデモをずっと妨害してきた。(IMEMC)
ヘブロンで、パレスチナ女性委員会が選挙と内部統一を求め数十人の女性ががデモをした。(Maan news)
●イスラエル、96のアウトポストの認可を計画
ネタニヤフ首相は28日、パレスチナ人所有の土地にある違法アウトポスト撤去の計画を決めた。この決定は、アウトポスト撤去を求める15の請願書に応じてなされ、最高裁に提出されてのち、少なくとも100家族が居住する3つのアウトポストに適用される。
同時にイスラエル政府は、国有地に建つ違法アウトポストの合法化をスタートさせる。(Haaretz)
99あるアウトポストのうち、イスラエル政府は3つを排除する計画をもっている。同じ計画のなかで、「国有地」に建てられた残り96のアウトポストを認可する計画だ。この計画の発表は入植者を刺激し、ナブルスやヘブロンで入植者の暴力行為を引き起こした。
西岸における「国有地」とは、土地の所有権利書が存在しなかったり、過去3年間土地が耕されていなかったりした場合に、イスラエル政府が接収した地域のこと。パレスチナ社会では伝統的に土地所有権は口頭で引き継がれてきた。またパレスチナ人に移動の自由がなく、それ故農民は自分の土地を耕すのは困難であったり不可能であったりする。(IMEMC)
●入植者、パレスチナの村を襲撃
入植者がヒウワラ村を襲撃、家屋に火炎瓶を投げ込み放火、車にも火をつけた。イスラエル警察は、今回の事件を、ユダヤ人過激派が「代償」-イスラエル政府の入植地妨害計画によって引き起こされたパレスチナ人への暴力-キャンペーンの一部だとみなせると語った。(Maan news)
●ネタニヤフ、カルテットの交渉再開の招きを拒否
カルテット(UN、米、EU、露)は2日にブリュッセルで和平交渉再開へ向けて会議を開く。パレスチナ、イスラエル双方が会議に招待されていたが、イスラエルは代表を送ることを拒否した。ネタニヤフ首相は拒否の理由として、交渉再開に国際社会の影響を受けることを懸念したと語った。パレスチナは前首席交渉員のサエブ・エラカットを派遣した。(Haaretz)
3月2日(水)
●PA(西岸)が国際社会に入植者の攻撃停止のため介入するよう要請
この間の入植者による攻撃に対しPA(西岸)は、国際社会が介入し攻撃をやめさせるよう声明をだした。イスラエル政府は入植者の攻撃に介入することを拒否している。ナブルス近郊ではパレスチナ人の民家に放火、ヘブロンでは商店や車の破壊、東エルサレムでは「アラブ人に死を」と叫びながらパレスチナ人を撲殺等の事件が発生している。入植者は「激怒の日」(Day of Rage)を3日に設定し、パレスチナの村に侵入し、村民を追い出す計画をしている。西岸と東エルサレムには約50万人の入植者がいる。(IMEMC)
●70のアウトポストがパレスチナ人の所有地に存在--ピースナウがレポート
2月28日ネタニヤフ首相がパレスチナ人の所有地にある違法アウトポストを撤去する意思をしめしたが、対象のアウトポストは3つしかないとした。それに対しピースナウは問題ありとして以下のレポートを出した。
(1)パレスチナ人の所有地に建つアウトポストは3つではなく、70である。16はすべてがパレスチナ人の所有地に存在し、54は一部がパレスチナ人の所有地に存在する。16のうち11は完全に私有地として登記されている。
(2)2003年のロードマップの履行義務として、2001年3月以降建設されたアウトポストは撤去しなければならないことになっている。ピースナウが数えたところでは、3ではなく45である。国防省によれば(3でなく)26である。それ故、今回のイスラエルの方針は明らかにアウトポストに関してロードマップの履行義務に反している。
(Peace Now)
3月3日(木)
●入植者の「激怒の日」(Day of Rage)始まる
ハバト・ギラドアウトポスト撤去に抗議して、イスラエル全土に呼びかけられた「激怒の日」(Day of Rage)の最初の行動として、右派活動家は幹線道路のエルサレム入り口を封鎖を試み、テルアビブ・エルサレム間を結ぶ一号線を短時間封鎖した。また別のエルサレム入り口ではタイヤに火がつけられた。(Haaretz)
(出典:Haaretz, IMEMC, Maan news, Peace Now)
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◆■ エジプト政変でパレスチナはどう変わるのか ■◆
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 3月11日(金)
【緊急シンポジウム】エジプト政変でパレスチナはどう変わるのか
30年間続いたエジプトのムバラク独裁政権が民衆デモによって崩壊した。莫大な軍事援助で支えてきたアメリカ政府の意向を受け、ムバラク政権はイスラエルとパレスチナ自治政府との「和平」交渉の仲介役を担ってきた。その政権が崩壊した後、パレスチナとイスラエルとの関係はどうなっていくのか。ヨルダン川西岸のパレスチナ自治政府、ガザ地区のハマス政権はそれぞれどう対応するのか。封鎖が続き閉塞状態のガザ住民の状況は改善されるのか――
パレスチナ・イスラエル研究、エジプト研究の専門家たちに、エジプト政変でパレスチナ・イスラエル情勢はどう動くのかを語っていただく。
【日時】3月11日(金) 午後6時半-午後9時 午後6時・開場)
【場所】明治大学 駿河台キャンパス リバティタワー 地下1F 1001教室
(JR中央線・総武線、東京メトロ丸の内線/「御茶ノ水」駅下車 徒歩3分)
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html
【参加費】 1000円
〔第1部〕 映画上映と報告
・ 上映/ドキュメンタリー「ガザに生きる」・第3部「ハマスの台頭」(30分)
〔監督・土井敏邦〕
・報告/エジプト政変へのパレスチナ側とイスラエル側の反応
錦田愛子(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 助教/パレスチナ研究)
〔第2部〕 シンポジウム「イスラエル・パレスチナ情勢はどう変わるのか」
[パネリスト]
臼杵陽(日本女子大学文学部教授/中東地域研究)
長沢栄治(東京大学東洋文化研究所教授/エジプト近現代史)
錦田愛子
(司会)土井敏邦(ジャーナリスト)
(注・パネリストがさらに増える可能性もあります)
【主催】土井敏邦 パレスチナ・記録の会
【共催】社会思想史研究会 / パレスチナ学生基金
【お問い合せ】 doitoshikuni@mail.goo.ne.jp
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by halunet
| 2011-03-05 22:45
| パレスチナの平和