2010年 11月 06日
パレスチナ最新情報 10・11・04 |
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■□ ニュース速報 □■
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アメリカの中間選挙では、民主党が大敗、共和党が下院を制し、上院でも逆転寸前まで迫りました。アメリカ最強ともいわれるロビー団体AIPACは、「強固な親イスラエル議員」が多数当選したことに満足するとの声明を出しました。議会対策に苦労するだろうオバマ大統領にとって、中東政策でとり得る政策選択の幅は、いっそう小さくなるでしょう。彼が再選をめざすなら、国際法を無視して入植地拡大政策を続けるイスラエルに圧力をかける余地など見つかりそうにありません。
現地では、エルサレムでの攻防が続きます。東エルサレムのパレスチナ人学校15校の完工式に出席しようとした、パレスチナ自治政府(西岸)のファイヤド首相は、イスラエルによって阻止されました。同じエルサレム地区内ながら、「壁」のパレスチナ側にある学校での式典に出るほかありませんでした。「壁」の政治的意味がよくわかりますね。
イスラエルでは、パレスチナ系市民に対する差別や嫌がらせ、暴力的襲撃事件が続いているようです。「ユダヤ国家」への忠誠宣誓の義務づけという動きと共通するものがあります。
今週は、日本の新聞からの引用記事がゼロでした。パレスチナ=イスラエル直接交渉が止まり、多数の死傷者がでるほど大規模な衝突もなかったということです。こんな時こそ、当協会のメルマガがお役に立つのではないかと・・・
以下、10月29日以降のニュースです。
【10月29日(金)】
■「壁」抗議行動に厳重警戒■
西岸地区に建設されている「壁」抗議の統一行動が、ラーマッラー周辺のニイリン村、ディル・ニザーム村、ベツレヘム近郊のウンム・サラムナ村で計画されたが、イスラエル軍の厳重な警備に阻まれた。
ベツレヘムに近いアル・マアサラ村では、壁工事現場に近づこうとするデモ隊を、軍は催涙ガス弾や音響爆弾などで阻止した。主催者によると、デモの一人がゴム被覆金属弾で撃たれ負傷、外国人一人が捕まった。
ビルイン村では、「壁」抗議デモにノルウェーの政治家も参加。デモは、同村「壁」反対運動の指導者、アブドゥッラー・アブー・ラハマ氏、アディーブ・アブー・ラハマ氏の有罪判決に抗議した。両氏は、イスラエルに逮捕され、軍事法廷でそれぞれ12カ月、18か月の刑を科せられている。同村では、09年4月、反対運動の活動家バッサム・アブー・ラハマ氏が、イスラエル治安部隊の高速催涙ガス銃で撃ち殺されている。(10/29 Maan Newsほか)
■携帯電話ワタニーヤ・パレスチナ社の株式公開へ■
関係筋によると、携帯電話会社「ワタニーヤ・パレスチナ」は、11月7日から株式公開を開始する。当初の目標は5030万ドル。一株1.3ドルで売り出す。(10/29, 10/30 Reuters)
【10月30日(土)】
■ガザ市でイスラーム主義者の大集会■
イスラーム強硬派「イスラーム聖戦」の集会がガザ市で開かれ、主催者によると約10万人が参加した。1995年にマルタで殺された同派の幹部ファトヒ・シカーキを追悼するもので、ハマース支持者も参加、ガザ政府の警察が警備に当った。ハマースがガザ市内で他党派の集会を認めるのは珍しい。
ダマスカスに亡命中のイスラーム聖戦指導者、ラマダーン・シャッラ氏は、メッセージを送り、「イスラエルがこの地域にもたらすのは平和ではなく、戦争と破壊だけ。それゆえ、イスラエルは葬り去らねばならない」と呼びかけた。(10/29 Reuters)
【10月31日(日)】
■アラブ系市民への発砲で治安部隊員に有罪■
先週末にサフェドで起きた、パレスチナ系イスラエル市民に対する発砲事件で、イスラエル国境警備隊員とその友人各1人が有罪となった。2人は、アラブ系市民に向かって「アラブよ、死ね」など、侮辱的な言葉を繰り返したとされる。
サフェドでは、ラビ(ユダヤ教導師)の煽動で、パレスチナ系市民排斥運動が高まり、先週、数人のパレスチナ系市民をユダヤ系の若者約30人が襲撃。2被告は、攻撃に参加したとされる。
同市では、市長が、サフェドは「アラブのいない町」にすべきだと公言、一部の家主たちはパレスチナ系イスラエル市民をボイコットする組織を作っていた。
先週末には、30人ばかりの若者がパレスチナ系の学生の住む建物を襲い、投石。群衆に加わっていた国境警備隊員(非番)アブラハム・エルマキス被告(20)は貸与されていた銃を持参、彼の友人が建物に向かって実弾を発砲したという。(10/31 IMEMC)
【11月1日(月)】
■メリドール副首相が訪英キャンセル■
イスラエルのダン・メリドール副首相(諜報・原子力エネルギー相兼務)は同日予定されていた訪英をキャンセルした。同副首相がイギリスに到着した場合、5月31日のガザ支援船団強襲事件で刑事責任を問われる可能性があるとの情報による。メリドール氏は、ネタニヤフ首相が船団強襲を決めた際の諮問に応じた7閣僚会議のメンバー。(11/1 Haaretz)
【11月2日(火)】
■イスラエル、東エルサレムでの記念行事を阻止■
ファイヤド首相は、イスラエルの圧力で、東エルサレムのダヒアト・アッサラーム地区のホールで予定されていた記念行事参加をキャンセルした。行事は、東エルサレムのパレスチナ人学校15校の完成を祝うもの。首相は、その代わり、エルサレム北方ダヒアト・アル・バーリド地区の2校で開かれた行事には参加した。こちらは、分離壁のパレスチナ側だが、エルサレム市域内にある。
「ネタニヤフ首相は、この地域を首都統一エルサレムの一部だという。よろしい、この地域はわれわれの独立国家の首都になるべき占領下の首都なのだ」とファイヤド首相は述べ、パレスチナ自治政府はエルサレム郊外への投資を続けると宣言した。
ファイヤド氏は、当初、ダヒアト・アッサラーム地区でのレセプションに参加する予定だったが、イスラエルのイツハク・アハラノヴィチ公共治安相がエルサレム市域でのPAの活動を禁止すると命令。イスラエル警察は、そのような活動を阻止するためあらゆる手段を取る、と警告していた。(11/2 Haaretz、Y-net News)
■「シン・ベトが拷問」とイスラエルの人権団体■
イスラエルの人権団体「ベツェレム」が同日発表したレポートによると、2009年にテル・アヴィヴ近郊ペタ・ティクバの収容所で尋問された121人のパレスチナ人のうち、9%が暴力を受けたと証言している。
レポートは、諜報機関シン・ベトによる「違法な取り調べには、密室への幽閉、不潔な独房、手錠をかけたままの拘留、睡眠妨害、その他、被疑者を肉体的・精神的に傷つける手段が含まれる」としている。
イスラエル法務省は、「匿名の証言による一般的な記述で、確認のしようがない」とコメント。(11/2 Reuters)
【11月3日(水)】
■◆アメリカ中間選挙結果にイスラエル・ロビーは満足◆■
アメリカ最大の親イスラエル・ロビー団体AIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)は、中間選挙で、強固な親イスラエル議員が多数選出されたことに満足している。
「2日の選挙で、アメリカ=イスラエル友好を支持する最強の議員たちが再選された」とAIPACは声明した。この議員には、上院院内総務のハリー・リード議員(民主・ネヴァダ)、次期下院院内総務の有力候補ジョン・ベーナー議員(共和・オハイオ)(11/3 Haaretz)が含まれる。このほか、親イスラエル派として、現下院院内総務のナンシー・ペロシ議員(民主・カリフォルニア)、エリック・カンター(共和・ヴァージニア)、ステニー・ホイヤー(民主・メリーランド)両下院議らをAIPACは列挙した。
AIPACの声明は、「アメリカとその中東におけるもっとも信頼される同盟国イスラエルとの友好、そして、強力で安全なイスラエルを強固に支持するというアメリカの伝統を、第112議会が受け継いだことは火を見るより明らか」だと、今回の選挙結果を称賛した。
同声明は、また、3人ユダヤ系新人議員――リチャード・ブルーメンタル上院議員(民主・コネティカット)、デーヴィッド・スィシリン下院議員(民主・ロードアイランド)、ナン・ヘイウォース下院議員(共和・ニューヨーク)の選出を歓迎した。
また、駐米イスラエル大使館も、イスラエル支持者が両党にまたがっていることに、満足の意を表明した。
一方、別のユダヤ系団体「Jストリート」の調査によると、ユダヤ系有権者の強い関心事は、62%が「経済」、32%が「健康保険」で、「イスラエル」と答えたものは、わずか7%だったという。また、ユダヤ系の66%が民主党に投票した。(11/3 Haaretz)
■イスラエル、イスラーム強硬派を暗殺■
ガザ市の警察本部前でクルマが爆発した事件で、イスラエル軍は、諜報機関「シン・ベト」との合同作戦で「イスラーム軍」幹部ムハンマド・ニムニム氏(27)を暗殺したことを認めた。
軍によると、イスラーム軍は07年のBBC記者誘拐事件に関与、また、シナイ半島でエジプトとアメリカの目標攻撃を計画していたとしている。
ガザ政府内務省は、爆発はイスラエル軍の空爆によるものと述べ、現場近くで1人が負傷したという。
イスラエルには、パレスチナ人の軍事・政治指導者暗殺の長い歴史があるが、09年、ガザ地区侵攻後の停戦以来、暗殺作戦を控えてきた。(11/3 Haaretz)
■イスラエル、イギリスとの「戦略対話」をキャンセル■
イスラエル外務省の広報官は、AFPの取材に対し、イギリスとの「戦略対話は延期された」と語った。イギリスが、戦争犯罪容疑をかけられたイスラエルの高官が来訪した場合、容疑者を逮捕できる法制度に抗議するもの。(11/3 Haaretz)
■アラブ系市民差別の副市長を解任■
カルミエル市のアディ・エルダル市長は、オレン・ミルステイン副市長の解任を発表した。ミルステイン副市長は、2年間にわたりアラブ系市民に対する差別発言を繰り返してきた。ミルステイン氏は、「カルミエルのユダヤ性を維持するため」として、同市にアラブが居住することに反対、市内におけるアラブ系市民による住宅購入や借家を阻止しようとした。
しかし、ミルステイン氏の後任には、極右イスラエル・ベイテヌの中心活動家リナ・グリーンベルグ氏が予定されている。イスラエル・ベイテヌの党首はアヴィグドル・リーベルマン外相。(11/4 Haaretz)
【11月4日(木)】
■クリントン長官、ネタニヤフ首相とワシントンで会談予定■
アメリカのクリントン国務長官は、来週、ネタニヤフ首相がワシントンを訪問する際、会談する計画を再確認した。ニュージーランドのジョン・ケイ首相と会見後の記者会見で語った。「われわれは、イスラエル、パレスチナの友人たちとともにノン・ストップで前進するよう努力している」と国務長官は述べた。(11/4 Haaretz)
(出典: Haaretz、IMEMC、Maan News、Reuters、Y-net News)
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by halunet
| 2010-11-06 10:20
| パレスチナの平和