2010年 09月 10日
パレスチナ最新情報 10・09・09/JPMAメルマガ |
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■□ ニュース速報 □■
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2日、18ヶ月ぶりにパレスチナ=イスラエル直接交渉がワシントンで始まりました。多くのメディアは、26日に期限切れとなる、西岸地区での入植活動「凍結」期間が延長されるかどうかを焦点としています。しかし、会談初日の翌日3日のドイツ紙シュピーゲルによると、入植地建設はフル・スウィングで進んでいます。誰もがそのことを知っているはずだのに、知らないことにしている。こんなフィクションが何かを生み出すことはないでしょう。
シュピーゲルの記事全文(英語版)のサイトも、紹介して置きました。
古いニュースなので割愛しましたが、国連機関などによると、ガザ地区の水不足は相変わらず深刻で、なんと、供給されている水の95%が飲料不適といいます。5月31日の事件で、封鎖が若干緩和されたと伝えられましたが、ガザ地区の酷い状態は大して改善されていないようです。くわしくは、以下のサイトをご覧ください:
http://www.btselem.org/English/Gaza_Strip/20100823_Gaza_water_crisis.asp
イスラエル軍の次期参謀総長人事をめぐる暗闘で怪文書が撒かれ、国内で問題になっています。こんなこともあるのですね。
以下8月日以降のニュースです。
【9月2日(木)】
■パレスチナ=イスラエル直接交渉開始■
パレスチナのアッバース大統領(PLO議長)、イスラエルのネタニヤフ首相は、アメリカのクリントン国務長官の立会いで、ワシントンで会談、2週間毎に会談を続けることで合意した。次回交渉は、14,15の両日、中東地域で行われ、クリントン長官も立ちあう。オバマ政権は、1年以内に、イスラエルと共存するパレスチナ国家の樹立を目標に設定している。
アッバース、ネタニヤフ両首脳は、アメリカ国務省のレセプション・ルームで握手、クリントン長官を交えて1時間以上会談。その後、それぞれ2者が、合計90分会談した。
会談の詳細は明らかにされていないが、関係者によると、アッバース大統領は、ネタニヤフ首相に対し、ガザ地区封鎖の解除と入植活動の中止を要求、入植が再開されれば会談を中止すると伝えた。ただし、イスラエル側の安全保障上の要求は認識していると述べたという。
直接交渉再開に反対しているハマースの報道官は、パレスチナの13組織が「イスラエルに対し、より効果的な攻撃で協力している」と語った。「自爆攻撃は含まれるか」の問に、「あらゆる選択肢」があると答えた。
(9/4 Reutersなど)
【9月3日(金)】
■入植活動はフル・スピード――ドイツ紙■
パレスチナ=イスラエル直接交渉が18ヶ月ぶりに再開した翌日のドイツ紙「シュピーゲル」は、入植活動「凍結」がないかのように、西岸地区での入植者住宅建設が真っ盛りだと報じている。
入植者団体「イェシャ評議会」のナフタリ・ベネット総務は、直接交渉開始数時間前の取材に対し、「われわれは(住宅)建設を続ける」と断言、この直後、入植者たちは、象徴的な起工式を行った。「9月26日に凍結を終わらせるだけでは不十分。バラク国防相は、3000戸の新設を認めるべきだ」とベネット氏は強調した。
入植地建設は、オスロ合意以来ずっと続いており、「凍結」が解けると、57入植地ですぐにでも建設再開が可能になる。「凍結中」の現在も西岸地区で約2000戸の建設が続行。これらは、凍結期間直前に工事が始められたものだ。また、エルサレム近郊の入植地「アナトット」のように、無許可で住宅建設が進められている場所もある。
ドロール・エトケス氏(ピース・ナウの入植地監視プロジェクト責任者)によると、駆け込み的入植活動ブームは、政府の入植活動凍結宣言直前に始まった。現在、120入植地のうち46入植地で住宅建設が進行中で、凍結されているのは5入植地に過ぎない。政府の担当官でさえ、29入植地で凍結命令違反が行われていることを認めている、とエトケス氏は言う。「凍結は最初からフィクションなのだ。これは、入植者らが言うように建設に大きな影響を
与えるものではない」と同氏は断言した。
エルサレム近郊や大入植地だけでなく、ナーブルス近郊、ヘブロン近郊、ヨルダン渓谷付近などの孤立した入植地でも状況は変わらないと、エトケス氏は言う。
一方、「ヒューマンライツ・ウォッチ」によると、この数ヶ月に、西岸地区でパレスチナ人住宅267戸が、違法建築として、イスラエル占領当局の手で破壊された。これとは対象的に、凍結期間中違法に建設された入植者住宅の少なくとも一部は、事後承認されるだろうと、エトケス氏はいう。
9/3 Spiegel 記事の全文は:
http://www.spiegel.de/international/world/0,1518,druck-715614,00.h
tml
■イスラエルにNPT加盟うながす■
国際原子力機関(IAEA)の天野之弥(ゆきや)事務局長は、イスラエルの核能力に関する報告書を理事国に配布した。IAEAとしてイスラエルに核不拡散条約(NPT)加盟を促していく姿勢を強調している。
公然の秘密だったイスラエルの核が報告書にまとめられるのは約20年ぶり。報告書によると、天野氏は8月下旬、イスラエルの首脳らと会談し、NPT加盟と全核施設でのIAEAの査察受け入れを検討するよう提案した。一方で、同国がNPT未加盟の現状では「IAEAは核能力について情報を提供する立場にない」とした。(9/3 朝日)
【9月4日(土)】
■イスラエル軍ガザ地区を空爆■
イスラエル軍は、ガザ地区を空爆し、AP通信によるとパレスチナ人2人が死亡した。空爆前には、ガザからイスラエルに向けたロケット弾が着弾。イスラエル軍は、ガザ地区南部にあるエジプトとの密輸トンネルを狙ったとしている。一方、ロケット弾攻撃は、ハマースによるものかは不明。
(9/5 朝日)
【9月5日(日)】
■次回交渉はシャルム・アッシャイク■
エジプトのフサム・ザキー外相は、次回のパレスチナ=イスラエル交渉が、14日からエジプトのシャルム・アッシャイクで開かれると語った。
(9/5 WAFA)
■自由ガザ運動「空路でガザ支援」■
ガザ地区封鎖に反対している「自由ガザ運動」(本部・アメリカ)の設立者の一人、ポール・ローディー(Paul Laurdee)博士は、「イスラエルやエジプトの空域を避けて、ガザに救援機を飛ばすことを考えている」と語った。ガザ地区の当局は協力的だという。
ガザ国際空港は、イスラエルによって施設が何度も破壊され使用不能なので、同運動は、荒地でも離着陸できる小型機を探しているとローディー氏は述べた。自由ガザ運動のサイトによると、救援機の飛行は来年春の予定。航空機の飛行中は、船のように(イスラエル兵が)乗り込んでくることは不可能。軽飛行機はどこにでも着陸できるから、成功の確率は高いとしている。
(9/5 Maan News)
【9月6日(月)】
■イスラエル検事総長、軍参謀総長人事の保留を命令■
ヨアヴ・ガラント将軍を次期イスラエル軍参謀総長に任命する人事について、イェフーダ・ワインシュタイン検事総長は、バラク国防相に対し、彼が任命した委員会が同将軍に関する偽造文書の調査を終わるまで保留するよう命じた。ガラント将軍の参謀総長任命は、5日のクネセトで承認されている。
参謀総長人事では、ガラント将軍の競争相手を貶める内容の偽造文書が出回り、バラク国防相が調査委員会を設置、10月7日に結論が出されることになっている。
また、ガラント将軍が08年末から3週間に及んだガザ地区攻撃「カスト・レッド作戦」を指揮したことに関して、イスラエルの人権団体「ベツェレム」は、同将軍の戦争犯罪容疑について調査するよう求めている。
(9/6 Haaretz、8/24 B'Tselem)
■ロシア=イスラエル軍事協力で合意■
ロシアとイスラエルは、長期的な軍事分野の協力に関する枠組み文書に調印した。ロシア軍は長年、自国製の兵器使用に限定してきたが、近年は兵器・装備の近代化を優先課題に掲げ、欧米諸国からの技術獲得に乗り出している。イスラエルは、親アラブ政策を取ってきたロシアへ無人偵察・爆撃機を売る代わりに、ロシアからシリア、イランへの武器売却を断念させる狙い。両国の思惑が一致し、急接近した。
セルジュコフ露国防相とバラク・イスラエル国防相は、モスクワで合意文書に署名したバラク氏と会談したロシアのプーチン首相も航空機、レーザー技術や衛星分野における協力の可能性に言及した。
ロシアの軍事評論家フェリゲンガウエル氏によると、両国は90年代から第三国向けの軍事技術の共同開発を始めている。ロシアはイランと契約を結んだ対空ミサイルシステム「S300」の引き渡しを凍結するなど、イスラエルへの配慮も見せている。
グルジア紛争の際、グルジアが使用したイスラエル製無人機がロシアの無人機を圧倒したとされるが、グルジアへの売却に戦略的意図はなかったため、今回のロシアに対する売却の障害にはならなかった。(9/7 毎日)
【9月7日(火)】
■ネタニヤフ首相「ユダヤ国家としての承認が条件」■
ネタニヤフ首相は、ユダヤ教の正月「ロシェ・ハシャナ」を前に演説、再開されたイスラエル=パレスチナ交渉について、「われわれは、まじめに努力しているが、成功の保証はない」と述べた。その上で、パレスチナ側とのいかなる協定も、「イスラエルの安全保障」と「イスラエルをユダヤ人国家として承認すること」の2大要件を満たすものでなければならないと強調した。
イスラエル首相府が公開したヴィデオ演説で語った。
パレスチナ側は、「ユダヤ人国家」としての承認要求に強く反発、アッバース大統領は、アラビア語紙「アル・クッヅ」の取材に対し、「イスラエル自身が自国をなんと呼ぼうが勝手だ」と突き放している。(9/7 Haaretz)
【9月8日(水)】
■「ユダヤ国家としてのイスラエル」を拒否■
パレスチナ側の交渉委員、ナビール・シャアス氏はラーマッラーで記者会見、イスラエルが要求する「イスラエルをユダヤ国家として承認する」ことを拒否するとの立場を再確認した。2日の交渉でネタニヤフ首相から要求があったが拒否したと述べた。
この要求を呑むことは、イスラエル市民権を持つパレスチナ人の権利を侵害し、また、パレスチナ人の帰還権を否定することになると、シャアス氏は説明した。また、イスラエルとのどのような協定も国民投票(Referendum)にかけられるだろうと述べた。(9/8 Haaretz)
■ハマースがファタハに警告■
8月31日の入植者4人射殺事件で、西岸政府治安部隊が6人のハマース活動家を逮捕していることについて、ハマース軍事部門の公式サイトは、「3年前の教訓を忘れるな」と強く警告する声明を発表した。07年6月、ガザ地区の内戦でハマースは同地区を制圧している。
「ファタハの民兵諸君、人民が諸君を拒絶したときガザで何が起きたか、忘れたのか。われわれの手は、敵の心臓部に届くから、諸君のところにも届く」と声明は述べ、ハマースの忍耐は「限度まで来た」「これ以上黙っていることはできない」と警告した。(9/8 Al-Jazeera、Haaretz)
■イスラエル、ハマースの2議員ら釈放■
行政拘留でイスラエルに投獄されていた、アッザーム・サルハブPLC(パレスチナ立法評議会)議員(45)とニザル・アブドゥル・ハミード・ラマダーン議員(50)が、釈放された。行政拘留は、裁判抜きで特定の人物を「治安上」の理由で6ヶ月間拘留でき、その期間は無限に更新が可能。
サルハブ議員は連続56ヶ月の拘留、ラマダーン議員は05年に投獄08年に釈放され、09年3月再度投獄されていた。
また、アン・ナジャーハ大学のイッサム・ラシド教授(52)もこの日釈放された。
現在、イスラエルに投獄されているPLC議員は10人。ファタハのマルワン・バルグーティ、PFLPのアハマド・サアダート、ハマースのハサン・ユースフ・カリールらが含まれる。(9/9 Maan News)
【9月9日(木)】
■フラッシュ・ニュース:イスラエル軍放送によると、ロケット一発がイスラエル南部に着弾した。けが人はない。(9/9 Haaretz)
(出典:Al-Jazeera、B'Tselem、Haaretz、Maan News、Reuters、Spiegel、
WAFA、朝日、毎日)
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by halunet
| 2010-09-10 14:42
| パレスチナの平和