2010年 06月 17日
パレスチナ最新情報6/17 |
パ ┃レ┃ス┃チ┃ナ┃最┃新┃情┃報┃100617
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最近、日本の新聞で、パレスチナ問題に関する報道が少し増えてきました。ガザ支援船襲撃事件で、ガザ地区封鎖の非人道性があらためて国際的に注目されるようになったからでしょう。このニュースにもいくつか引用しています。
ガザ封鎖と支援船団襲撃事件をめぐって、今週、少し動きがありました。イスラエルが、封鎖緩和を決め、独自の調査委員会を設置しました。もっとも、封鎖緩和の具体内容はまだ明らかでありません。調査委員会の委員長になる元最高裁判事は84歳の高齢。委員は、事件現場に居て直接かかわった将兵からの聴取はでき
ないということで、「国際基準に合った独立調査」の原則に合致しているようには思えません。
トルコ、国連やEUなどで議論されている、国際調査団が必要ですが、アメリカのオバマ政権が壁になりそうです。
ニューヨークで17日(日本時間18日)に予定されている、支援船団襲撃事件の証言集会に、地元の議員たちと「ユダヤ・コミュニティ・リレーション評議会」から横ヤリがはいりました。支援船団の乗船者は全員「テロリスト」との関係があり得るから、徹底的に調べろというのです。主催者は、これこそ言論封殺だと反発しています。
この評議会のプレス・レリースと、証言集会主催者「インタナショナル・アクション・センター」のサイトから、ニュースを一本つくってみました。アメリカ、そしてニューヨークという土地柄がわかります。
以下、6月10日以降の週間ニュースです。
【6月10日(木)】
■IAEAでイスラエルの核が議題に■
国際原子力機関(IAEA)定例理事会で、イスラエルの「核能力」が91年以来19年ぶりに議題になった。
イランやアラブ諸国は、昨年9月のIAEA総会決議や、今年5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の最終文書などを論拠に、核保有国とみられているイスラエルにNPTへの加入やIAEAの包括的保障措置(査察)への参加を迫った。特に、NPT加盟国でIAEAの査察も受け入れているイランは、米欧の「二重基準」に不満を表明。IAEAがイスラエルへ調査団を派遣するよう改めて要請した。
米国は「イスラエルはIAEAの義務に従っている」と擁護。イスラエルの核問題を取り上げることが「(反対勢力による)IAEAの政治利用」につながると主張した。欧州連合(EU)も、米欧の反対を押し切る形でイスラエルの核問題が議題になったことに遺憾の意を表明した。(6/11 毎日)
【6月11日(金)】
■船団襲撃事件「調査は国際基準に合致したものを」■
5月31日のガザ支援船団襲撃事件の調査は「国際基準に合致したものであることが必要だ」と、国連の特別調査官フィリップ・アルストン氏が強調した。
アルストン氏によると、調査は政府から独立し、最終報告書は全面的に公開されねばならない。また、調査団は、すべての主要な目撃者、ヴィデオ、その他の記録にアクセスする全面的な法的権限を与えられる必要がある。「これらの条件が満たされれば、国内調査団(a domestic commission)も、この人権問題に関する調査に大きく寄与をすることが出来るだろう」とアルストン調査官は語った。
(6/11 WAFA)
■ビルイン村で「ナショナル・サッカーチーム」■
「壁」反対闘争の定例日になるこの日、西岸地区のビルイン村で、村人とイスラエル人、外国人支援者が、サッカー・ワールドカップに合わせて「パレスチナ・ナショナル・サッカーチーム」を編成。壁に向かってデモ行進の後、イスラエルが建設中の「壁」越しに、収容された同村の農地に向かってサッカーボールを蹴りこんだ。
イスラエル兵は、催涙ガス銃を撃ち込み、ジャーナリスト6人を逮捕(うち4人は間もなく釈放)。ガス弾で燃え上がったオリーヴ林の火を消そうとする村人にもガス銃を射撃した。(6/11 WAFA)
【6月12日(土)】
■パレスチナの地方選挙延期■
ガッサーン・ハティーブ政府広報センター長はドイツ通信社に対し、「[パレスチナ自治政府の]内閣は今日、地方議会選挙の無期限延期を決定した」と伝えた。ハティーブ氏は突然の[選挙延期]決定の理由については説明せず、「選挙の新たな日程については追って決定があるだろう」と語った。
ファタハの情報筋によれば、選挙延期の決定は、パレスチナ内部の和解と分裂終結の問題に新たなチャンスを与えるためのものだという。
木曜日には、選挙を管理する中央選挙委員会が、選挙名簿の受付を終了する予定になっていた。パレスチナの地方議会選挙はここ5年間実施されていない。
(Al-Quds Al-Arabiー=東京外大AA研「中東ニュース」)
【6月13日(日)】
■アラブ連盟事務局長、ガザ地区訪問■
アラブ連盟(22カ国)のムーサ事務局長は、エジプト経由、イスラエル封鎖下のガザ地区を初めて訪問し、ハマース政権のハニヤ首相と会談した。5月末のガザ支援船団急襲事件で高まる国際的なイスラエル批判をテコに封鎖解除圧力を強め、ファタハの和解を促す狙い。
エジプトは、ガザ地区に通じるラファハ検問所を、ガザ支援船団襲撃事件後開放した。(6/14 毎日)
■イスラエル副首相「拿捕は続ける」■
イスラエルのダン・メリドール副首相兼情報・原子力相(リクード)は、読売新聞とインタビュー。ガザ支援船への対応について、「イスラエルの(安全保障の)ために他国に戦ってもらおうとは思わない」と発言、あくまでイスラエル軍が単独で拿捕(だほ)を続ける考えを示した。副首相は、今回の支援船拿捕を事前協議した主要閣僚会議のメンバーの一人。
EUは支援船物資の検査を検討しているが、同副首相は、第三者の関与に否定的見解を示した。
副首相は、ハマースがイラン製武器の密輸を続けていると主張。イスラエルによる陸海でのガザ境界封鎖について、「密輸阻止のため、最も防御的な手段だ。封鎖を解けば、(ハマースは戦力を増強し)いずれ戦争になる」と述べ、封鎖を正当化した。
31日の事件で乗船者9人が死んだことについては、「悲劇的な結果で、(国際社会での)イスラエルのイメージを傷つけた」と述べたが、「(流血の事態は)予期していなかった」とし、イスラエル軍兵士の行動を「正当防衛だ」と擁護した。
(6/14 読売)
イランのテレビによると、この日、イランのバンダル・アバスから、人道援助物資を積んだ貨物船がガザ地区へ向けて出港した。数十人が乗りこんでいる。このほか、レバノンからも支援船が同地区へ向かう見み。(6/15 Haaretz)
【6月14日(月)】
■イスラエル政府、船団攻撃事件で調査委員会設置■
ガザ支援船団攻撃事件で、イスラエル政府は、調査委員会を設置した。国内の法律専門家ら3人に加え、海外から2人の「オブザーバー」が参加する。支援船への強行突入作戦や、同国が続けるパレスチナ自治区ガザの海域封鎖策の合法性などを検証するという。
委員長は最高裁元判事のティルケル氏が務め、ほかに国内専門家として国際法学者と退役将官が加わる。外国オブザーバーは、北アイルランド和平への貢献でノーベル平和賞を受けたデービッド・トリンブル氏とカナダ統合軍の元主席法務官ケン・ワトキン氏。
しかし、調査委は、軍が独自に行う内部調査を参照しバラク国防相や軍参謀総長らを聴取できるが、作戦に加わった隊員からは聞き取りは行わず、船団阻止の政治決定について適否を調べないなど、活動は制限されている。
米ホワイトハウスは13日、「迅速、公平かつ信頼でき、透明性のある調査の水準を満たせる」と支持する大統領報道官声明を発表した。
一方、AFP通信によると、9人の死者を出し、国際調査団の設置を求めていたトルコのダウトオール外相は14日、「市民を攻撃したイスラエルが公平な調査をするとは思えない。もし、国際調査団が設置されず、トルコの正当な要求が無視されれば、われわれはイスラエルとの関係を再検討する」と述べた。
EUは、イスラエルにガザ封鎖解除を求め、調査に「信頼できる国際的参加」を呼び掛けた。(6/14 毎日、朝日、6/15 Haaretz)
■ガザ支援船同乗のトルコ人記者の話■
毎日新聞は、同日、トルコ紙「ザマン」のカメラマン兼記者のキュルシャット・ベイハン氏(30)とインタビューした。ベイハン記者によると、ガザ支援船マヴィ・マルマラ号にはトルコを中心にギリシャやドイツ、クウェート、インドネシアなど計50カ国以上のボランティアや記者など約530人が乗っていた。
支援船団を組織したのはトルコのイスラム団体「IHH」。公海上でイスラエル軍から、「もっと(陸地から)離れろ」といった命令を受けると、船は素直に命令に従っていたという。ベイハン氏は「公海上にとどまることでメディアに大きく報じてもらうことを狙っていたようだ」と語る。
5月31日午前4時過ぎに突然、イスラエル兵3人が軍用ヘリから船に乗り込んだ。兵士の1人は海に突き落とされ、残る2人は、棒でたたかれるなどして船内に連れ込まれた。
その約20分後に別のヘリから兵士数人が船に乗り移り発砲。女性の悲鳴やパン、パン、パンと鳴り響く銃声が船上を包んだという。船上では血だらけになった者を心臓マッサージする姿などが見られた。混乱は約1時間45分、続いた。
ベイハン記者は「イスラエル軍の攻撃は予想をはるかに超えたものだった」としながらも、「棒やガスマスクを用意して最後まで抵抗すると興奮していたIHHのメンバーもいた。IHH側が冷静に対応していれば死傷者は出なかったはずだ」と語った。
第2次レバノン戦争の取材経験があるベイハン記者は「イスラエル軍は自軍の兵士を守るためにはどんなことでもする。最初に兵士2人が船内に連行されたことで、銃の発砲許可が出たはずだ」と分析している。(6/16 毎日)
【6月15日(火)】
■近くイランからガザ支援船■
イラン赤新月社(赤十字に相当)は、ガザ地区への支援船が、19、20の両日イラン南部バンダルアッバスから出航すると発表した。 報道担当者によると、船は紅海からスエズ運河を経由する「通常の航路」でガザに向かうという。エジプト政府がスエズ通過を拒んだ場合は「別の航路を使う」としている。
(6/15 朝日)
【6月16日(水)】
■イスラエル政府、ガザ封鎖緩和を検討■
イスラエル政府高官筋によると、政府はガザ地区封鎖緩和を検討中で、17日の治安閣議で表決が行われる見通し。緩和の対象は同地区への陸上輸送に限られ、厳重な海上封鎖は続けられる。
同閣議の参加者の話では、ガザ地区への禁輸リストはかなり減らされ、セメントやスティールなどは、国連と協調して搬入を認める。個人的な輸入は依然禁止。また、工業原材料などの輸出入規制をどうするかは不確定だという。
イスラエルは、ガラスを含む建材が武闘派パレスチナ人の砦建設などに使われるとして、ほとんどを禁輸、このため、08年末〜09年初のイスラエルによる「カスト・レッド作戦」で破壊された建物の復旧が進まず、多くのパレスチナ人がホームレスの状態。また、さまざまな日用品も禁輸リストに含まれ、住民は極度に不便な生活を強いられている。
「カルテット」(国連、米国、EU、ロシア)の中東特使、トニー・ブレア元英首相は、検問所管理にヨーロッパ人のモニターが関与することを含め、ネタニヤフ首相と協議を続けてきた。「(モニターは)武器輸入を防ぐと同時に、この地区のパレスチナ人を助けることになる」とブレア氏は、Haaretzとのインタビューで語った。(6/17 Haaretzなど)
■米国の市民団体「ガザ支援船団の目撃者に発言の機会を」■
イスラエル軍によるガザ支援船団襲撃事件で多数の死傷者を出した、マヴィ・マルマラ号乗船者の証言集会をめぐって、ニューヨークで論議がまきおこっている。集会を主催した市民団体のひとつインタナショナル・アクション・センター(International Action Center)は、アメリカの政治家グループやシオニスト団体が集会の妨害を企てているとして、「事件の目撃者に証言の機会を」と呼びかけるアピールを発表した。
主催者によると、集会は17日夜(日本時間18日)、ニューヨーク市ブルックリンのHouse of the Lord Churchで開かれ、マヴィ・マルマラ号で事件を目撃した映画監督イアラ・リー(Iara Lee)氏、支援活動家ケヴィン・オヴェンデン氏の2人と、元トルコ国会議員アハメト・ウンサル(Ahmet Unsal)氏が招待されている。
これに対し、ニューヨークのユダヤ・コミュニティ・リレーション評議会
(Jewish Community Relations Council)やエリオット・エンゲル(ニューヨーク・民主)、キャロライン・マロニー(同)下院議員、クリスティン・クイン=ニューヨーク市議会議長らの政治家グループが、14日、タイム・スクエアで集会を開き、マヴィ・マルマラ号と支援船団の乗船者をすべて入国審査するよう国務省に申し入れた。船団の主催団体IHHが「テロリスト」と結びついているというもの。同評議会によると、14日の段階で23,000の署名を集めたという。
証言集会の主催者は、「事件の目撃者から証言の機会を奪うのが目的だ」と猛反発、証言者の自由な発言を認めるべきとの対抗署名活動を始めた。「彼ら(証言者)が持ってくるのは言葉だけ。しかし、真実の言葉は、憎悪の心に満ちたニューヨークの一部の政治家たちに、恐怖心をもたらした。彼らは、アメリカ人が治める税金を、イスラエルの戦争機械のミサイルや爆弾のために使うことに繰り返し賛成してきた」とアクション・センターのアピールはいう。
証言集会の主催者は、アル・アウダ・ニューヨーク(Al Auda NY)、ムスリム・アメリカン協会(Muslim American Society)、シオニズムに反対するユダヤ・ネットワーク(International Jewish Anti-Zionist Network)、ニューヨーク反戦労働者(NYC Labor against War)など数十団体。
(6/14 Jewish Community Relations Council; 6/17 International Action Center)
[注] International Action Centerのサイトは:
Jewish Community Relations Center New Yorkの記者発表は:
<http://www.jcrcny.org/images/pdf/PressReleases/june14pressrelease.pdf>
【6月17日(木)】
■イスラエル、ガザ封鎖緩和を決定■
イスラエル治安閣議は、ガザ地区封鎖の緩和を決めた。公式声明によると、閣議は「民需品のガザ入りシステムを緩和することに合意した」しかし「武器と軍需品流入阻止のための」検問手続きは堅持するという。「民需品」の品目など具体的な内容は明らかにしていない。また、海上封鎖解除には触れていない。
(6/17 Haaretz、Jerusalem Post)
(出典: Haaretz、Jerusalem Post、Al‐Quds Al−Arabi=東京外大AA研「中東ニュース」、Reuters、WAFA、朝日、毎日)
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■□ 催し案内 □■
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◆◆パレスチナ・ガザからの来日講演会とシンポジウム◆◆
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市民による「ガザ自給計画」進行中
東京(6/20)と関西(6/24)
■日時:6月20日(日)14:00〜18:30
■会場:中央大学駿河台記念館610号室(6F)
東京都千代田区神田駿河台3-11-5
JR中央線・地下鉄丸の内、千代田線「御茶ノ水」駅から徒歩5分
会場地図http://www.chuo-u.ac.jp/chuo-u/access/access_surugadai_j.html
■参加費無料
・第1部 講演会 14:00〜15:30
講師:アハメド・スーラーニ氏(パレスチナ農業開発協会PARC・ガザ)
・第2部 シンポジウム 16:00〜18:30
高橋和夫氏(放送大学教授)/池田明史氏(東洋英和女学院大学教授)/
香川剛廣氏(外務省中東アフリカ局参事官)他
■主催:特定非営利活動法人パレスチナ子どものキャンペーン
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◆◆『〈鏡〉としてのパレスチナ』刊行記念シンポジウム◆◆
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■日時:6月27日(日)14時30分〜17時30分(開場14時00分)
■場所:在日本韓国YMCA 304・305教室
(東京都千代田区猿楽町2−5−5/JR水道橋駅より徒歩6分
地図 http://www.ymcajapan.org/ayc/jp/
・第一部 『〈鏡〉としてのパレスチナ』私はこう読む
[コメンテーター]浜邦彦(カリブ研究/早稲田大学)
大富亮(チェチェン・ニュース発行人)
・第二部 現局面における支援/連帯とは:ガザ自由船団襲撃から見えるもの
[パネリスト] 鵜飼哲(フランス文学・思想/一橋大学)
太田昌国(南北問題・民族問題研究/現代企画室)
早尾貴紀(社会思想史/ミーダーン)
田浪亜央江(パレスチナ政治文化研究/ミーダーン)
■参加費 800円
ただし、当日会場で本書を購入される方、また、同書を持参し受付で提示された
方は、入場無料
■主催:ミーダーン〈パレスチナ・対話のための広場〉
[メールアドレス]midan.filastine@gmail.com
http://midan2006.web.fc2.com/
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by halunet
| 2010-06-17 21:33
| パレスチナの平和